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御坊市津波対協で名屋、新町に1基ずつ避難タワー建設決定 〈2015年8月29日〉

2015年08月29日 08時30分00秒 | 記事

協議会でタワー建設方針を提示


 御坊市は27日、市役所で第2回南海トラフ巨大地震津波対策検討協議会を開き、県の南海トラフ巨大地震に伴う「津波避難困難地域」の指定を受けた名新地区(面積35・5ヘクタール、人口1209人)の対策について避難困難者約1200人を収容するため、名屋、新町両地区に津波避難タワーを1基ずつ建設する方針を提示した。委員から特に異論はなく、年内にも場所を選定し、平成29年度事業化を視野に計画をまとめる。
 
 協議会は柏木市長を会長に関係部課長5人、消防長、消防団代表1人、名新地区代表3人、同地区の自主防災組織代表7人、自主防災組織「防災女性の会」代表1人で構成し、県と日高振興局がオブザーバーで参加。避難困難地域に指定された地域のうち、薗の一部は日高川堤防沿いに今春完成した市内第1号の津波避難タワーでカバーできるとし、今回は名新地区の対策がメーンとなる。
 会議では担当課長ら4人でつくる作業部会の検討結果を報告。避難速度(毎分21メートル)や垂直避難時間(3分)など避難可能距離をもとに「名屋地区、新町地区の2カ所に整備するのが合理的で現実的」との基本方針を提示。施設の規模(最上階の避難ステージ面積、1人0・5平方メートルで計算)は名屋地区が避難困難者数約500人収容可能な約270平方メートル、新町地区が約700人収容可能な約350平方メートルを目安とした。
 必要となる敷地面積は名屋地区が450平方メートル以上、新町地区が590平方メートル以上とした。基本的に予算の必要な民間用地の購入は考えておらず、市有地で選定する方針。候補地としては名屋地区が名屋公園(敷地面積980平方メートル)、新町地区は旧さざなみ保育園(同823平方メートル)が挙がっており、今後、作業部会でより具体的な施設の規模などを検討した上で早ければ年内に場所を選定し、協議会に提示する。
 委員から「100人、300人規模の避難訓練を何度も行っているが、ビルの3階まで全員が避難するのに3分では無理」「費用を抑えるのは分かるが、一人でも多くの命を救うことを考えてほしい」「高齢者や障害者が長時間、屋根のないタワーで過ごすのはつらい。屋根があり、備蓄できる施設整備を考えてほしい」「避難困難者で移転希望者は優先的に市営住宅に入居できるとか、高台に市営住宅を建設するなども考えるべき」などの意見があった。
 国の南海トラフ巨大地震特別措置法に基づく有利な補助金を活用する場合は5カ年の津波避難対策緊急事業計画を策定する必要があり、着手時期は早くて平成29年度になりそう。建設には1基で億単位の費用がかかるため、3カ年計画で進める予定。津波避難タワー建設のほか、名新地区にある民間ビル2カ所程度を緊急避難施設に指定することも検討している。


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