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日高高校が県内初のスーパーグローバルハイスクール指定を唯一獲得 〈2016年4月2日〉

2016年04月02日 08時30分00秒 | 記事

100周年記念事業で開催したアジア高校生フォーラム(平成26年10月)
SGH指定でさらに充実したグローバル教育に挑む


 文部科学省は31日、平成28年度スーパーグローバルハイスクール(SGH)指定校の一つに日高高校(上田優人校長)を選定したと発表した。指定されたのは日高高校を含め、全国から国立1校、公立8校、私立2校の計11校で、県内校の指定はSGH構想が始まった平成26年度以来初めてで、唯一。日高高校は指定期間の今後5年間、「翔べ 日高から世界へ~地方を創生するグローバルリーダーの育成~」のテーマのもと地方創生を念頭においたグローバル教育に力を注ぐ。

 SGHとは、グローバル化が加速するなか、生徒の社会課題に対する関心と教養、コミュニケーション能力、問題解決能力等の国際的要素を身につけ、将来国際的に活躍できる人材を高校段階から育成しようと、文部科学省が平成26年度から行っている取り組み。大学や企業、国際機関等と連携し、指定校等で質の高いカリキュラムの開発・実践と体制整備を進める。指定期間は5年間。
 選定は、外部有識者からなるSGH企画評価議会で行い、構想調書等の提出があった114校から、教育活動の実績と計画の実現性、発展性、継続性を評価し、審査。日高高校は書類審査の後、上田校長と担当教諭、県教委職員が7分間のプレゼンテーションと質疑応答する審査を経て、念願の指定を獲得した。
 日高高校は昨年も応募したが、授業のなかでの取り組みを想定する文科省と、特別活動としての活動を見込む日高高校の価値観が合わず、指定獲得は成らなかった。その教訓から日高高校は構想を再考。地方創生を念頭に和歌山と世界をつなぐ学修・研究・協働、体験活動プログラムを構成し、審査会ではその有益性をアピールした。構想内容に加え、100周年記念事業の一環で開催した平成26年10月のアジア高校生フォーラムの成功や、目下進めているOECD(経済協力開発機構)地方創生イノベーションスクール2030での取り組み、日頃の中国やアジア、デンマークなどとの国際交流活動や、1600人参加の地域合同避難訓練などの実績も評価され、今回の指定獲得に至った。
 指定により国から約1000万円の資金提供が得られ、今後「翔べ 日高から世界へ~地方を創生するグローバルリーダーの育成~」のテーマのもと「文化」「移民」「産業」「防災」の4つを題材に、研究活動を進める。「文化」では、道成寺や日高別院など地元文化財を理解し英語で情報発信して観光産業へとつなげる。「移民」では薄れつつあるアメリカ村カナダ移民の歴史を見つめ日本と外国との縁を考察。「産業」では、世界展開する地元企業に着目し、地元でも雇用の場があることを知り、企業社員らと話をするなかで新しいものを生み出す試みも。「防災」では、近い将来確実に起こるとされる地震津波をふまえ、まち全体の防災を考え、地域住民の防災意識を高めることを目指す。
 1年生では4つの各題材の基礎をひととおり学び、2年生では生徒自らがそのなかから興味ある分野を選んでさらに探究。3年生ではそれまでの研究成果を英語で発表できるまで高めるのが具体的活動の大枠。目下進めているスーパーサイエンスハイスクール(SSH)やOECDイノベーションスクールの取り組みとの相乗効果も狙い、すでに交流のある海外、国内の高校生らも巻き込みながら展開していきたい考え。
 上田校長は「SGHは日高高校のグローバル教育の目標だった。指定がかなったことで今後のグローバル教育はさらに充実するし、指定自体が今までやってきたことの証明にもなる。生徒らが地域に密着して地域の人と話し合い、日高のまちを愛する。その姿を世界に発信していきたい」と話している。 

SGH指定は123校に

 SGH事業の平成26年度開始から28年度までの指定校数は123校(国立12、公立73、私立38)。SGH事業構想をより多くの学校に広めていく観点からSGH事業を踏まえたグローバル・リーダー育成に資する教育の開発・実践に取り組む高校等が指定されるSGHアソシエイトの同総計は56校(国立2、公立24、私立30)。SGHアソシエイトの今年度対象には、県内から田辺高と和歌山信愛中高学校が指定された。


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