報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 「マークの呆気ない最期」

2017-03-06 19:05:20 | アンドロイドマスターシリーズ
[2月5日06:00.天候:曇 東北地方太平沖上空]

 ヘリパイロット:「レーダー捕捉しました。どうやら件の連中は船舶で逃亡を図っているようです」
 ???:「分かりました。恐らく向こうは戦闘用ロボットなどを配備している可能性が十分に考えられるので、接近には十分注意してください」
 ヘリパイロット:「了解」

 東北地方太平洋沖を北に進むヘリコプターの編隊。
 見たところ、民間のヘリコプターのようであるが、しかしパイロットを含めて搭乗者全員が特殊部隊の戦闘員のような姿をしており、よく分からない。
 このヘリコプター達の正体は一体……?

[同日同時刻 天候:曇 北海道日高地方沖海上]

 敷島:「どこへ行くんだか知らないが、何としてでもアリスを助けるぞ」
 シンディ:「はいっ!」
 黒いロボット:「グオオオオッ!」
 シンディ:「邪魔だ、コラぁっ!!」

 シンディ、手持ちのマシンガンで黒いロボットの頭部を破壊する。

 船底に行くに従って、敵の数が増えて来る。
 やはり、アリスの所に辿り着けられないようにする為か。

 敷島:「……なワケ無いな」
 シンディ:「えっ?」
 敷島:「仮にもアリスはマークの娘だ。こんな船倉部分に押し込むかね?」
 シンディ:「ということは?」
 敷島:「こういう貨物船にも、例えば同乗する荷主の部屋だとか、オーナーズルームとかがあるだろう。そういう、客室的な所にいるんじゃないか?」
 シンディ:「そうかもしれませんね。改めて確認しますと……上昇してる?」
 敷島:「上昇?……エレベーターか!」
 シンディ:「そうですね。最初は下の階にいたのですが、エレベーターか何かで上がっておられます」
 敷島:「よし、俺達も追うぞ。きっとそこに、大ボスであるマークもいるだろう」

 敷島達は途中でそのエレベーターを見つけた。
 貨物船のエレベーターらしく、高層ビルの貨物用エレベーターのような大型の無機質なエレベーターである。
 それが2階で止まっていた。

 敷島:「2階だな。ここは何階だ?」
 シンディ:「S2とありますね。恐らく、B2と同じ意味でしょう」
 萌:「ポチッとな」

 萌は飛びながらお尻で上のボタンを押した。
 エレベーターが下りてくる。

 敷島:「結構、動きが遅いな」
 シンディ:「油圧式の鈍重な貨物用だからでしょうね」
 敷島:「アルカディアビルの貨物エレベーターは、乗用エレベーター並みに速いのにねぇ……」

 ところがそのエレベーター、敷島達のいるS2を飛び越え、更にその下のS3フロアまで行ってしまった。

 敷島:「!?」
 シンディ:「誰か、下まで降りたようですね」
 敷島:「アリスか?」
 シンディ:「いえ。アリス様は上のフロアにいらっしゃるようです」
 敷島:「と、いうことは……」

 エレベーターが再び上がって来て、やっとS2フロアに止まる。
 そして、ガラガラガラと大きな開扉音を立ててエレベーターのドアが開いた。
 そこから出て来たのは……。

 マーク:「そんなに娘が欲しいか。ストーカー共め」
 敷島:「サイボーグ親父から奪われそうになっている人間の尊厳ってヤツを守りに来ただけだよ」
 マーク:「死ね」

 マークは口を大きく開けると、そこからグレネード弾を発射した。

 敷島:「もはや人間じゃねぇ!」
 シンディ:「社長、攻撃してもよろしいですか?」
 敷島:「大いに許可する!」
 マーク:「シンディよ。俺はお前の主人の父親だぞ?それに銃を向ける気か?」
 シンディ:「あうぅ……」
 敷島:「シンディ、惑わされるな!少なくとも、お前のオーナー登録はアリスだけのはずだぞ!」
 シンディ:「そうでした」
 マーク:「やはり、お前もポンコツロボットの1つだったか」
 敷島:「人間のポンコツにそんなこと言われたかぁ無いだろうよ!」
 マーク:「何だと!?」
 敷島:「おっと!人間を辞めたんだったな!だったらもうポンコツどころか、ゴミだな、ゴミ!」
 マーク:「貴様ぁぁぁぁぁッ!!」
 敷島:「人権ってのは、生粋の人間にしか保障されてないんだ!半分でも辞めたら保障は一切ナシだ!」

