「オールディズ・何丁目の夕日?」
第2話 「ストーブ」
12月になりました。
関東も日中でもかなり寒くなってきました。
東北、北海道はもう雪が降っています。
以前もお話しましたが、私の田舎は北海道で、ほぼその最北端の場所です。
子供の頃は夏でも家に「ストーブ」が置いてありました。
夏は「薪(まき)ストーブ」です。
「薪ストーブ」って知ってますよね。
木を燃料にしたストーブでが、別荘に置いてあるような、シャレたデザインの”暖炉”とは違います。
”鉄板製のストーブ”です。
8月も中旬、お盆過ぎともなると、夕方には”ストーブ”を焚くようになります。
これが、冬に近づくと鋳物製の「石炭ストーブ」に変わります。
鋳物の方が厚みがあって耐熱性・蓄熱性があります。
石炭は火力が強く、火持ちがしますので、夜寝る前に新たに少し石炭を入れて置くと朝まで種火が消える事がなく、部屋中を暖かくしておいてくれます。
学校においてあったのは通称「ダルマストーブ」と言われる大型のものです
私の子供の頃の校舎は古い木造でした。
冬ともなると教室の窓のあちらこちらから”隙間風”が入ります。
なので、11月初旬には全校生徒で窓に新聞紙で”目貼り”をしました。
大鍋でデンプンをお湯で溶かして”糊”を作り、新聞紙を細長く切って、そこに”糊”を塗り、窓の隙間に貼って行きます。
クラス全員でわいわいがやがやと、今振り返っても楽しかったですね。
そして、冬になると、”ストーブ当番”が毎週決められて、石炭置場からバケツで石炭を持ってきて、ストーブの火が絶えないように、様子を見ながら石炭を入れるわけです。
真冬には石炭ストーブの鋳物の表面が真っ赤になるくらいにがんがんに焚いてましてたね。
ですから、ストーブの近くの席に座ってる生徒は汗だくで顔も真っ赤です。
それでも、ストーブから離れた窓際の席の生徒は防寒着を着ていても寒くてがたがた震えている状態でした。
その頃は給食なんてありませんから、それぞれ家から持ってきた弁当をストーブの傍に置いて温めておきます。
お昼休み前には教室中に色々な”おかずの臭い”が漂っていました。
今は、温暖化の影響で北海道も夏はかなり暑いそうです。
従って、夏にストーブを焚くなんて事はもう無いでしょう。
そして、冬は「石油ストーブ」や「ガスストーブ」が主流に変っています。
ただ、「石油ストーブ」や「ガスストーブ」は”石炭”と違って消火すると、すぐに冷めてしまいますので、寒冷地では寝ている間も”火力を弱”にしてストーブを着けぱなしにしておきます。
先日のニュースで今年は原油高で灯油の値段がかなり値上がりしてると言ってました。
寒冷地の皆さんにはまさに死活問題です。
家庭で、学校で、集会所で、駅で、いたる所で「ストーブ」の周りには人が集まってきました。
人が集まれば自然と話が弾みます。
何も話をしなくても、ストーブの中の揺れる炎を見ているだけで心がなごみます。
「薪ストーブ」も「石炭ストーブ」も今ではすっかりその姿を消してしまいました。
でも、昔のストーブが持っていた”なごみの空間”までも無くしたくはないものです。