報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 「ラスボス戦 逃げるが勝ちよ ハラーショと」

2017-03-07 21:17:47 | アンドロイドマスターシリーズ
[2月5日07:30.天候:晴 北海道東方沖……というか、国後島近海]

 エミリー:「このままではロシア領内に入ってしまいます!」
 敷島:「くそっ!既存政党のヘタレ議員共が!北方四島奪還してから日露友好とか言いやがれ!」
 萌:「返還されてたら、立派な日本国内なんですけどね」

 その時、床下からまたもやズドーンという音がした。

 敷島:「何だ何だ?また爆発か?」
 シンディ:「! 違います!これは……」

 ついに床下をブチ破って、そいつは現れた。

 マーク:「フッフッフッ……そうかそうか。ならば、一緒にロシア旅行と行こうか。だが、敷島孝夫、お前だけは許さん!」
 敷島:「俺だけ除け者かよ!」

 マークは倒された黒いロボット達の残骸と合体し、ある意味での合体ロボに変化していた。
 但し、残骸を適当に融合しただけの為、はっきり言ってガラクタのロボットだ。
 頭部だけが辛うじてマークの姿を留めている。

 アリス:「ダディ!もうやめて!」
 マーク:「アリス、お前には後でゆっくり説教してやろう。2度と悪い虫が付かないようにな。ん?敷島孝夫、お前は私の妻を殺し……そして、娘まで奪おうとしている……!その罪、万死に値する!」
 敷島:「オバハンは黒いロボットに撃ち殺されたんだから、俺のせいじゃないし!アリスと結婚する時、あんた達はしっかりと行方不明だったじゃないか!文句あるなら法廷に行こうぜ!?どうせこっちの勝ちだ!」
 マーク:「こ……この船ごと……海に沈めてくれる……!」
 敷島:「! そうか!その手があったか!」

 敷島は手持ちのマシンガンで船橋の窓ガラスを撃ち割った。
 そして……。

 敷島:「エミリー!俺を抱えて飛んでくれ!ここから脱出だ!」
 エミリー:「了解しました!」
 敷島:「シンディはアリスを抱えて飛べ!」
 シンディ:「はいっ!」
 マーク:「逃がすか!」

 マークは外に飛び出す敷島達にグレネード弾を放ってきた。
 だが、そんなことをしても船の爆発が早まるだけである。

 エミリー:「そんな都合良く爆発するものなんですか?」
 敷島:「いやな、よく見たらこの船……」

 エミリーに抱き抱えられて上昇する敷島。
 眼下に見える貨物船、それはただの貨物船ではなく……。

 敷島:「ガスタンク積んだタンカーだった!」

 敷島のセリフを合図にするかのように、大爆発を起こすタンカー。
 因みに慌てて引き返す軍艦のようなものがあったが、あれがロシア海軍だったか。

 敷島:「危ねぇ、危ねぇ!やっぱすぐそこにロシア軍いたんだなー!」
 アリス:「そのロシア軍、一隻、タンカーの爆発が飛び火して甲板に火が着いたみたいだけど……」
 敷島:「日本にさっさと返還しないからそうなるんだ、全く」
 エミリー:「でも、私達も笑ってはいられませんことよ?」
 敷島:「国際問題は政府にでも任せておけばいい」
 エミリー:「いえ、そうじゃなくて……」
 敷島:「何だ?」
 エミリー:「ジェットエンジンの燃料がまもなく切れます」
 敷島:「は!?」
 エミリー:「このままですと、岸まで間に合いません」
 敷島:「何だってー!?」
 エミリー:「国後島の岸でしたら、何とか間に合うと思います」
 敷島:「それはダメだ!何とかならんのか!?」
 シンディ:「! あれを見てください!」

 シンディが指さした所には、プカプカと浮かぶオレンジ色のボートがあった。

 敷島:「あれはタンカーの救命ボート!さっきの爆発で外に飛び出たんだ!よし!しょうがない。あれに乗ろう」

 敷島達はオレンジ色の救命ボートに降り立った。
 と、同時にマルチタイプがブーツに装着しているジェットエンジンの燃料が切れたらしい。

 エミリー:「あとはこのまま救助を待つしか……」
 敷島:「マジかよ」
 シンディ:「GPSによりますと、幸いロシア領からは出たもようです」
 敷島:「あとは海上保安庁か海上自衛隊に見つけてもらうだけか……。スマホは……あいつらに取られてしまったし、あとはエミリーやシンディが救難信号を発してもらってだな……」
 エミリー:「申し訳ありません」
 敷島:「ん?」
 エミリー:「バッテリー切れ……です」
 シンディ:「あ……アタシも……ゴメンなさい……」
 敷島:「マジかよ!萌、お前は……」
 アリス:「さっきから動かなくなってるから、こっちもバッテリー切れたみたい」
 敷島:「! リアル漂流!?」
 アリス:「…………」