 敷島は言いながら、階段をS3フロアまで駆け下りた。

 シンディ:「社長、どこへ行く気ですか!?」
 敷島:「あんな狭い所よりも、船倉の広い所がいいだろう!」
 シンディ:「なるほど!」
 マーク:「どこへ行こうが、逃げられんぞ!」

 敷島はガスボンベを転がすと、マークがその近くまで来たところで、手持ちのハンドガンを発砲した。
 ガスボンベが爆発してマークの体を焼き尽くす。

 マーク:「おいおい、何をしてくれるんだ、この野郎」
 敷島:「うっ、マジか……」

 火に包まれているはずなのに、マークが鉄パイプを持って近づいてくる。

 シンディ:「くっ!」

 シンディはライフルでマークを狙撃した。

 マーク:「今、何かしたか?」
 敷島:「マジか!」

 敷島はもう1つのガスボンベを爆発させた。
 というか、これで辺りが火に包まれ始める。

 敷島:「やべっ、今度は俺達が火に包まれる!」

 敷島達は急いで船倉から飛び出した。
 案の定、防火シャッターが半分ほどの位置まで閉まっていた。
 間に荷物があったせいで閉まり切らなかったのだ。

 敷島:「おいおい、違法だぞ、これは。まあ、おかげで閉じ込められずに済んだけど……」

 シンディがシャッターをこじ開けた。
 その間に敷島達がすり抜けていく。

 マーク:「船上パーティーの会場はここだぞ。どこに行くつもりだ?」
 敷島:「無論、アリスの所へ」

 敷島はありったけのデコイをポイポイ投げ込んだ。

 敷島:「シンディ、シャッターを閉めろ!」
 シンディ:「はいっ!」

 シンディが手を話すと、シャッターがガッシャーンと勢いよく閉まった。

 敷島:「急いで離れるぞ!」

 エレベーターの所まで来た時、シャッターの向こうで大きな爆発音が響いた。

 敷島:「しつこいオヤジだが、あれで死んでくれるといいんだがな」

 エレベーターを呼び寄せ、それに乗り込む。

 敷島:「2階だな」

 敷島が2階のボタンを押してドアを閉めると、ガッコーンという音がしてドアが閉まった。
 そしてエレベーターが上昇を開始する。
 エレベーターが1階を越えて、2階へ行こうとした時、エレベーターに衝撃が走った。

 敷島:「な、何事だ!?」
 シンディ:「故障したみたいですね」

 シンディはエレベーターのドアをこじ開けた。
 すると、エレベーターはちょうど1階と2階の間に止まっていた。
 敷島はシンディに抱えられて、2階へ這い上がった。

 敷島:「アリス!アリス!どこだ!?」
 シンディ:「マスター!……あっちです!」
 敷島:「よし!」

 敷島達はアリスがいると思われる場所に向かった。

 萌:「まだ船は止まってないみたいです。エミリーは大丈夫なのかなぁ?」
 シンディ:「さっきのエレベーター故障って、姉さんが何かやったのかしらね」
 敷島:「とにかく、先にまずはアリスを助けに行くぞ!」
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“Gynoid Multitype Cindy” 「舞台は海上へ」

2017-03-06 17:00:40 | アンドロイドマスターシリーズ
[2月5日05:30.天候:曇 廃ペンション本館地下階]

 捕らわれているエミリーと萌を発見した敷島とシンディ。
 だがそこへ、中ボスを張るロボットが現れた。
 上半身は何度も見た黒いロボットなのだが、下半身を小型の戦車に改造された物だった。
 上半身右腕のマシンガンと、戦車部分の砲塔から繰り出すグレネードでもって総攻撃を仕掛けて来る。

 シンディ:「社長!私1人じゃ勝算が低いです!」
 敷島:「任せろ。それならこうだ」

 敷島は途中で拾ったRデコイのスイッチを入れて転がした。
 ピコーンピコーンというアラームと、玉虫色に点滅する光が発生する。
 意外にもこの戦車ロボットは、Rデコイに引き寄せられることは無かった。

