報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 「ペンションからの脱出」 3

2017-03-06 10:12:16 | アンドロイドマスターシリーズ
[2月5日05:00.天候:曇 廃ペンション本館地下階]

 マーク:「ふははははは!そこに隠れているのは分かっている!今から神へ祈っておくんだな!」
 敷島:(い、いや、取りあえずアーメンより南無妙法蓮華経で……)

 その時、マークがピタッと動きを止めた。
 敷島達の部屋には旧式の壁掛け時計があるのだが、それがボーンボーンと5回鳴ったのだ。

 マーク:「ぬ?もうこんな時間か。くそっ、タイムアウトだ。こうしてはおれん。神に感謝するんだな」

 マークはそう言って、敷島が隠れている倉庫から出て行った。

 敷島:(ふー、助かったー。じゃ、帰ったら信濃町へ直行だな)

 そっちかい!

 敷島:(時間って、これから何かあるのか?実はムスリムで、これからメッカの方向へ御祈りする時間とか?)

 敷島は箱の中から這いずり出ると、マークが出て行った出口から外に出て行った。
 因みに時計の音が外からも聞こえると思ったら、廊下には廊下で別に置時計があった。
 大きなノッポの古時計だ。
 ところがこちらは文字盤は動いているのに、肝心の振り子が動いていない。
 最近の振り子時計は、振り子は飾りで、別にそれが動いていなくても文字盤の針はちゃんと動くというものがあるが……。
 古時計に見せかけて、実はそのタイプだったりして?

 敷島:「開けてみよう」

 敷島は時計の中を開けてみようと思った。
 だが、鍵が掛かっている。
 鍵かキーピックがあれば開くだろうが、キーピックはあの時壊してしまった。

 敷島:「何か気になるんだよなぁ……」
 シンディ:「何が?」
 敷島:「いや、この時計の中さ。探索ゲームじゃ、この中に意外とキーアイテムが……って、うおっ!?」

 敷島はびっくりして大きく仰け反った。
 いつの間にシンディが!?
 シンディは片膝をついて、頭(こうべ)を垂れた。

 シンディ:「申し訳ありませんでした、社長。あの男からの遠隔制御があったのと、その後もそのフリをしないといけなかったので……」

 シンディはまるで義眼を出すかのように、両目から何かを出した。
 するとそれは、赤いLEDランプ。
 暴走したり、制御不能の状態になると両目が赤く光る仕様になっているが、シンディは目の中にこれを仕込んでわざと光らせていたという。

 敷島:「ええっ!?」
 シンディ:「あの男に操られているフリをしないと、マスターが危険だったのです。ですから……!申し訳ありませんでした」
 敷島:「そうだったのか……。本当に、今は暴走していないんだな?」
 シンディ:「はい。今、目は赤くなっていないはずです。でも、姉さんは許してくれないでしょうけど」
 敷島:「お尻ペンペンくらいは覚悟した方がいいな」
 シンディ:「それで許してくれますかねぇ……」
 敷島:「それよりこの時計だ。お前の力なら、こじ開け可能だろ?」
 シンディ:「もちろんです」
 敷島:「この中に何か隠されているような気がするんだ。開けてくれるか?」
 シンディ:「はい」

 シンディは時計の扉の取っ手に手を掛けた。
 そして、力づくで思いっ切りこじ開ける。
 因みに敷島は直前に嫌な予感がしたので、シンディに後ろにサッと隠れた。

 ボーン!

