とのさま不経済新聞 by 雲葉

「よるのとのさま」から改題(2013年2月1日)

哀歌第12部 ~急行『銀河』

2007年11月18日 | とのさまの休日
  正直な感想から書くと、よく今まで残っていたと思う。

  朝起きて朝刊を手にすると、1面トップが「東京駅発 消えゆくブルトレ」(リンクはアサヒコム、見出しは紙面のもの)。

  来春には急行『銀河』が、2009年にも『富士』『はやぶさ』が廃止の見込みとなり、これで東京駅を出る夜行寝台列車は『サンライズ瀬戸・出雲』だけとなり、青い車体がトレードマークの“ブルートレイン”は東海道筋から姿を消す。

  拙者自身、実はブルトレの利用回数はそう多くない。サンライズ化前の『瀬戸』が1度、上野→秋田の『出羽』や、新津から北海道の木古内まで『日本海』など。寝台の『銀河』は1度だけで、多客期に走った座席の臨時『銀河』が何度か。

  やはりなんといっても料金が高い。貧乏学生に一泊6千円はキツイ。先述の利用もすべて就職してからのものだ。

  嫁はんは結婚前に何度か上京した際、当時住んでいた京都へは『銀河』の寝台で帰ることが多かった。いくらか払っても横になれるのが魅力だったらしい。

  さて、ブルトレ廃止の理由はご多聞に漏れず利用が芳しくないとか車輌の老朽化というもの。そう聞くと、「大した梃入れもせず簡単に廃止とはケシカラヌ」という声もあろう。でもこれは20年以上前に国鉄の分割が決定した時点ですでに懸念されていたことでもある。

  特に東京と九州を結ぶ列車は4つの会社に跨って走ることになるし、今回の『銀河』も東日本東海西日本の3社に跨る。各社の施策や採算面が噛み合わなければ乗車率が良くても存続が危ぶまれる。その代表とも言える例が東京と北九州を結んでいた『カートレイン』だろう。

  JR各社に跨る場合の運賃配分は走行距離に比例する。そのためカートレイン用の客車や機関車を保有していたJR九州が、配分が少ないのに維持費がかさんで割に合わないから廃止になったという話がある。

  新車を投入しようにも各社の思惑が絡むし、無動力の客車列車となれば牽引する機関車も必要になる。今回のブルトレ廃止も、むしろ機関車の老朽化が大きいのではないかと思う。たまに横浜駅などで見かけるブルトレ機関車はなんだか痛々しい。古くなれば部品確保もままならないだろう。貨物列車用のを使うとなれば、貨物は別会社だから、また精算の手間が増える。

  そう考えると最初に書いたように、分割民営化から20年も、よく生き残っていたものだと思う。

  今や東京~大阪なら夜行バスで5千円以下というものもある。大阪から東京なら、上り『サンライズ』が大阪発0時半ごろ、東京着7時過ぎと絶好の時間帯で走るし、特急料金のみで横になれる設備もある。

  列車の廃止には一抹の寂しさがあるけれど、各社が協力して夜行列車を含めた鉄道旅行の魅力をこれ以上捨て去るようなことがないように願ってやまない。