 敷島:「くそっ!世の中そんなに甘くないか!……しからば!」

 敷島は今度は適当にデコイを置いた。

 敷島:「こっちだ!ポンコツ!」

 敷島が大きく手を振ると、ロボットが銃口を敷島に向けた。
 と、同時に全速力で敷島は照準から離れる。

 ロボット:「!?……!?」

 ロボットは敷島の不規則な動きに翻弄される。
 敷島は次々とロボットの周りにデコイを置いた。

 ロボット:「……!!」
 敷島:「いけっ、シンディ!集中砲火だ!」
 シンディ:「了解です!」

 デコイが地雷代わりに危険なものだとロボットは認識している。
 ありとあらゆる進路上にそれを仕掛けられたことで、ロボットは安全な進路を再検索しなければならず、そのせいで動きが止まった。
 シンディは吹き抜け2階部分から狙撃用のライフルを構えて照準を合わせ……。

 ロボット:「!!!」

 その頭部に狙撃した。
 人間ならば頭が無くなるほどの衝撃であるのだが、ロボットはその辺頑丈なのか、無くなることは無い。
 だが、強い衝撃にピヨッた。
 そこをシンディはもう1発撃つ。
 なかなか壊れない。
 だが、効いてはいる。
 シンディがライフル弾をリロードしている間、敷島はデコイのスイッチを入れ、キャタピラーの下に転がした。

 敷島:「鬼はー外!福はー内!……みすぎ〜さと!幕の〜内!」

 デコイが爆発したことで、キャタピラーはメチャクチャに壊れ、戦車ロボットは完全に自走力を失った。
 そして戦車内に搭載している弾薬に引火して……。

 シンディ:「社長!爆発します!私の後ろに隠れてください!」
 敷島:「おう!」

 敷島はシンディの後ろに隠れた。
 自爆する戦車ロボット。

 敷島:「どんなもんだい!」
 シンディ:「さすがです、社長」
 敷島:「いやいや。やっぱり狙撃はお前の専売だな」
 シンディ:「フェンスを破壊して姉さん達を救出します」
 敷島:「頼むぞ」

 シンディはフェンスを引き剥がした。

 敷島:「バッテリーと発電機だ。これでエミリーを再起動できるぞ」

 敷島は発電機を起動させると、そこから電源ケーブルを繋いでエミリーに接続した。
 萌にあってはバッテリーで十分。

 シンディ:「姉さん、姉さん、しっかりして!」
 萌:「う……ボクは何を……?」
 エミリー:「シンディか……。異常は直ったのか?」
 シンディ:「ええ、今はね」
 敷島:「それで、アリスはどこ行った?あとはアリスを見つけて、ここから脱出するだけだぞ」
 エミリー:「シンディ、アリス博士の居場所を検索して。GPSで分かるでしょ」
 シンディ:「そ、そうだった。……この近くよ」
 敷島:「どこだ?」
 シンディ:「あっちだわ」

 シンディが指さした所は、あの戦車ロボットが突入してきたドアだった。

 敷島:「よし!あそこだな!」

 敷島達はドアの向こうへ向かった。
 薄暗い廊下が続いていて、その先に上に登る階段がある。
 どうやら、地上に出られるようだ。
 そして、その突き当りにまたドアがあるが鍵が掛かっていた。

 エミリー:「はぁーっ!」
 シンディ:「うりゃっ!」

 鉄扉であったのだが、マルチタイプ姉妹の拳とハイキックで破った。

 敷島:「こ、これは……!?」

 外は海になっていた。
 断崖絶壁に向かっている。

 萌:「ねぇ、あの船!」

 その断崖絶壁を背にして進む一隻の船があった。
 見たところ、そこそこ大きな貨物船である。

 敷島:「マジか!」
 エミリー:「社長、私に掴まってください!すぐに追います!」
 敷島:「頼むぞ!国外にでも逃亡するつもりだろうが、そうは行くか!」

 敷島はエミリーにおぶさると、エミリーは敷島を背負って超小型ジェットエンジンを吹かした。
 シンディも同じように飛ぶ。

 敷島:「あの船にテロリスト達が乗っているんだ、きっと。見つからないようにしろよ」
 エミリー:「もちろんです」
 シンディ:「姉さん、船尾なら誰もいないわ。取りあえず、船尾甲板に降りましょう」
 エミリー:「了解だ」

