kotoba日記                     小久保圭介

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ネギトロ丼

2011年10月30日 | 生活
今日は日曜日で、
丸ちゃんの引っ越しの手伝いを、
してきました。
引っ越し先は、
駅のすぐ近くで、
この辺で道に迷ったら、
丸ちゃんのところで、
泊まれるなあ、
と思いました。
雨が心配だったけれど、
引っ越しは午前中に終わり、
「良かった良かった」
と二人で言いました。
僕は午後から買い物があるので、
早々に退散しました。
「今度、焼き肉をご馳走します」
と丸ちゃんは言いました。
「うん」
と僕は言いました。
「それじゃあまた」
「ありがとう」
と僕を家まで送ってくれた丸ちゃんは、
言いました。

雨が降り出さないうちに、
図書館とスーパーと八百屋に、
行かねばなりません。
ふっと、
焼き魚が食べたくなり、
宮本むなしに入り、
焼き魚定食を食べました。
隣の席には、
小柄で短い白髪の、
おじいさん、といってもいいでしょう、
年配の盲人がいました。
向かいには、
ボランティアの人がいて、
彼らはネギトロ丼を食べていました。
おじいさんは、
割り箸を割らずに、
箸を「へら状態」にして、
掬うように、
ネギトロ丼を食べていました。
「ここに、きゅうりのキューちゃん、ここに、みそ汁があります」
とボランティアの人が言っていました。
「きゅうりのキューちゃん」、
と商品名で言ってしまうところが、
お茶目で良いなあ、
と思いました。
でも、おじいさんは、
それが漬け物だと知るのは、
きっと食べてからだ、
と、
僕は思いました。
外を見ると、
点字ブロックの上を、
盲人が東に向かっていました。
きっと、何か近くで、
催しがあるのかもしれません。
ボランティアの人の時間の流れは、
早くて、
ちょっといらいらしているように、
思えました。
けれど、
おじいさんは、
ゆっくり、ネギトロ丼を食べていました。
そして、
「バスの時間まで、あと10分ですけど、どうしますか? 出ますか? ここにいますか?」
と、食べ終えたおじいさんに訊きました。
「ここにいますか?」
と重ねると、
「はい、ここでもう少し」
とおじいさんは言いました。
「判りました」
とボランティアの人は言い、
何か、資料のようなものを見ていました。
おじいさんは、お茶を飲みながら、
目を閉じて、緩やかな笑みを浮かべていました。
きっと、ネギトロ丼が美味しかったのだろう、
と思います。
良かったですね、
と僕は思いました。
おじいさんの耳は何を聞いているのだろう、
と僕も、
宮本むなしの店内の中の、
音に注意してみると、
後方で小さく泣く、駄々を言う、幼子の声、
クラシックのBGMです。
その音を聞いて、
笑みを浮かべているのかもしれない、
いや、きっと、おなかが満たされ、
かつ、幼子の声や、音楽を、
聴いて、静かな思いになっているのかも知れません。
ほどなく、
おじいさんは、
ボランティアの人について、
店を出てゆきました。
あの幸せそうな笑みは、
本当に素敵でした。
こっちまで、
ほかほかしてくるような、
静かで温かい笑みでした。

それから、
図書館で、
本を返し、本を借り、
八百屋では、
「ネギを半分に折っていいですか」
と訊かれ、
「はい」
と言うと、
「新聞紙に包むね」
と3束のネギを、
新聞紙にくるんでくれました。
ああ、持ちやすい。
僕が子供の頃は、
ビニール袋なんてなくて、
何でもかんでも、
新聞紙にくるんで、
輪ゴムでとめたのです。
お好み焼きだって、
新聞紙にくるんで、
ソースが垂れないように、
持って帰りました。
焼きそばの場合は、
持参したお皿に、
盛ってくれました。
今ではそんな景はなくなったけれど、
今日はネギが新聞紙にくるまれたので、
ちょっと、いい感じです。
帰りしな、
雨が降り出しました。
良いタイミングです。
コメント
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