旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

機内映画「The water diviner」~ガリポリを思い出す

2015-08-09 23:28:54 | トルコ
映画は、時に、我々の乏しい想像力を補完する役割を担ってくれる。

現代トルコが忘れてはならない戦闘のあったガリポリ半島には、2005年に自ら企画した《手造の旅》トルコで訪れた。
自分の目で見てはいたが、その時の小松には白い墓碑が青い海を背景に美しくひろがっている様しか見えていなかった。

この映画にえがかれたような光景を感じられてはいなかった。

1915年の4月から12月にかけて、イギリス軍の最前線を担ったANZAC(オーストラリアとニュージーランド)兵と、トルコ兵が死闘をくりひろげたガリポリ半島。

この映画では、ガリポリの戦いで三人の息子がすべて行方不明になったと知らされた父親が、はるばるオーストラリアからやってきてその消息をなんとしても突きとめようとする

主演で監督のラッセル・クロウはオーストラリア人。彼自身、実際に二人の息子の父親。
実際の記録に、オーストラリアから息子の消息を探してやってきた父親がいたと知ったのが、この映画を撮ろうとするひとつのきっかけだったそうだ。

当時は、そうか、実際にこんな光景がいたるところに見られたのだろう
小松は十年前実際に現場へ行っていたのに、こういったリアリティを感じられていなかった。

日本でこの映画は公開されたのだろうか?
されていたとしても、日本人にはほとんど知られていない戦闘がテーマだから、ほとんど話題にもならなかっただろう。

トルコを訪れる日本人観光客は、ガリポリ半島をけっこう通るのだが、その時この戦闘の事をどの程度認識するのだろう。

我々観光旅行をリードする者の使命は、今は穏やかな風景の裏側をも知らせる事だと思う。
実は、この映画で描かれたような世界が存在している事実を、知ってもらう事だ。

**
この映画は、史実をちゃんと描きこんである。
敗戦後のトルコに侵攻してきたギリシャ軍との戦いや、第一次大戦に敗れたオスマン・トルコがどうやって共和国へ転換していったのかも。

ただ、主人公とトルコ人女性の恋愛エピソードは、まさにとってつけたようだったけれど。

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