言葉から意味が消える幸福

雨

午後から
あがる

終日
強い雨マークだったから
助かった
それほど
寒くないし

小屋は
フィリピンから来た若者たちで
満員で
朝から
小さなお弁当を食べている
シシャモが入っていた

「うるさくてすみません」
と日本の人に言われたけれど
「いやいやぜんぜん。元気でいいです」
と答えた

実際
彼ら
10人くらいは
おのおの
スマホを見たり
日本語のニュースを見たり
何か食べたり
寝たり

そして彼らが話す外国語（タガログ語？）は
さっぱりわからず
それを10人分聞いていると
まるで
音楽のよう
少なくとも
わたしにとっては
音である

言葉の意味が
わからないという
極めて
幸福な時間の中で
小雨になってきた
雨空を
窓から見ていた

田村隆一のあまりにも有名な詩句
「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」
のいわんとすることや
古い題だけれど
文券癜]家の柄谷行人著
「意味という病」
という表題を思い出してもいた

言葉から意味が消滅する時
意味からわたしたちは逃れられる

言葉から意味が消えると
それは音になり
音楽になる

その美しさは
耳でとらえ
脳でここちよさを感知する

以前
沖縄の人たちと一緒にいた時も
そう
沖縄の言葉もまったくわからず
わたしは音楽を聞くようにして
昼寝していた

言葉なんかおぼえるんじゃなかった

言葉がなかったら
人を傷つけることもないし
人から傷つけられることもない
残るのは
笑顔を交わすことと
体を合わせること
これほど
幸福な言語が
他にあるだろうか

ない

新しい長靴

たくさんの窓
たくさんのカーテン

うに
キャベツを食らう

赤いジャンパーの男
東へ向かった

---

息子と母が
口喧嘩をしながら
並んで
東へ向かった

眠くて
りん
途中まで

カーマで
長靴とチョコを二枚買う
とうとう
奮発して
長靴を買った
うれしい


疲れた時は
チョコレイト

烏合の衆

くもり
晴

烏合の衆

hospital

具だくさんの
味噌汁

幸
七
瀬
三
左
B

お弁当

　　

くもり

朝は小雨
のち
くもり

『言葉の櫂』のこと

「口からナイフのような言葉」を拝借

上着二枚
脱ぐ

長谷川さんの
数式を見せてもらう

彼の笑顔

　　

ベトナムの若者
スマホに保存されている写真
実家
それはブロックで積み上げた
粗末な家
それを笑う優しい同僚たち

わたしも後ろから
のぞき込み
ベトナムの若者の
故郷の写真を
何枚か見せてもらう
家屋が粗末であっても
森林の中にあっても
その人にとっては
どこよりも
大事な故郷には変わりない
揶揄されても
故郷の写真をスマホに撮って
日本に出稼ぎに来ている
他国で
言葉もちゃんとは通じなく
笑顔が唯一の
交感手段

その若者は
幸せだろうか
幸せだ
揶揄されても
その人はニコニコしている
親しみの揶揄であり
親愛の同僚たちの笑

そこに背後から
わたしも混ざり
笑の輪に入る

日本では考えつかないような
粗末な実家
それが判っただけでも
素晴らしい
わたしたちは
ベトナムの何を知っているというのか
何も知らぬ
せめて
枯葉作戦
それさえも
知らぬ時代に
貧しい家屋の写真の数々

わたしの心がわかったのだろうか
ベトナムの若者から
クリームパンを一個
もらった
ありがとう
うれしいよ

夕
雨

スーパー
八百屋

倉がある
野に
鹿が尾っぽを垂らして
食べ物をさがす

Japanは
花が咲いていますよ
ベトナムのおかあさん
おとうさん
兄弟姉妹のみんな
彼は笑っていたよ
元気ですよ
おかあさん
おとうさん
おばあちゃん
おじいちゃん
親類のおじさんおばさんたち
彼は
笑っていますよ
大丈夫ですよ

地は凍る

　　