 アリスもまた顔面蒼白になって失神した。

[同日10:02.天候:晴 場所不明]

 敷島:「ヤベェな……。水も食料も無いし、発煙筒とかも無いし……。これ、ヘタに船から出なけりゃ良かったのか……?いや、だとしても大爆発が……」

 アリスは相変わらず意識が無いままだ。

 敷島:「財布だけ持ってても、肝心のスマホが無いとなぁ……。いや、あってもここだと電波入んないか?」

 と、そこへ陸地が見えてきた。
 どうやら潮流……恐らくは親潮にでも乗って流されたのだろう。
 親潮の流れからして、今度は択捉島なんてことは無いと思うが……。

 敷島:「ん!?」

 すると、敷島達が漂着しそうな岸の向こうにヘリコプターが着陸した。

 敷島:「あれ?マジでロシア領内に入っちゃっ……た?」

 ヘリコプターから降りてくる面々を見ると、特殊部隊員のような出で立ちをしている。

 敷島:「マジで今度こそ、バッドエンドで終了か?」

 岸壁から今度はボートを下ろして、敷島達に接近してくる。
 ただ、見たところ、銃のようなものは持っていそうに無いが……。

 敷島:「…………」

 敷島が正体を確かめようと接近してきた部隊員達を見据えていると、そのうちの1人がフルフェイスのヘルメットを外した。

 鳥柴:「DCJ成田営業所の鳥柴です。救助に参りました」
 敷島:「……随分遅かったじゃないか」

 敷島は苦笑した。
 そして大げさに肩を竦めたのだった。
 ボートごとワイヤーで岸壁に引き上げられ、ようやく敷島達は陸地に上がることができた。

 敷島:「ここはどこだ?あいにくとパスポートは持っとらんよ?」
 鳥柴:「安心してください。日本ですよ。北海道の別海町の海岸です」
 敷島:「そうか……。ロイド達はバッテリー切れ、アリスも衰弱している。よろしく頼む」
 鳥柴:「分かりました。すぐに道内にある医療施設に搬送します。敷島社長も」
 敷島:「俺も?」
 鳥柴:「私から見て、敷島社長も相当疲労なさっているように見られます。早くヘリに乗ってください」
 敷島:「そうか……。そうかもな……」

 敷島達はDCJのロゴマークと会社名が大きく機体に書かれたヘリコプターに乗せられた。
 そして、すぐに離陸する。
 冬の太陽に照らされながら、ヘリコプターは道内のとある(恐らくはDCJの息の掛かった)医療施設へと飛んで行った。
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“Gynoid Multitype Cindy” 「船橋奪取」

2017-03-07 19:19:28 | アンドロイドマスターシリーズ
[2月5日07:00.天候:曇 北海道近海某所・貨物船内]

 火災警報やら何やら鳴りまくる貨物船内。
 ヘタすりゃ沈没するかもしれない。

 敷島:「アリス、どこだ!?」
 シンディ:「こちらです!」

 アリスが持っている発信機を頼りに、シンディがそれを受信してアリスの所へ先導する。
 そこはどうやら船員の仮眠室であるようだった。
 しかし、ドアには鍵が掛かっている。

 萌:「任せて下さい」

 萌が手持ちのキーピックを手に、仮眠室のドアの鍵穴をガチャガチャやる。

 黒いロボット:「ギルルルルル!」
 敷島:「しまった!見つかった!」
 シンディ:「とぉーっ!!」

 シンディは現れた黒いロボットに対し、頭部にハイキックをかました。
 ハイキックをまともに受けたロボットは、頭部が胴体から千切れてしまい、首から火花を吹かしてバタッと倒れた。

