マジ久々のあにめぞんレビュー、前回「今年いっぱいには終わらす」なんて書いて直ぐこれだ。(汗)
ちゃんと終わらす積りでは居るんですよ…てゆーかタイトルに「ざっくばらん」って入れながら、ここ数話ちっともざっくばらんじゃない件。
こんな書き方じゃ5年費やしても終わりそうにないんで、初心に立ち返り「ざっくばらん」な感想を目指します。(汗)
それでは
前回の続きでアニメ第89話のレビューです。
・第89回「結ばれぬ愛!五代と響子今日でお別れ?」脚本:小西川博 コンテ・演出:澤井幸次 作画監督:中嶋敦子
前回、五代がこずえちゃんとキスをしてる現場を偶然目撃してしまった響子さん。
アニメではそのショッキングなシーンを振り返った後、今回のタイトルコールが入りました。
五代がこずえちゃんとキスをして、響子さんがショックを受けるという筋立ては原作通りでも、その描き方がアニメと原作で全く違ってて興味深い。
原作では目撃した響子さんの顔がギャグタッチなのが、アニメでは恋人の浮気を知ってショックを受ける悲劇のヒロイン。
作者がギャグ調に描いた理由は「例の如く響子さんが誤解してヤキモチ大爆発だよ(笑)」と客観視してるからでしょう。
ところがアニメはこの場面を響子さん視点でシリアスに描いた…そのため筋立ては同じでも観た印象が全く違うものになりました。
翌朝、一刻館で庭掃除をしながら思いに耽る響子さん、その様子を2階の窓から野次馬目線で観察する住人達。
彼らは悟った――きっとまた五代関わりで何か有ったと――響子さんが悩む理由って、物語終盤は五代関わりだけだったからね。(笑)
グッドタイミングにも五代は今日キャバレーから一刻館に戻って来るらしい、今夜の宴は盛り上がるだろうとほくそ笑む住人達だった。
一方キャバレーでは五代がマネージャーに、お世話になった御礼と別れの挨拶を告げていた。
見送る飯岡マネージャーは「何なら永久就職しても良いんだぜ?」と揶揄いつつ、「女と付き合うなら1人にしとけ、お前は両天秤にかけられるたまじゃねえ」と忠告する。
振り返れば五代の為を思って数々の忠告をくれた飯岡マネージャー、作中で五代の将来を最も案じてくれた人かもしれない。
『俺だって両天秤にかける積りないけど…』
一刻館に帰る道すがら、こずえとのキスを思い出す五代。
『やっぱりこずえちゃん、未だ俺の事…』と重い溜息を吐く五代だったが、「君とは付き合えない」と相手にはっきり断らないままで、未だもへったくれもないんじゃないでしょーか?(笑)
舞台は変わり一刻館、玄関前では響子さんが犬の惣一郎さんに餌をあげていた。
そこへ「ただいま!長い事留守にして済みませんでしたぁ!!」と明るい笑顔を浮かべ、五代が帰って来る。
出迎えた響子さんは「お帰りなさい」と言ったきり、建物の中へ引っ込んでしまった。
その夜に五代の部屋で催された「五代君お帰りなさい」の宴でも、響子さんはぶすっと不機嫌モードで、五代の存在を無視する様な冷たい態度、何が理由で自分に対し怒ってるのか解らない彼は困惑する。
朱美が五代のコップに酒を注ぎながら、今回の喧嘩の原因を訊ねた。
五「は?僕が誰と喧嘩してるんです?」
四「お・と・ぼ・け!」
朱「ダメよォ!管理人さんは直ぐに顔に出るんだから!」
五「何で僕と管理人さんが?」
四「五代君、我々が訊いてるんですよ?」
五「喧嘩なんかしてませんよねえ?」
住人達にしつこく問い詰められた五代が、響子さんにおどおどと尋ねる、すると彼女は怒気を露わにきっぱりと答えた。
「ええ!喧嘩なんかになりませんわ!五代さんに心当たりが無いのなら!」
彼女の一言で宴の席が冷たい沈黙に満たされる――そこへ電話の鳴る音が響いた。
電話に出ようと響子さんが廊下へ出た隙に、住人達からきつい尋問を受ける五代。
「さあ!洗いざらい吐くんだ!!」
「僕は本当に何も…」
「何も無いのに管理人さんがああなるゥ?」
「言わないとキャバレーへ追い返しますよ」
「そんな事言ったってぇ!!」
「浮気してるトコでも見られたんじゃない~?」
朱美の言葉に思わず顔面が蒼白に変わる五代――まさか…こずえちゃんとキスしたトコを、管理人さんに見られたなんて事は…!?
