報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 「舞台は海上へ」

2017-03-06 17:00:40 | アンドロイドマスターシリーズ
[2月5日05:30.天候:曇 廃ペンション本館地下階]

 捕らわれているエミリーと萌を発見した敷島とシンディ。
 だがそこへ、中ボスを張るロボットが現れた。
 上半身は何度も見た黒いロボットなのだが、下半身を小型の戦車に改造された物だった。
 上半身右腕のマシンガンと、戦車部分の砲塔から繰り出すグレネードでもって総攻撃を仕掛けて来る。

 シンディ:「社長!私1人じゃ勝算が低いです!」
 敷島:「任せろ。それならこうだ」

 敷島は途中で拾ったRデコイのスイッチを入れて転がした。
 ピコーンピコーンというアラームと、玉虫色に点滅する光が発生する。
 意外にもこの戦車ロボットは、Rデコイに引き寄せられることは無かった。

 敷島:「くそっ!世の中そんなに甘くないか!……しからば!」

 敷島は今度は適当にデコイを置いた。

 敷島:「こっちだ!ポンコツ!」

 敷島が大きく手を振ると、ロボットが銃口を敷島に向けた。
 と、同時に全速力で敷島は照準から離れる。

 ロボット:「!?……!?」

 ロボットは敷島の不規則な動きに翻弄される。
 敷島は次々とロボットの周りにデコイを置いた。

 ロボット:「……!!」
 敷島:「いけっ、シンディ!集中砲火だ!」
 シンディ:「了解です!」

 デコイが地雷代わりに危険なものだとロボットは認識している。
 ありとあらゆる進路上にそれを仕掛けられたことで、ロボットは安全な進路を再検索しなければならず、そのせいで動きが止まった。
 シンディは吹き抜け2階部分から狙撃用のライフルを構えて照準を合わせ……。

 ロボット:「!!!」

 その頭部に狙撃した。
 人間ならば頭が無くなるほどの衝撃であるのだが、ロボットはその辺頑丈なのか、無くなることは無い。
 だが、強い衝撃にピヨッた。
 そこをシンディはもう1発撃つ。
 なかなか壊れない。
 だが、効いてはいる。
 シンディがライフル弾をリロードしている間、敷島はデコイのスイッチを入れ、キャタピラーの下に転がした。

 敷島:「鬼はー外!福はー内!……みすぎ〜さと!幕の〜内!」

 デコイが爆発したことで、キャタピラーはメチャクチャに壊れ、戦車ロボットは完全に自走力を失った。
 そして戦車内に搭載している弾薬に引火して……。

 シンディ:「社長!爆発します!私の後ろに隠れてください!」
 敷島:「おう!」

 敷島はシンディの後ろに隠れた。
 自爆する戦車ロボット。

 敷島:「どんなもんだい!」
 シンディ:「さすがです、社長」
 敷島:「いやいや。やっぱり狙撃はお前の専売だな」
 シンディ:「フェンスを破壊して姉さん達を救出します」
 敷島:「頼むぞ」

 シンディはフェンスを引き剥がした。

 敷島:「バッテリーと発電機だ。これでエミリーを再起動できるぞ」

 敷島は発電機を起動させると、そこから電源ケーブルを繋いでエミリーに接続した。
 萌にあってはバッテリーで十分。

 シンディ:「姉さん、姉さん、しっかりして!」
 萌:「う……ボクは何を……?」
 エミリー:「シンディか……。異常は直ったのか?」
 シンディ:「ええ、今はね」
 敷島:「それで、アリスはどこ行った?あとはアリスを見つけて、ここから脱出するだけだぞ」
 エミリー:「シンディ、アリス博士の居場所を検索して。GPSで分かるでしょ」
 シンディ:「そ、そうだった。……この近くよ」
 敷島:「どこだ?」
 シンディ:「あっちだわ」

 シンディが指さした所は、あの戦車ロボットが突入してきたドアだった。

 敷島:「よし!あそこだな!」

 敷島達はドアの向こうへ向かった。
 薄暗い廊下が続いていて、その先に上に登る階段がある。
 どうやら、地上に出られるようだ。
 そして、その突き当りにまたドアがあるが鍵が掛かっていた。

 エミリー:「はぁーっ!」
 シンディ:「うりゃっ!」

 鉄扉であったのだが、マルチタイプ姉妹の拳とハイキックで破った。

 敷島:「こ、これは……!?」

 外は海になっていた。
 断崖絶壁に向かっている。

 萌:「ねぇ、あの船!」

 その断崖絶壁を背にして進む一隻の船があった。
 見たところ、そこそこ大きな貨物船である。

 敷島:「マジか!」
 エミリー:「社長、私に掴まってください!すぐに追います!」
 敷島:「頼むぞ!国外にでも逃亡するつもりだろうが、そうは行くか!」

 敷島はエミリーにおぶさると、エミリーは敷島を背負って超小型ジェットエンジンを吹かした。
 シンディも同じように飛ぶ。

 敷島:「あの船にテロリスト達が乗っているんだ、きっと。見つからないようにしろよ」
 エミリー:「もちろんです」
 シンディ:「姉さん、船尾なら誰もいないわ。取りあえず、船尾甲板に降りましょう」
 エミリー:「了解だ」

 敷島達は貨物船の船尾甲板に降り立った。
 昨夜まで猛吹雪だったのだから、海もまだ時化ている。
 にも関わらず、あきらかに船は安全性を度外視した速度で進んでいた。

 敷島:「アリスを助けて、この船を止めるぞ。この際、どっちが先でもいい」
 シンディ:「それなら、手分けした方がいいんじゃないでしょうか?私は船橋(ブリッジ)に行って、この船を止めます」
 敷島:「大丈夫か?明らかにそこにテロリスト達がいるぞ?」
 シンディ:「人間のテロリストなら大丈夫ですよ」
 敷島:「そうか。それじゃ、エミリーは俺と一緒に来い。……あ、いや!やっぱりダメだ!エミリー、お前が船橋へ行け」
 エミリー:「分かりました」
 シンディ:「社長?」
 敷島:「マスターのアリスを検索して捜せるのはお前だけだろうが」
 シンディ:「そうでした」
 萌:「ボクはどうしたら?」
 敷島:「途中で、鍵が掛かってる所があるかもしれないな。萌も俺達と一緒に来てくれ。アリスは恐らく、この船のどこかに監禁されているはずだ」
 萌:「分かりました」

 エミリーは船内に入る為のハッチを開けた。

 エミリー:「……誰もいないようです」
 敷島:「よし、行くぞ。途中でテロ・ロボットを見つけたら、遠慮なく壊していい。人間のテロリストは、取りあえず再起不能程度のケガでいい」
 シンディ:「分かりました」

 エミリーは船橋に行く為、階段を登り、敷島達は船倉へ向かう為、階段を下に降りた。

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