第28回西川鯉りさいたるが終了しました!

2024-03-05 16:21:33 | 日記

ずっと雨と寒さに悩まされて憂鬱な毎日を過ごしていましたが、3月3日の朝、宿泊していたホテルのカーテンを開けると青空が目に飛び込んで来ました。

青空の中を2万人のランナーが駆け抜ける東京マラソンが開催される日であり、私達ladyの為の雛祭りの日であり、そして「第28回西川鯉りさいたる」が正午より東京日本橋劇場で幕を開ける日です。青空を見て晴れ晴れとした気分で朝食をゆったりといただき、会場へ向かいました。歩いて5分くらいだというのに道に迷って親切なおにいさん?に入口まで送り届けていただきました。観客で来たことはあるのですが、ここで踊るのははじめてなので最初のうちは楽屋から舞台への動線、楽屋の中が方向音痴で覚えられず踊るより大変でした。

思いがけなく家元が地下鉄乗車も厭わずご来場いただき、私もスタッフも地方の皆さん、社中の皆さんも元気が出て、雰囲気が大いに盛り上がりました。東京西川鯉の會のメンバーはそんなに多くないのでいつも京都より応援を頼んで来たのですが、今回ははじめて東京メンバーで分担しての開催でしたので、家元のご満足いただけるような対応ができたかどうか心配しながら準備を進め、いよいよ開演ベルが鳴りました。

最初は「長唄 外記猿」ーこの春に師範試験を外記猿で受験したいと言われ、千代先生に何度も習いながら一向に好きになれずにいたところ、三年前に偶然に観せていただいた時に興味が少し出て、足腰が達者なうちでないとできない曲だなあと思い、今回頑張って勉強しようと思い、臨みました。師匠より譲りうけた衣装があったことも迷っていた気持ちを後押ししてくれました。今回挑戦してだんだん愛着が湧いて来ました。

次の曲との合間は葛西聖司さんがいつもながらの巧妙なはなしぶりで、皆さんに曲目解説などを中心に話を進め、家元も引っ張りだしてお客様を楽しませて下さいました。鯉求さんの宣伝も何故かして下さいました。

最後の演目は「清元 築地明石町」ーこの劇場での開催が決まった時にふと頭に浮かんだ演目です。師匠の晩年の代表作なので、襲名させていただくことが決まった時にいつかはさせていただかないととは思っていたのですが、あまりにも自分とかけ離れ過ぎた気持ちがして手も足もすくんでしまっていました。ところが最近京セラ美術館で鏑木先生の絵を拝見した時、少し親近感を持ちました。そんな中、偶然にも日本橋劇場の使用権利が転がり込んで来たので日本橋の地で思い切って挑戦させていただくことにしました。師匠の舞台とはイメージが少し離れてしまった感がするのですが、襲名時に前家元西川右近先生が「もう先代西川鯉の舞台を知る人はほんの一握りになった今、自分で新しい西川鯉を作っていきなさい。」と襲名披露の演目の稽古をしていただいた時におっしゃったお言葉を思い出して、自分なりに少し工夫してみました。ご覧いただいた皆様からの感想を聞いてもっともっといい作品にしていきたいと思います。