垣根 涼介 著 「ワイルド・ソウル」を紹介します。
大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初の三冠受賞。
1961年、衛藤一家は日本政府の南米移民政策に乗り、希望を胸にアマゾンへ渡った。
しかし、彼らがその大地に降り立った時、夢にまで見た楽園はどこにもなかった。
彼らを待ち受けていたのはまさに地獄だった。
劣悪な農地、すべてを押し流す豪雨、マラリアを始めとした病気……。
妻や兄弟、両親を失い、己の人生をも狂わされた男達・・・。
家族を失いながらも様々な苦難を生き抜いた彼らは戦後最大級の愚政“棄民政策”を実行した日本政府に対し、報復を計画する。
四十数年後、三人の男が東京にいた。
衛藤の息子ケイ、松尾、山本。
彼らの周到な計画は、テレビ局記者の貴子をも巻き込み、歴史の闇に葬られた過去の扉をこじ開けようとする。
外務省襲撃、元官僚の誘拐劇、そして警察との息詰まる頭脳戦。
ケイに翻弄され、葛藤する貴子だったが、やがては事件に毅然と対峙していく。
未曾有の犯罪計画の末に、彼らがそれぞれ手にしたものとは―
戦後の”南米移民政策”があった事は知っていても”その実情はどういうものだったか”を知っている人は少ないでしょう。
本書は移民政策の実情を克明に描くと共に、フィクションとしてその悲劇の日系ブラジル人たちによる、日本政府に対しての復讐劇を重ねて描いたものです。
そのスケールとリアリティと展開の速さに圧倒されます。
映画化が決定済みと言われてます。