令和3年度県農林水産業賞に10人と1団体の受賞が決まった。日高地方から農業部門で「ゆら早生」の発見者でブランド化、産地化に寄与した由良町三尾川、農業の山口寛二さん(85)▽林業部門で紀州備長炭指導製炭士として活躍する日高川町山野、製炭業の足川修さん(61)▽水産業部門でアカモクの製品化、販路開拓に取り組んでいる由良町の紀州あかもく会(中村和孝代表、会員16人)が選ばれた。表彰式は12月2日午後1時30分から県庁で開き、仁坂吉伸知事が表彰状と記念品を贈る。
山口寛二さん 昭和60年に自園で農作業中、宮川早生ミカンの一枝に着果している果実の着色が極端に早いことを発見。県果樹園芸試験場の協力を得て特性調査を行い、成熟期が早く果実品質の優れた有望な系統であることが確認され、平成7年9月14日に「ゆら早生」として種苗登録された。
菱三出荷組合の役員、ゆら選果場の副場長を歴任し、ゆら早生ブランド確立協議会とともに平成16年より生産対策としての定点品質調査、出荷時期拡大に向けた現地試験、集出荷基準の設定(糖度基準など)や精力的な消費宣伝を行いブランド確立を牽引。県試験場や普及指導員と連携し高品質果実生産技術の確立、ゆら早生の導入面積の拡大や栽培指導にも尽力し産地化に大きく貢献した。
山口氏は「この度の受賞はありがたい。多くの消費者の方にゆら早生を知ってもらえうれしい。今後もミカンを栽培したい」と話している。
足川修さん 平成6年4月から製炭業に従事している。父からさまざまな知識と高度な技術の指導を受け習得に努めた。
町村合併目前の17年4月に設立した日高川町紀州備長炭保存会では「生産量日本一の産地」としてPR活動に尽力した。製炭業は従来、家業として生産技術を家族に継承するのが常だが、Iターン者に対して惜しみなく技術指導に当たり多くの継承者育成に尽くしている。
町保存会の会長職に留まらず県木炭協同組合でも県産備長炭振興に力を注ぎ、他県の製炭者からも模範となり技術交流に努めている。28年3月には経験と優れた技術を買われ、「紀州備長炭指導製炭士」の認定を受けた。「とてもありがたいことです。地域や周囲の方
々のおかげと感謝しています。知識と技術を伝え、製炭という仕事を将来へ残していきたい」と話している。
紀州あかもく会 管内漁業者の所得拡大を目指し、商品価値のなかったアカモク(海藻の一種)に着目し、有効活用を目的に海藻の加工先進地・鎌倉漁協を視察し、独自の製品開発、加工工場の拡充を経て平成28年4月に同会(会員16人)を結成した。
アカモクを使用したメニューの考案や観光業との連携活動など県内外の販売活動を積極的に展開し、地域資源としてのブランディング化に貢献。近畿大学と共同でアカモクの成分を研究し美容に効果があると判明、令和2年度に美容液「AKKYURA」の製品化に成功。同3年度には由良・日高・美浜・日高川4町の小中学校の給食メニューにも使用された。
中村和孝代表は「アカモクを認めてもらえうれしい。受賞は会員、漁協、日高振興局、由良町など皆さんのおかげで、今後は認知度を高めていきたい」。
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