そのまさかなんですよ、五代君。(笑)
電話を受けた響子さんは、部屋に戻ると能面顔で五代に告げた、「こずえさんから、お電話です」と――
翌日の昼、五代はこずえちゃんから相談したい事が有ると言われ、喫茶「ローリィー」に呼び出されていた。
窓際席で対面した五代に、彼女は「実はプロポーズされていて、今日の夕方に返事をする約束なの」と告白する。
付き合ってた男が他に居たと知り、少なからず動揺した五代は、プロポーズを受ける気なのか尋ねた。
その質問に「実はぐらついてた」と正直に答える彼女、でも「五代さんからキスして貰っちゃったから断る気で居る」と――聞いた瞬間『キスして貰っちゃった~~!?(そっちが無理矢理したんじゃないか!!!)』と心中で叫ぶ五代に笑う。(笑)
彼の内心を知ってか知らずか、鞄からメモ帳を取り出した彼女は、卒業試験の結果が何時解るか五代に訊く。
「ゴメンね…はっきり断る決心まではつけられないの…だから、五代さんの結果発表まで待って貰う事に決めちゃった…ゴメンね…ズルいかもしれないけど」
五代が卒業出来なかったらプロポーズ受ける気だろうか?
ちなみに原作では「保育士免許試験の結果を待って」でした。
何れも打算を感じさせる台詞だけど、はっきり口に出す所がこずえちゃんの潔さ。
一方、潔くない五代は、彼女の言葉を聞いて、己こそ長い間ズルい男だった事に気付かされるのだった。
中盤までぶっちゃけ本命響子さんで、対抗こずえちゃんに据えてたものねえ。(笑)
彼女と添い遂げる気が無いのに、曖昧な関係を続けて良いものか?――いや良くない!!
こずえちゃんの幸せを考えるなら、今こそ俺の気持ちをはっきり告げて、2人の関係をすっぱり断たねば!!
決意を固めた五代に呼応するかの如く店内の曲が鳴り止み、辺りが静寂に包まれる。
「…君に…言わなくちゃならない事が有る…
本当はこうなる前に、言うべきだったけど…
俺、卒業したらプロポーズしたい人が居るんだ…
だから、その人への返事は、引き延ばしたりしないで…」
言葉を聞く彼女の瞳に、みるみる涙の膜が張る。
罪悪感で胸がいっぱいになる五代だったが、彼の心の裡に反して彼女は喜色満面で喜びを爆発させた。
「わかった……
はっきりプロポーズ断って来る!!」
――何でそうなる!?愕然とする五代に、ハンカチで目を拭いながら、こずえちゃんが言った。
「…不安だったんだもん、五代さん、はっきりしないから。
プロポーズしてくれる気が有ったなんて、思わなかったんだもん!
有難う…嬉しい!!」
五代の「プロポーズしたい人」が、自分だと思い込むこずえちゃん。(笑)
流石は高橋留美子、誤解の連続でドラマを描く手腕は誰にも敵わない。
その後、五代は彼女の誤解を解こうとするも、こずえちゃんは用が有ると言って、先に店を出てしまう…結局、曖昧な関係のままと言うか、かえって拗れてしまったわけです。
プロポーズなんて言葉出さずに、「他に好きな女が居る」って言えば良かったのに。(笑)
項垂れて一刻館に帰った五代は、響子さんに呼び止められる。
「私、見たんです。
どうしてキスなんてしたんですか?
答えてください、五代さん!」
彼女が険しい顔で五代の方を向いた所でAパート終了――アイキャッチを挟んで、Bパート開始。
「どうしてこずえさんとキスしたんですか?
言い訳する気も無いんですか?」
鋭い言葉を背中に受けた五代は、振り返らずに答える。
「あの…僕の話、ちゃんと最後まで聴いて貰えますか?」
「伺いましょう!」
「あれは合意じゃなく、不意打ちで」
「だからどうしてあんな事したんです!?」
「されたんです!!」
我慢し切れなくなった五代が真っ向から返す。
「男らしくないわ!こずえさんのせいにするんですか!?」
「事実を述べてるんです!!」
「そうですか!黙ってされちゃう仲だったんですか!」
「あのねぇ~~!」
「もういいんです!聞きたくありません!!」
「何が良いんですか!何がぁ!!」
「言い訳ばっかり!もううんざりだわ!」
「そんなぁ!訊いたのは管理人さんでしょ!!」
「こずえさんが好きなんでしょ!?だったら良いじゃないですか!…私にどう思われようと!」
「勿論ですよ!だいいち、なんでこんな事答えなくっちゃならないんですか!!これじゃまるで管理人さんが僕の恋人…」
赤くなって言い淀む五代。
彼が口にし掛けた言葉を耳にし、響子さんも頬を染めた。
ここまでどう聞いても痴話喧嘩ですね。(笑)
五代が「好きなのは響子さんです」って言えば収まる喧嘩に思えるけど、それじゃ漫画終わっちゃうし、はっきり口に出来ないのが彼である。
「…そうですよね。
私がとやかく言う事じゃないですよね。
私にはもう、関係無い事ですもんね。」
響子さんが何時もの如く意地張って終わりそうな流れだったが、この時の五代は一味違った。
いきなりぽきぽきと指を鳴らす五代に、ギョッと戦く響子さん。
まさか殴る積りかと少し怯える様子の彼女が可愛い。(笑)
五代が自分の両手を握り合わせ、響子さんの前に差し出す。
「管理人さん…ちょっと手の中を覗いて頂けませんか?」
「…何の真似です?」
訝しむ響子さんに「いいから見て」とせがむ五代。
爪先立ちになった響子さんに、「そのまま目を瞑ってください」と五代、しかし響子さんは凝視したままで居る。
「あの…目を…」
「何故?」
「だからねぇ~~」
不審な行動をとる五代を警戒し、響子さんがゆっくり後退る。
彼の言う通りに動かない彼女の姿を見た五代は、己の行動の迂闊さに思い至るのだった。
――こずえちゃんに、「見て」と言われたから掌の中を見て、「目を瞑って」と言われたから目を瞑った俺は、もしかして凄い馬鹿なんじゃないだろうか?
