【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

小池真理子『恋愛映画館』講談社、2004年

2008-02-19 00:54:20 | 映画

小池真理子『恋愛映画館』講談社、2004年
           恋愛映画館
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人ずつの女優(ベアトリス・ダル,ホリー・ハンター、イザベル・ユベール、メリル・ストリープ、ジェーン・パーキン、グレン・クローズ、シャーロット・ランプリング、カトリーヌ・ドヌープ、アヌーク・エーメ、モニカ・ヴィッティ、樋口可南子、桃井かおり)と男優(ヴィンセント・ギャロ、ロバート・デ・ニーロ、アラン・ドロン、ミシェル・ピコリ、ジェラール・フィリップ、ダーク・ボガート,豊川悦司、佐藤浩市、松田優作、藤竜也、三國連太郎、佐分利信)について書かれています。

 狂気,色香,デカダン,世紀末,媚び,退廃,猥雑などの用語(特に色香)が目立ちますが,著者はこれらの価値基準で俳優を選び,評価しているのです。

 メリル・ストリープについて。「確かに、顔色ひとつで名演技を残すことのできる女優である(p.32)」「この女優には、本人ですら気づかない永遠のエロスが息づいている(p.38)」。
 アラン
・ドロンについては「(彼の)美しさの底には,卑屈さが覗き見える。彼という役者の肉体からは,いつもそこはかとない,隠しようもない卑しさが漂うのだ」と書いています(p.120)。

 また、文学については「古典に限らず,文学の永遠のテーマは”姦通”なのだ。恋焦がれるあまり人のものを奪う・・・今も昔も,人はその苦悩から逃れることができず,そのくせ,その苦悩だけが真の悦びを生むのである」と書いています。著者の文学観でしょうか??

 「そうかな?」と思うような叙述がたくさんありますが、それは著者の読者に対する挑発かもしれません。

 かなり主観的で「偏った」俳優論ですが、それは著者が意図的に仕組んだ「毒」と思いました。


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