旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

ミラノはもっとおもしろい2017その①マルコ・カレッリとジャン・ガレアッツォ 、大聖堂博物館も見学

2017-11-26 08:41:51 | イタリア
きのうの霧とうってかわった青空のミラノ↓
まずはホテルから徒歩で大聖堂へ

百メートル以上もの高さに輝く四メートルの巨大な「マドンニーナ」像も輝いている

定番の場所だが、見所が尽きることはない場所だ。
内部に入って「あっ」と驚いた写真を撮ってくるだけではもったいない↓


飾られたタピスリーに描かれた場面が、ここで起きた暗殺未遂事件を描いていることを、今回はじめて知った↓

⇒※ここにもう少し詳しく書きました

今回、ちゃんと理解したもうひとつのものが、壁にくっつけてある古そうな墓↓

これは、1394年に没したミラノの豪商★マルコ・カレッリの墓。ミラノ大聖堂は1386年に起工されたことになっているから、マルコの死んだ年には大聖堂はとてもここまでできていない。大聖堂が最終的に完成するまでには五百年を要しているのである。マルコは最初はサン・バビラ教会に埋葬されていた。
大聖堂に改葬されたのは、マルコがその莫大な財産をミラノ大聖堂の建設の為に寄付したからである。

マルコ・カレッリ(1320~5?‐1394)は、当時の支配者であったジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティ(1351-1402)と、年齢は二十から三十違うが同じ時代を生きている。
ジャン・ガレアッツォがきのう午後に訪れたパヴィアの僧院の建設をスタートさせ、その少し前にこの大聖堂の建設も決めていたことは、この時代のミラノがどれほどの繁栄を享受していたのかをあらわしている。
マルコ・カレッリはヴィスコンティ家と強いつながりを持って主にヴェネチアと取引をし、ヴェネチアにも住んでいた(亡くなったのはヴェネチアだった)。
故国ミラノに、ヴェネチアのサン・マルコに負けない教会を建てたいと強く思っていたのは想像できる。

大聖堂には現在135本の尖塔があると言われるが、その最初の一本が「マルコ・カレッリの尖塔(guglia)」と呼ばれている。
尖塔の先端に立つ人物は、とても下から確認することは出来ないのだが…
今回訪れた「大聖堂博物館」で、本物の尖塔が保管されているのにであった↓

この人物、「聖ジョルジョ」ということになっているが、実在した人物をモデルにしているのは明らか。
この尖塔が建てられた1403年の前年に没していた、ミラノの支配者ジャン・ガレアッツォその人である。
きのう、訪れたパヴィアの僧院で何度もその顔を見せられてよく記憶しておりました
⇒※こちらのページの後半、パヴィアの僧院の話で二回、彼の顔がでてきます

16世紀。新しい大聖堂の建設が進み、このページの最初で言及した暗殺未遂に遭うカルロ・ボロメオはトレント公会議の後、大聖堂の中にあった聖職者以外の墓を撤去することを決めた。力を増していたプロテスタントから批判される「金持ち次第の贅沢なカトリック教会」というイメージを払拭するためであろう。この命令の中でも、大聖堂内ににただ一つのこされた商人の墓がこのマルコ・カレッリのものである。

***
「ミラノはもっとおもしろい」という題名で、2014年にも書きました。
⇒※こちらからお読みください

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★大聖堂博物館
大聖堂向かって右側の、もと王宮があったあたりに位置する総合博物館から入る↓ここに、前出の「カレッリの塔」のホンモノが収蔵されていたわけだ。※ちょうどカラヴァッジョの展覧会もやっていたが、こちらは入る時間がなく断念。

展示物は多彩で多岐にわたるので、三十分でさっとみるというわけにはいかなかった↓
精緻な象牙彫刻の古い聖書カバー↓

↓1500年代後半に、南米からもたらされたハミングバードの羽で織られた司教の服↓


↓大聖堂にあった天使セラフィムの大立像↓

大聖堂のステンドグラス(こちらがホンモノ)↓

↓大聖堂の当初完成予定模型↓

2014年に入ろうとして修復していたサン・ゴッタルド教会は修復を終えていて、この博物館から入場できるようになっていた↓この塔を記憶していた↓

↓内部にも言及したいものはあったのだけれど、また別の機会に↓


現在の大聖堂正面ドアは20世紀に公募して当選した作品がはめこまれているのだが、そのコンペの時に落選したけれど、芸術的にすばらしい作品が展示されていた↓これ、表現として斬新ですばらしい。大聖堂の扉には、当時は新しすぎると思われたのも理解できるが↓


大聖堂周辺がだんだん混みはじめた↓そろそろ地下鉄で移動しよう↓


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