がっくりと肩を落とす五代を見た響子さんは、彼がキスに到った経緯を察するのだった。
「そんな単純な手に引っ掛かったんですか…馬鹿みたい!」
「…どうせ馬鹿ですよ!」
むくれる五代の顔を、じっと見詰めた後、響子さんが囁いた。
「目を瞑って…」
――この流れはもしかして!?――期待した五代は言う通りに目を瞑る。
五代の両頬を包み込む様に手を当てた響子さんは、直後その両頬を力いっぱい掴み、びろーんと引っ張った。(懲りないねえ:笑)
「キスすると思ったんでしょ?」
「だって…」
「後ろを向いて!」
「は?」
「いいから!私と背中合わせに!」
「は、はあ…」
「そしたら、目を瞑って!」
まるで駄々っ子の様に命令され、辟易しつつも五代は言いなりになる。
五代が目を瞑ったのを確認した響子さんは、脱いだサンダルを手に持ち、足音を立てずに五代の正面へ移動すると、爪先立ちになってキスをした。
唇に当たる柔らかな感触に驚いた五代が目を開ける。
何時の間にか正面に立ってた響子さんが、頬を染めておかしそうに言った。
「…ほんと、直ぐ騙されちゃうのね!」
ここのキスするシーンは本当に良かった。
漫画のコマには描いてない、五代に覚られないようサンダルを脱ぎ、音を立てずに移動する響子さんの所作を連続で観せてくれたのは、アニメの功績かと。
響子さんの大人気ない仕草と表情がとても可愛い、今回の目玉シーンだと思います。
さて、響子さんから初めてキスをされた五代は、大空に向かって喜びを爆発させる。(笑)
ここのシーンのBGMは正直余計に感じた。
一方の響子さんはというと、自室で独り、手鏡に映る唇を見詰めてました。
「少し、すっきりした…」と微笑む顔が美しい。
背中合わせだった二人の関係ですが、今後は変わって行くようです。
『響子さんにあそこまでさせたのだから、やっぱ今後は俺がイニシアチブを取らねば!!』
響子さんから率直な愛情表現を受けた五代は自室をウロウロ、なんてったって彼女からの初めてのチュウですからね。(笑)
漫画では2度目だけど、あれも響子さんが事故を装ってした為、五代は彼女の好意に気付かず終わった。
響子さんの気持ちが自分に向いてると確信したからには強気で行こう!――決意を固める彼の胸の内に、こずえちゃんの「はっきりプロポーズ断って来る!!」という一言がこだまする。
『酷いわ!どうして!?五代さんがプロポーズしてくれたと思ったから、はっきり断って来たのに!!』
「ゴメンね!君の思い違いだったんだよ!!俺には響子さんしか居ないんだああ!!」
妄想の中のこずえちゃん相手に平謝りする五代、声に出してまで浸り込む彼を、四谷さんが壁の穴から生温い目で見詰めていた。(笑)
「用も無いのに覗かないでください!!」
暫くして気配に気付いた五代が怒鳴る、すると四谷さんは珍しく用が有っての訪問である事を告げた。
彼が話すには今夜、茶々丸で新年会を開くのだそう、そこで五代に出欠を尋ねに来たのだとか。
響子さんとの仲が前進した今、彼に欠席する理由は無い…五代はバイトを早く切り上げてでも出席すると四谷さんに答えた。
夜、茶々丸での新年会は、一刻館の住人達の他、店のマスターに町内会のおじ様達も加わり、大いに賑わった。
バイトを終わらせ駆け付けた五代のグラスに、隣席の響子さんが笑顔でビールを注ぐ。
近頃見ない和やかな雰囲気の二人を、アパートの住人達が「仲直り出来て良かったね」とからかった。
朱「五代君、管理人さん、あなたが来たとたん、目が輝き出したわよォ!」
四「これで暫くは一刻館に居られますねえ」
五「当然です!!」
一「さぁさ!早くグラスをグイーっと空けて!!」
朱「管理人さんがお酌出来ないでしょォ?」
そこへ突如こずえちゃんが店の硝子戸を開けて入って来た。
アパートに居残ってた賢太郎から場所を訊いたと言うこずえちゃんは、戸惑う五代の胸に顔を埋めて大声で泣き出した。