 敷島達は貨物船の船尾甲板に降り立った。
 昨夜まで猛吹雪だったのだから、海もまだ時化ている。
 にも関わらず、あきらかに船は安全性を度外視した速度で進んでいた。

 敷島:「アリスを助けて、この船を止めるぞ。この際、どっちが先でもいい」
 シンディ:「それなら、手分けした方がいいんじゃないでしょうか?私は船橋(ブリッジ)に行って、この船を止めます」
 敷島:「大丈夫か?明らかにそこにテロリスト達がいるぞ?」
 シンディ:「人間のテロリストなら大丈夫ですよ」
 敷島:「そうか。それじゃ、エミリーは俺と一緒に来い。……あ、いや!やっぱりダメだ!エミリー、お前が船橋へ行け」
 エミリー:「分かりました」
 シンディ:「社長?」
 敷島:「マスターのアリスを検索して捜せるのはお前だけだろうが」
 シンディ:「そうでした」
 萌:「ボクはどうしたら?」
 敷島:「途中で、鍵が掛かってる所があるかもしれないな。萌も俺達と一緒に来てくれ。アリスは恐らく、この船のどこかに監禁されているはずだ」
 萌:「分かりました」

 エミリーは船内に入る為のハッチを開けた。

 エミリー:「……誰もいないようです」
 敷島:「よし、行くぞ。途中でテロ・ロボットを見つけたら、遠慮なく壊していい。人間のテロリストは、取りあえず再起不能程度のケガでいい」
 シンディ:「分かりました」

 エミリーは船橋に行く為、階段を登り、敷島達は船倉へ向かう為、階段を下に降りた。
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“Gynoid Multitype Cindy” 「ペンションからの脱出」 3

2017-03-06 10:12:16 | アンドロイドマスターシリーズ
[2月5日05:00.天候:曇 廃ペンション本館地下階]

 マーク:「ふははははは!そこに隠れているのは分かっている!今から神へ祈っておくんだな!」
 敷島:(い、いや、取りあえずアーメンより南無妙法蓮華経で……)

 その時、マークがピタッと動きを止めた。
 敷島達の部屋には旧式の壁掛け時計があるのだが、それがボーンボーンと5回鳴ったのだ。

 マーク:「ぬ?もうこんな時間か。くそっ、タイムアウトだ。こうしてはおれん。神に感謝するんだな」

 マークはそう言って、敷島が隠れている倉庫から出て行った。

 敷島:(ふー、助かったー。じゃ、帰ったら信濃町へ直行だな)

 そっちかい!

 敷島:(時間って、これから何かあるのか?実はムスリムで、これからメッカの方向へ御祈りする時間とか?)

 敷島は箱の中から這いずり出ると、マークが出て行った出口から外に出て行った。
 因みに時計の音が外からも聞こえると思ったら、廊下には廊下で別に置時計があった。
 大きなノッポの古時計だ。
 ところがこちらは文字盤は動いているのに、肝心の振り子が動いていない。
 最近の振り子時計は、振り子は飾りで、別にそれが動いていなくても文字盤の針はちゃんと動くというものがあるが……。
 古時計に見せかけて、実はそのタイプだったりして?

 敷島:「開けてみよう」

 敷島は時計の中を開けてみようと思った。
 だが、鍵が掛かっている。
 鍵かキーピックがあれば開くだろうが、キーピックはあの時壊してしまった。

 敷島:「何か気になるんだよなぁ……」
 シンディ:「何が?」
 敷島:「いや、この時計の中さ。探索ゲームじゃ、この中に意外とキーアイテムが……って、うおっ!?」

 敷島はびっくりして大きく仰け反った。
 いつの間にシンディが!?
 シンディは片膝をついて、頭(こうべ)を垂れた。

 シンディ:「申し訳ありませんでした、社長。あの男からの遠隔制御があったのと、その後もそのフリをしないといけなかったので……」

 シンディはまるで義眼を出すかのように、両目から何かを出した。
 するとそれは、赤いLEDランプ。
 暴走したり、制御不能の状態になると両目が赤く光る仕様になっているが、シンディは目の中にこれを仕込んでわざと光らせていたという。

 敷島:「ええっ!?」
 シンディ:「あの男に操られているフリをしないと、マスターが危険だったのです。ですから……!申し訳ありませんでした」
 敷島:「そうだったのか……。本当に、今は暴走していないんだな?」
 シンディ:「はい。今、目は赤くなっていないはずです。でも、姉さんは許してくれないでしょうけど」
 敷島:「お尻ペンペンくらいは覚悟した方がいいな」
 シンディ:「それで許してくれますかねぇ……」
 敷島:「それよりこの時計だ。お前の力なら、こじ開け可能だろ?」
 シンディ:「もちろんです」
 敷島:「この中に何か隠されているような気がするんだ。開けてくれるか?」
 シンディ:「はい」

 シンディは時計の扉の取っ手に手を掛けた。
 そして、力づくで思いっ切りこじ開ける。
 因みに敷島は直前に嫌な予感がしたので、シンディに後ろにサッと隠れた。

 ボーン!

