"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

月の美しきことかな

2009年10月05日 19時52分09秒 | 季節のおはなし

 旧八月十七日。今年の“中秋の名月”は一昨日、10月3日でした。東京でも予報に反して雲に切れ間ができて名月を臨むことができたようです。やっぱりこの夜の月は何としてでも眺めたいのが日本人の願いなのでしょうね。

 上海では10月1日から国慶節の連休に突入して、工場がストップしたためか、あるいは車が減ったためか、空気が格段に澄んで朝から雲一つない青空が広がりました。夕方名月が上る頃を待って、街に出てみました。
 そして実際の満月となった昨日(10月4日)には、観光客で賑わう水郷の古鎮、朱家角に出掛けて、二日続きの名月を楽しみました。2009年、平成二十一年の名月を写真でご覧ください。

1005meigetsu1_3  右の写真は10月3日。上海の街中にて。「たぶんあの辺りから月は昇って来るだろう」ときょろきょろしているものの、ビルが多くてよくわかりません。やがて東の空が段々と暗くなり始めた頃、二棟の高層マンションの間に、薄ら光る大きな名月を発見しました。マンションの階段をゆっくり歩いて上がるかのように、月が昇って行く動きを肉眼でもとらえることができました。

1005meigetsu2_2  場所を移動してフランス租界時代の建物が残る地区へ。月の行方を探してみても、まだまだ鬱蒼と葉を繁らすプラタナスの街路樹が邪魔をしてなかなか見つけられません。日も暮れて空が暗くなってしまうといい写真も撮れなくなってしまうので、またしても不審者のようにきょろきょろしながら歩きまわりました。そんなこんなで撮ったのが左の写真です。夕刻の慌ただしいさをよそにぽっかりと浮かんだ名月に優雅な時を感じます。

1005meigetsu3_2  日付が変わる頃の中秋の名月。空気も澄み切っていて高いところから明るく照らしています。電気が無く、蝋燭や油が貴重だった頃、この明るさは人々の心を躍らせる有り難いものだったのでしょう。中秋の名月のたびにそんなことを考えさせられます。左の高層ビル(香港新世界タワー)に反射する月光からも強いエネルギーを感じます。部屋の電気を消して、月明かりが差し込んで出来る陰がとても好きです。なんだかパワーが集まっているような・・・。

1005meigetsu4_3  朱家角(zhujiajiao)での十六夜の満月。夕まづめの空、古い建物の瓦屋根と共に名月を写真に収めたいと思っていたのですが、なんとか実現することができました。レストランの青いテントがちょっと残念なのですが、観光地ですから、それもありですかね。ちょっと郊外に出ると灯りが少なくなるので、歩いていると月の明かりが伝わってきます。

1005zhujiajiao  この月が昇り始めた頃、月の行方に気をとられていたのですが、反対側の西の空では夕焼けが奇麗でした。その紅が紫色になりやがて消えて行こうかという時。水の豊かな場所は夕景がよく似合います。普段は寂しくなる時でしょうけれども、名月の夜は明るい夜への期待感が勝るようです。昔の人の気持ちが少しわかったような気がしました。