「プロポーズ…断れなかったの……
せっかく五代さんがプロポーズしてくれたのにィ~~~!!!」
衝撃の一言を聞いた酔客の視線が五代と響子さんに集中する。
皆が緊張して見詰める中、響子さんは飲んでたジョッキグラスをテーブルに叩き付ける様に置き、五代の前に立って彼の頬を思い切り――ぱん!!!!と叩くや、一言も発さずに店を出て行った。
一連の成り行きに呆然とする客達…唯一人響子さんが怒って店を出た事に気付かないこずえちゃんが、「どうかしたの?」と顔を上げて尋ねた。
五代の胸に縋り泣いていたにしても、恐るべき鈍感力である。
事情が解らずきょとんとした顔で居るこずえちゃんに、五代は少しの間待ってくれるよう頼むと、響子さんの後を追うために外へ飛び出した。
走って響子さんを掴まえた五代は、言葉を尽くし誤解を解こうとする。
しかし響子さんは聞く耳を持たない。
「もうたくさん!顔も見たくありません!!」
「だからそれは話せば…!」
「どっかへ行ってください!!一刻館を出てどっかへ!!」
「出て行きませんよ!!僕は!!」
ヒステリックに叫ぶ響子さんに煽られ、五代も向きになって叫ぶ。
「出て行って!!」「出て行きません!!」
泥沼の応酬を続ける二人の間に、一ノ瀬さんと朱美さんの声が割って入った。
「ちょおっと!!何やってんのさ!?」
「泣いてるわよォ〜こずえちゃん!!」
外野の声で少しだけ冷静さを取り戻す二人。
だが響子さんは矛を収めず、五代を挑発する様な言葉を吐いた。
「…行ったらどうです?貴方の事で泣いてるんでしょ?」
「あの…ちゃんと聴いてください!…詳しく話しますから!」
「もういいって言ってるんです!!!」
会話を一方的に打ち切った響子さんが、憤然として去って行く。
立ち止まる事無く黙々と歩く後ろ姿の彼女に、五代は心の中で強く訴えた。
『僕は追い出される事はしていません!出て行きませんからね…絶対!!』
『馬鹿にするんじゃないわよ!キスなんてするんじゃなかった!…いいわ!そっちがその気なら……私にだって考えが有るわ!!』
朝靄が立ち籠める翌朝…響子さんは惣一郎さんを連れて一刻館を出て行った。
新年会で騒ぎ疲れて眠る住人達が、その事実に気が付くのは数時間後――
…今までと違って響子さんに臆さず五代が意見してる。
彼を強気に変えたのは、響子さんからのキスでしょうね。
こずえちゃんへの態度にしても、今までの彼なら泣いてる彼女におろおろして、「響子さんを追わなきゃ…いや先ずはこずえちゃんを宥めなきゃ!」なんて、どっちを優先するか迷ってたように思います。
五代の中で響子さんが唯一の女性になった事が良く解るエピソードでした。
自分がこずえちゃんだったら、店に置いてかれた時点で、好意が自分に向いてない事に気が付くなあ〜。
こずえちゃんの考察についてはまた後で。
(個人的評価)脚本△ 演出△ 作画〇 …原作では宴会の場所が茶々丸ではなく一刻館で、マスターと町内会のおじさん達は登場しません。
舞台を変えた事は気にならないけど、せっかく町内会のおじさん達を参加させるなら、泥沼三角関係を弄る等、何かリアクションが欲しかった。(マスターはあれで良い)
ただ居るだけじゃ、登場させた意味が無い。
その点が気になって今回の評価になりました。
こずえちゃんが茶々丸に来る前に一刻館へ寄る描写を入れたのは丁寧。
夜の道を歩くこずえちゃんのシルエットが、街灯の下を通る時、明るく浮かび上がる演出がリアリティ有って良い。
あとは響子さんがキスをする時の所作と表情――背中合わせから正面向いてキスするまでの描写が、今回最も丁寧かつ綺麗でした。
次回予告は何時も通り一の瀬さん四谷さん朱美さんプラス五代で、タイトル読みは響子さん。
…結局、今回もざっくばらんには終わらんかった。(汗)
【
続】