晴

地に
氷張る

手
冷たき朝

凍っている

夜はずっと
洗濯歌を歌い
洗濯機をまわす

明るい空に照らされて

　　

晴

早朝の月

強い毒を持つ怒りの言葉は
夢にも蝕み

はあ
と息を出し
目覚める夜中

満月

さわらぬ神に祟りなし
とは良い言葉だ

人の心に疲れた時
悩む時
ふいに
明るい空があった
見た瞬間
パアーっと
心のものが消えた

空はいつも救いだ
どうってことないと思う

自然界の
天上の力
広さ
それが
朝なら
なおのこと

東の空の明るさが
わたしを照らす

人それぞれの
幸せを
願う

これでまた一つ
役割を終えた
と
想う

ありがとう
次にゆきます

午前7時38分
東に彩雲
地に
氷張る

小説の起承転結は
セックスに似ている
わたしは
射精して終わる

ウィルス動画見る
お風呂に入らず
寝入る

金の紅茶の歌

お風呂の効果

　　

早朝に起きて
カーテンを開けると
まだ暗い西の空に
満月の光
空の人たちは
常に動いておられる
すごく偉い人たちだ

湯屋に行く
その前に
いつもの時間で早起きをして
やることをやろうと思っていたけれど
どうも気がのらなくて
だらだら過ごす

寒い日だから
露天は無理かな
と思っていたら
そうでもない


かけ流しの下に行って
首から温泉源からくみ上げた
熱い湯に当たる
体が冷えていたのだろう
普段は熱い岩風呂のかけ流しの湯船が
とっても気持ち良い
北から
西から
風は吹き
湯面は揺れ
湯気が立って
風で消える

行き帰りの
バスの中で
つい
眠ってしまう
疲れているのかもしれない

帰宅してから
すぐに眠る
よく寝て
気持ちよく起きる
お風呂
とくに
湯屋は
一週間分の疲れが取れる感じ


それから
明日のお弁当をセットしたり
洗濯物を入れたり
ごぼうをレンジで加熱調理したりして
メールを書き
言葉を書く

日曜はすぐに終わってしまう
けれど
だいたい
するべきことはできた

図書館の返却日を過ぎていたことに気づく
明日
返そう
ごめんなさい

家が喜ぶ

　　

黒飴の歌
カンロ飴の歌

北の空を見る
川沿いの木々

白と黒の羽根を持つ
小さな鳥たち

白い木の実をついばむ
それ
春の景の如く

帰宅して
大洗濯大会
食パンにコロッケを挟み
食べながら
ギターを弾き
適当なメロディと適当なコードで
適当な歌を歌う

楽器の音はこの洗濯場付近は
よく響く
ここに越してすぐに思ったこと
この一帯では音響が素晴らしい
ギターを弾いていても
上手に聞こえる
風水では
楽器とか音楽は
家が喜ぶのだそうだ
ならば
わたしの
でたらめな歌も
この部屋は聞いているのかもしれぬ
家は笑っているのかもしれぬ

脱水が終わり
すぐに乾かさなくてはいけないものは
ベランダに
そうでもないものは
湿度管理のため
部屋干しに

ベランダから東の空
明るいと思ってのぞき込むと
満月の光
あり
空は楽し


すすぎ
洗濯の時に
わたし
ギターを持って
かき鳴らす
つま弾いて
アルペジオの練習
楽器は弾けば弾くほど
手が覚える

このキーボードでも同じ
大事な道具

人間は
道具を使うということが
とても大事だときいた
きっとそうだろう
道具なら何でも良いという
手を使い
指を使うということ
これは原始に戻る行為
裸足でなくとも
歩くという行為
これも現在では忘れつつある
原始への一歩だ

人の体は進化の途中であり
手は生涯使うようにできている
足は歩くようにできている
体を使うというのは
こういうことではないのかしら

自我の岩

　　

