旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

カイロのイスラム美術博物館

2018-12-28 10:10:32 | エジプト
カイロはアラブ・イスラムの大都市。古代エジプトだけでなくイスラムの歴史・美術を感じていただきたい。

↑入ってすぐに吊るされている照明
※こちらについて書きました


入場料+カメラ券↓変動相場制に移行してからポンドの価値はどんどん下落。入場料もどんどんあがっております。


時代ごとに区分された部屋がならんでいてわかりやすい↓


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◎特別展示
スエズ運河開通150周年に合わせた展示がされていた↓

1956年に「スエズ運河国有化宣言」をするナセル↓

この政治的な賭けが成功したからこそ現代のエジプトが存在するのだと言ってよい。
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8世紀の羊皮紙に書かれたコーラン↓

イスラム美術では文字が大事な要素になっている
↓このランプにはアミール(総督)の名前が書かれている↓

人物表現が禁止のイスラム美術だとおもっていたら、こんな皿が目についた↓

堂々と人物が描かれている。12世紀はじめファーティマ朝時代のものだそうな。

ふと思い出したのは、同時代の小アジア地域を支配していたセルジュク・トルコの表現。
中央トルコのコンヤで見たものも同じようにちょっと稚屈なロマネスク的なものだった。

これらの陶器、ラスター彩と言って独特の金色に似た輝きを放っている。

解説を読んでいてぎょっとした。
この皿には宰相ガブンの切られた腕がのせられた、というのだ。
★ガブンの主君のハーキムは敬虔なイスラム教徒だったが故に極端な性格で、庶民の食べものだったモロヘイヤやワインの栽培を禁止。
女性が外を歩くのを止めるために、女性用の履物をつくることまで禁止させてしまった。
ガブンが異議を申し出ると、腕を切り落とすという処罰を下した。
その腕が、ガブンが集めていたこれらの皿に乗せて差し出されたというのである。
ガブンはさらに舌まで切り落とされ、間もなく死んだとされている。

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↓この皿はモンゴルの影響が色濃い↓


これら陶器の皿がどれも割れたものを修復してあるのは理由がある。
この博物館の目の前にはエジプト内務省があり、2013年の第二革命の際に爆弾テロが起きた。
↓今も厳重な警戒

爆発の威力はすさまじく、前の博物館内にあったこれらの陶器もみんな割れてしまったというのだ。

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●噴水までもってきている↓


●金貨にはオスマントルコのスルタンのトゥーラ(=花押のようなもの)が刻まれている↓


女性の結婚衣装のコーナーにあった
●超高いぽっくり↓


着ているものを守る
●魔法のガウン↓

全面に細かく神の名前が書かれている↓

オスマントルコ時代、スレイマンの軍隊でこれを着ていた兵士がたくさん殺されたのでそれ以来効力は信じられなくなったのだそうな。

●医学書↓


●墓石まで↓



イスラムの美術を歴史的に俯瞰して見られる場所というのはあまりない。




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