著者は、大正10年(1921年)、東京生まれ。6歳からピアノを始め、東京音大(現・東京藝術大学)を卒業。1945年、日比谷公会堂でソリストとしてデビュー。
ドイツに渡り、30年間、国際的に活躍。1964年には、ドイツで出版された「世界150人のピアニスト」に選ばれた。61歳のときに帰国、ゼロからの出発。
現在、92歳。長いピアニストとしての活動、長生きの秘訣を平易に語っている。小さいころから、母親に自由に、しかししっかり育てられた。「規格外」の、ある意味でわがままな人生を送ってきた、と述懐している。
規則正しい生活、とくに肉料理が好きと言う(おやつは、ソーセージや酢昆布)。
演奏論では、弾き手の立場から、ベートーヴェン、モーツアルト、ハイドンを語っている。リサイタルに備えて、楽譜を読み込むたびに、作曲家が伝えようとしたかったものの発見があるという。それは何歳になっても変わらないらしい。クロイツァー教授に師事。かの有名な、ケンプに指導をあおいだこともあったようだ。
ものおじしない性格、自分とこれまでの人生を肯定的に生きている。羨ましいほどだ。
ただ、ひとつ。子どもをもたなかったことが、人生唯一の心残り、後悔と言えば後悔のようだ。「人生の悲喜こもごも、喜怒哀楽、体験したことは全部、ずた袋のなかに入れる」ということを、繰り返し語っている。
いま、なお現役。「若返りたいなんて思わない」という著者の言葉が印象に残った。これまでに得たものを失いたくないからだそうだ。合点。
自身のブログも作成、更新している。いつも前向き。5月22日には「徹子の部屋」に出演した。
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