 シンディ:「…………」
 敷島:「……うん。何か嫌な予感がしたんだ」

 時計の扉をこじ開けると、時計が爆発した。
 もちろん、シンディは頑丈なのでダメージは無いのだが。
 で、爆発した時計の向こう側には隠し通路があった。

 敷島:「キーアイテムじゃなくて、隠し通路だったか。よし、行ってみるぞ」
 シンディ:「はい。私が先行します」

 シンディは暗い通路の中に入った。
 暗いのでシンディは右目を光らせた。
 マルチタイプは、右か左のいずれかをサーチライトのように光らせることができる。
 そこは小部屋になっていた。
 どうやらここは武器庫になっているらしく、明らかに日本では違法なものがゴロゴロ転がっていた。

 敷島:「狙撃用ライフルもあるな。よし、これはお前が持て。狙撃は得意だろ?」
 シンディ:「はい」
 敷島:「あとはショットガンを……。ん?これは……」

 敷島は鍵を拾った。

 敷島:「この先の通路とかで使えそうだな。よし、持って行こう」

 更に何故かアリスの発明品であるRデコイなんかもあった。
 これは時限式の爆弾を改造したもので、スイッチを入れると特殊な信号と光を発する。
 すると人工知能の劣るテロ・ロボットなどがそれに吸い寄せられて集まり出し、そうなった所で爆発して一網打尽にするという爆弾である。
 昔はこれで暴走バージョン軍団の足止めをしたものだ。

 敷島:「あの黒いロボット達に効くかなぁ……?」
 シンディ:「バカそうな感じですから、効くと思いますよ」
 敷島:「よし。じゃ一応、持って行こう」

 敷島達は小部屋から出ると、通路の先へ進んだ。
 果たして、そこにまた鍵の掛かった鉄扉があり、それこそ先ほど武器庫の中で手に入れた鍵で開いた。
 中に入ると、そこは大きな空間があり……。

 シンディ:「姉さん!」
 敷島:「エミリー!萌!」

 金網の向こうに、エミリーと萌が両手を縛られた状態で吊るされていた。
 電源が入っていないのか、敷島達が入って来ても反応が無い。

 シンディ:「こんなもの!」

 シンディは金網に手を掛けて引きちぎろうとした。
 すると、その時……!

 ???:「ブオオオ!ブオオオオオ!」
 敷島:「何だ?」

 別のドアをブチ破って、ある者が突入してきた。
 それは、あの黒いロボットの下半身を戦車にしたような形。
 キュラキュラキュラとキャタピラーを動かして、敷島達に向かってきた。

 敷島:「こいつは中ボスか!?シンディ、ブッ倒せ!」
 シンディ:「かしこまりました!」
 敷島:「俺は何とかこの金網を開ける方法を探す!」

 チェーンカッターは手に入れていたはずなのだが、本館に連れ込まれた時に没収されていた。
 因みに、ここは農機具などを入れておく倉庫らしい。
 見ると、トラクターなどが置かれている。
 あの下半身キャタピラーのロボットは、ここの重機でも使って改造されたのだろうか。
 このロボット、厄介なのはキャタピラーで動くくせに、戦車並みに動きが速いということ。
 少なくとも、ブルドーザーのような鈍重な動きではない。
 戦車部分の砲塔はグレネードランチャーになっているらしく、そこからシンディや敷島にグレネード弾を発射してきた。
 更に上半身の部分は右手がマシンガンになっていて、これでも発砲してくる。

 敷島:「逃げ回って、弾切れになるのを待つか!?」
 シンディ:「あの戦車の中に相当弾を積み込んでいるようだから、それは不毛だと思います!」
 敷島:「くそっ!」

 シンディも手持ちのショットガンをロボットに発砲しているのだが、戦車部分は頑丈なのでほとんどダメージを与えられていないし、上半身部分が亀のように引っ込むので、それもまた当たらない。

 シンディ:「このままじゃ私が弾切れになっちゃいます!」
 敷島:「参ったな……」

 ライフルは狙撃用なので、このようにちょこまかと動く敵に対しては照準を合わせられないので使えない。

 敷島:「ん、そうか。相手は要は小型の戦車だもんな」

 敷島はある作戦を思いついた。

 敷島:「元々地雷ってのは、対人用よりも先に対戦車用として開発されたんだぞ」
 シンディ:「どこに地雷があるんですか!」

 だが、敷島はニヤッと笑っただけだった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “Gynoid Multit... | トップ | “Gynoid Multit... »

コメントを投稿

アンドロイドマスターシリーズ」カテゴリの最新記事