風なし
good！

人の悪と醜さをチョイス

土に青を入れてみた
だから深みが出た

今回の試作への共感は
善ではなく
ありのままの自我の岩である

人間臭い
これだ

作品を書き
発表してこそ
判ったことの多さ

やっと掴んだという
感もあり
そうでもないという
感もあり

大事なのは
白に色を落とすこと
濁ること
濁ったままで
生きること
ここだ

「ここの気　満々」


夜は
美しい音を
聞く

朝の音

　　
　　


晴

自転車を漕ぐと
手が冷たい
朝
そう思った

例年は確かに
朝は手が冷たい
気温が低い

早出労働の日々

労働場で
朝の音を聞いていた
車のエンジン音
タイヤと道路の摩擦音
風で紙が飛ぶ音
遠くでジェット機の音
扉が開く音
床を歩く音

懐かしい人を見つけ
声を鰍ｯ
話をする
以前より痩せて
健康的
ともかく
元気そうで良かった
それが何より！

夜は寒いので
カレーうどん
と
獣になるために
ガッツリ
肉を食うたった

ひょうが降りました

　　

午後３時
小糠雨から始まって
ひょうが降りました
痛いつーの

凄く寒い日

そして
東の空に
虹が登場

夜は
詩人、ココナッツ、岡本さんの涙

試みは成功への確率を飛躍的にあげる

　　
　　

立春

鶴舞駅を降り
この道を通る
少し歩くと
以前
父が住んでいたところが見える
懐かしい通り
懐かしい建物

父がいた家屋の前を通る時
必ず
父の部屋があった
二階のベランダを見る

父は今でも
ナントカ元気だ
それがありがたい
母もナントカ元気だ
それがありがたい

過ぎた日々の前を通り過ぎ
今の先に続く道を歩いてゆく
きっと
今日も目の見えない人のための募金箱に
十円玉を入れるのだろう

浄心に戻り
大阪屋に寄り
自転車を漕いで
庄内通りの『しまや』にいって
パンツを買う
いつもここで買う
安いので

『しまや』の手動のドアをあけると
懐かしい匂いがする
以前
下着や服が売っている店に行くと
この服地の匂いがする
その匂いは
いっきにわたしを過去に連れ去って
すぐに現在に戻される
二つ５４０円のトランクスを二セット買って
わたし
未来に向かってペダルを漕ぐ

八百屋に寄って
色々買い
ファミマに寄って
留め置きの荷物を手に入れ
家に帰って
二時間眠る

言葉を書いて
また書いて
それが終わると
定型詩を試作してみる
一文字の言葉しか
モチーフになくて
これは書けないかもな
という推測があったけれど
案外
書けた
しかもそれなりにできた
こんなこともあるんだな
と思
「試みは成功への確率を飛躍的にあげる」
という言葉は
本当だ
やってみなくちゃわからない
ならばやるだけやるまでよ

それにしても
モデルに感謝
モデルに承諾を得て
発表
思わぬ人たちから
評価があって
その理由を考えてみる

そんなこんなで
今日は言葉が立った
立春ならば
言葉の春だ

立春大吉

野路、野路をゆく

　　
　　


くもり

具だくさんの
味噌汁を
飲む朝

以前まで
木が切られるのを見ると
苦痛だった
けれど最近は違ってきた


木
切られども
悲しくなし
新たな生物
発し
いずれ
整う

---

ゆっくりの人には
癒される
思い出せば
全員
そう

１８
味噌
歌
実
野路、野路

夜の雨

ある日曜日の景

　　

バスは走る
橋を渡る
川が見える
堰が見える
バスは走る
貨物列車が通る

中州が見える
鳥が水際で魚を狙っている

湯屋に行く
湯船に入る
かけ流しを背に浴びる
湯面が揺れる
陽光が湯面で光る　揺れる
湯気が立つ
湯気が揺れる
湯気は消える
青空が見える
吹く風にあたる

息を吸う
息を吐く
息を吸う
息を吐く

バスに乗る
家の屋根が見える

ゆっくり動く自然界
変化なく
反復し続けるものに
惹かれる
求める

それはわたしが速いから
それはわたしが変化するから

川を渡る
バスを降りる
わたしは帰る
帰るところがある
その幸の大きさ