kotoba日記                     小久保圭介

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シマモト君

2008年02月16日 | 生活
まず、先日もらったチョコを、
オジと朝から食らう。
茶色の粉が振ってあって、
卵みたいな形で、
たいへん美味でした。
粉だらけになって、
わいらは味わった。
おいしい朝です。

次は団子です。
たくさんあるので、
一人では食べきれず、
持っていきました。
しょうゆ味のが3本、
あんこでくるんだのが3本。
それぞれ、別パック。
「オジ、アンブレラ氏から土産でもろうたんじゃ。
今日中に食わなんだらあかんけん、持ってきた」
「ほうか。じゃあ、あとから」
「どっちがええ? オジ」
「しょうゆの方をもらう」
で、もう一パックは、布爺たちへ出前。
昼、わいらは食うて、
ほんま、すんげえ美味い。
布爺に、午前中、味を訊いたら、
「あれは美味かった!」
と発す。
で、オジは、
「普通な、小久保君、『名物』って書いてあるのは、
たいしたことないんじゃあ、でも、これは美味い」
「ほらあ、よかった」
持っていって良かった。
みんなマジで喜んでくれたし。

---

重い荷物を運ぶ職人さん達がいます。
荷物は一箱15キロあって、
それが大量にあり、
終日、それを運ぶのです。
5人ぐらいで運んでいて、
その中に、ちょっと雰囲気が違う若者がいました。
他はみんな筋肉が凄そうなのですけど、
その若者は、まだこの労働を始めたばかり、
という感じ。
午前中、彼は目にゴミが入ったらしく、
僕に「目が」
というもので、
「どうしたんじゃ」
と訊き、
「痛い」
つーもんだから、
蛇口まで手を引いたら、
まるでお母さんの手と間違えているんじゃねえか、
と思うぐらいに、しっかりわいの手を離さなんだ。
二回ぐらい、彼、シマモト君が転びそうになるので、
僕もまるで息子の手を引いているような気分で、
やっとこさ、蛇口に辿り着いた。
「眼鏡とらなあかんけん」
と、わい。
シマモト君は、眼鏡をとって、
細い体をかがめて、
蛇口に目を寄せた。
「出すけん、ええか」
と、わい。
うなずくシマモト君。
で、まあこっちも忙しいし、
何度か、蛇口をひねったり、閉じたりして、
世話の限りをして、
「どうじゃ?」
と訊くと、
「目に金属が」
と言うもんやから、
マジかよ、
と、他の職人捕まえて、
「彼、目に何か入ったみたいで」
と言うと、
「あ、今、ちょっと」
と、世間の風は、ひゅー。
もう一人が、
「どうかした?」
と言うので、
「彼が、これこれしかじかで」
とわいが言うと、
「ふーん」
と、世間は、みなお母さんじゃねえ、
ってことに、シマモト君は気が付かない。
で、もう一度、シマモト君のところに行き、
「大丈夫か?」
と訊くと、
「はい」
と言う。
なら、最初からそう言え、ちゅーに。
でも、痛かったよね、ごめんよー。
で、僕はお母さんをやめ、労働に戻った。
シマモト君も労働を再開した。


みなが、二箱(計30キロ)を、
担いでとっとと動く中、
彼、シマモト君は、一箱。
それはそれで、勿論、
僕もオジも、一往復したら、
へとへとになる労働ですから、
何も一箱で文句を言える筋合いはありません。
だがしかし、午後から登場したオジが言いました。
「シマモト君だけは、一箱だ」
とシマモト君が奥の方にいる時に。
ところが、
シマモト君が、それを聞いてしまい、
普通の感じで、
二箱担ごうとする。
「無理はあかんぜよ」
とわい。
「一箱でええんじゃ、無理したらいけん」
とオジも真顔。
「いえ、二箱いきます」
とシマモト君。
男、シマモト君が大地に立った、一人で。
で、よろよろしながら、なんとか、
二箱(30キロ)を持って、行った。
30キロなんて、たいしたことないよ、
なんてとんでもないですよ、みなさん。
長い距離と、長時間ですよ、みなさん。
でも、シマモト君は、その後、
一箱ではなく、二箱を継続した。
オジがわいに言った。
「シマモト君は、見かけによらず、男だ」
他の職人さんも、
「おお、二箱持ってる」
と嘲笑気味に笑う。
シマモト君は、華奢だが、
何か、淡々として、凄い。
オジが、
「シマモト君は凄い」
とシマモト君に言うと、
照れて笑う。
どこかしら、自信にもあふれて、
しゃっとした表情も出す。
わいらは感動した。
今まで、一箱しか持てなかった人が、
たぶんに、他の職人さんに引け目を感じる時もあっただろうに、
その体つきを見、根の優しい職人は、
「無理するな」と一箱のシマモト君に、
有言無言で言っていたに違いない。
無理して腰をいわすと、
かえってやっかいだからだ。
ところが、
今日、オジの一言で、
シマモト君が、男を上げた。
午前中のシマモト君へのお母さん役をわいがやり、
午後からオジがお父さん役である、結果的に。
休憩時間になり、
シマモト君に僕らは話しかける。
たいしたもんだ、と。
そいで、
彼は学生だという。
それも韓国の大学に留学していて、
今、日本でお金儲け。
すんげえ。
「で、どこの大学? ソウル大学?」
一見、虚弱ではあるけど、
頭は良さそうだ、とわいはマジで思っていた。
訊くと、
大学名はいわなかったけど、
ソウル大学みたいなものです、
と言う。
げえ、すんげえ。
僕は興味が強くなり、
さらに訊く、
「何学部?」
「言語学部です」
わいは、、、、。
すんげえ。
「え、じゃあ、あれ、比較言語学とか?」
「そうです、韓国語と中国語と英語で」
シマモトさん、凄い。
「あれ、じゃあ、ハングルって、象形文字みたいだよね?」
と僕。
「いや、どっちかというと、ローマ字に似ています」
ね、学者さんです。
「でも、なんで言語学をやろうと思ったの?」
「父が宗教の関係で英語云々、、、まあ、言語が好きなんです」
ほら、本物だ。しかも今日、二箱持った。
「ただもんじゃないな、やっぱり」
とジュースを買いにいったシマモト君の後ろ姿を見て、
オジが言った。
おもしろい出会いでした。
でも、シマモト君は、
もう僕らのことを忘れているでしょう。
おぼえていると、うれしいな。
あと、腰、いわさないよーに、と願うのみ。
大丈夫かよ、マジで。。

夜、雪が降る時間になっても、
僕らは労働をしていました。
今日のいつだったか、
「車の一台もひっくり返すぐらいパワーもたなあかん」
とオジが誰かのことを言っていました。
この言葉は、使えると思って、メモ。
コメント
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