 敷島:「萌、まだなのか!?」
 萌:「もうすぐです」

 カチッという音がして、開錠の音が聞こえた。

 萌:「開きました!」
 敷島:「よし!」

 敷島達は仮眠室の中に入った。
 2段ベッドの並ぶ仮眠室。
 そのうちの下段部分に、アリスが寝かされていた。

 敷島:「アリス!アリス!」

 敷島達に背を向けて眠っているアリス。
 敷島が揺り動かすと、アリスはこちらを向いて目を覚ました。
 ウェーブの掛かった金髪が顔に掛かる。

 敷島:「タカオ……?」
 シンディ:「マスター、よく御無事で……」

 シンディは目に涙を浮かべた。
 確かエミリーも、敷島と再会した時には同じような反応をしていた。
 そこは同型の姉妹機といったところか。

 アリス:「! あいつは!?」
 敷島:「あいつって、マークのことか?それなら、船底で黒焦げになったよ」
 アリス:「そうなの!?」
 敷島:「そうだ。あとは……エミリーはどうした!?」
 シンディ:「まだ船は止まってませんわ!」
 アリス:「急いで船を止めて!このまま外国に行くってよ!」
 敷島:「何だって!?どこへだ!?」
 萌:「そ、そういえばこの船、船体にキリル文字が書いていたような……」
 敷島:「ロシアか!何だ!?サハリンにでも行くつもりか!?」
 アリス:「いや、多分、西の方の島だと思う」
 敷島:「北方四島のどこかか!てか、本来外国じゃないぞ、そこは!」
 シンディ:「そんなこと言ってる場合じゃないわ!早く止めに行かないと!てか姉さん、何やってんのよ!?」

 敷島達は仮眠室を飛び出して、船橋(ブリッジ)へ向かった。
 エレベーターは故障してしまったので、階段で向かうことになる。
 アリスは衰弱してしまっている為、シンディがアリスを背負って向かった。

 シンディ:「すいません!マスターを背負っている関係で、ハンドガンしか使えませんので!」
 敷島:「分かってるよ!」
 黒いロボット:「ギュルルルルルル!」
 敷島:「しゃらぁーっ!!」

 敷島、船内の途中で都合良く拾ったマシンガンを黒いロボットに掃射する。

 シンディ:「社長、凄い……」
 萌:「上に向かうに連れて、あのロボットが増えてるよ」
 敷島:「参ったな。そっちに敵が集中してたのか。エミリー1人じゃ厳しかったか?」

 ようやく船橋区画の4階に辿り着く。
 すると、エミリーが床に倒れるところだった。

 敷島:「エミリー!」

 倒れて動けなくなったエミリーに向かってくる黒いロボット3体。黒い三連星だ。
 シンディはアリスを降ろしてダッと走り出すと、両手をついて逆さになり、両足を180度広げ、ヘリコプターのプロペラのように回転させた。
 その足技は複数の敵に対応できるのか、三連星……もとい、3機の黒いロボット達を一気に蹴り飛ばした。

 敷島:「す、スピニングバードキック!?おまっ、いつの間にそんな技を……!?」
 萌:「エミリーやシンディのスカートのスリットがかなり深いのは、あの為ですか?」
 敷島:「いや、それだけじゃない……はず。って、そんなことしてる場合じゃない!萌はアリスを見ててくれ!エミリー、大丈夫か!?」

 敷島はエミリーに駆け寄った。

 エミリー:「だ、大丈夫です。只今……自己修復中……です」
 敷島:「そ、そうか。ムリさせて悪かったな。まさか、こんなに敵が多いとは……」

 そうしている間に、シンディが他の黒いロボット達を倒してしまった。

 シンディ:「クリアしました!」
 敷島:「よーし!って、人間のテロリストは結局いなかったのか!?」
 シンディ:「恐らくは……」
 敷島:「まあいい。早いとこ、船を止めよう。……って、船の止め方知らん!」
 シンディ:「私が何とかしてみます」
 エミリー:「私もやります」
 敷島:「よし、何とか頼むぞ」

 敷島はそう言って、舵輪の前に座った。
 マルチタイプ姉妹が色々と機器を操作する。
 すると、オートパイロットが解除になった。

 シンディ:「今です!取舵お願いします!」
 敷島:「了解!……って、取舵ってどっちだっけ?」
 シンディ:「左です!左!」
 敷島:「おっ、そうか。ようそろーっ!」

 敷島は舵輪を思いっ切り左に回した。

 敷島:「因みに今、どの辺なんだ?」
 エミリー:「北東の空が晴れてきましたので、前方に国後島が見えてきました」
 敷島:「マジかよ!?ロシア軍に拿捕されんじゃん、それ!捕まるなよ!?捕まったら会社を畳むことになるぞ!」
 萌:「北方四島がちゃんと返されていたら、海上保安庁に捕まる程度で済むんですけどねぇ……」
 敷島:「それもそうだな。……って、それもダメ!……ってか、何で俺達が捕まらなきゃならんのだ!?」

 と、その時、床下から大きな衝撃音が聞こえてきた。

 敷島:「な、何だ!?ロシア軍の潜水艦に攻撃されたか!?」
 シンディ:「ち、違います!きっと船底の火災がここまで来たんです!」
 敷島:「おいおい!防火区画と消火設備は……あの様子じゃダメか、くそっ!早く北海道のどこかの岸に着けないと……!」

 だがその直後、この船に起きている事態は、けして火災やロシア軍のせいでは無かったことを知る。
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