 シンディ:「…………」
 敷島:「……うん。何か嫌な予感がしたんだ」

 時計の扉をこじ開けると、時計が爆発した。
 もちろん、シンディは頑丈なのでダメージは無いのだが。
 で、爆発した時計の向こう側には隠し通路があった。

 敷島:「キーアイテムじゃなくて、隠し通路だったか。よし、行ってみるぞ」
 シンディ:「はい。私が先行します」

 シンディは暗い通路の中に入った。
 暗いのでシンディは右目を光らせた。
 マルチタイプは、右か左のいずれかをサーチライトのように光らせることができる。
 そこは小部屋になっていた。
 どうやらここは武器庫になっているらしく、明らかに日本では違法なものがゴロゴロ転がっていた。

 敷島:「狙撃用ライフルもあるな。よし、これはお前が持て。狙撃は得意だろ?」
 シンディ:「はい」
 敷島:「あとはショットガンを……。ん?これは……」

 敷島は鍵を拾った。

 敷島:「この先の通路とかで使えそうだな。よし、持って行こう」

 更に何故かアリスの発明品であるRデコイなんかもあった。
 これは時限式の爆弾を改造したもので、スイッチを入れると特殊な信号と光を発する。
 すると人工知能の劣るテロ・ロボットなどがそれに吸い寄せられて集まり出し、そうなった所で爆発して一網打尽にするという爆弾である。
 昔はこれで暴走バージョン軍団の足止めをしたものだ。

 敷島:「あの黒いロボット達に効くかなぁ……?」
 シンディ:「バカそうな感じですから、効くと思いますよ」
 敷島:「よし。じゃ一応、持って行こう」

 敷島達は小部屋から出ると、通路の先へ進んだ。
 果たして、そこにまた鍵の掛かった鉄扉があり、それこそ先ほど武器庫の中で手に入れた鍵で開いた。
 中に入ると、そこは大きな空間があり……。

 シンディ:「姉さん!」
 敷島:「エミリー!萌!」

 金網の向こうに、エミリーと萌が両手を縛られた状態で吊るされていた。
 電源が入っていないのか、敷島達が入って来ても反応が無い。

 シンディ:「こんなもの!」

 シンディは金網に手を掛けて引きちぎろうとした。
 すると、その時……!

 ???:「ブオオオ!ブオオオオオ!」
 敷島:「何だ?」

 別のドアをブチ破って、ある者が突入してきた。
 それは、あの黒いロボットの下半身を戦車にしたような形。
 キュラキュラキュラとキャタピラーを動かして、敷島達に向かってきた。

 敷島:「こいつは中ボスか!?シンディ、ブッ倒せ!」
 シンディ:「かしこまりました!」
 敷島:「俺は何とかこの金網を開ける方法を探す!」

 チェーンカッターは手に入れていたはずなのだが、本館に連れ込まれた時に没収されていた。
 因みに、ここは農機具などを入れておく倉庫らしい。
 見ると、トラクターなどが置かれている。
 あの下半身キャタピラーのロボットは、ここの重機でも使って改造されたのだろうか。
 このロボット、厄介なのはキャタピラーで動くくせに、戦車並みに動きが速いということ。
 少なくとも、ブルドーザーのような鈍重な動きではない。
 戦車部分の砲塔はグレネードランチャーになっているらしく、そこからシンディや敷島にグレネード弾を発射してきた。
 更に上半身の部分は右手がマシンガンになっていて、これでも発砲してくる。

 敷島:「逃げ回って、弾切れになるのを待つか!?」
 シンディ:「あの戦車の中に相当弾を積み込んでいるようだから、それは不毛だと思います!」
 敷島:「くそっ!」

 シンディも手持ちのショットガンをロボットに発砲しているのだが、戦車部分は頑丈なのでほとんどダメージを与えられていないし、上半身部分が亀のように引っ込むので、それもまた当たらない。

 シンディ:「このままじゃ私が弾切れになっちゃいます!」
 敷島:「参ったな……」

 ライフルは狙撃用なので、このようにちょこまかと動く敵に対しては照準を合わせられないので使えない。

 敷島:「ん、そうか。相手は要は小型の戦車だもんな」

 敷島はある作戦を思いついた。

 敷島:「元々地雷ってのは、対人用よりも先に対戦車用として開発されたんだぞ」
 シンディ:「どこに地雷があるんですか!」

 だが、敷島はニヤッと笑っただけだった。
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