【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

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青年劇場第122回公演(飯沢匡没後25周年記念)「もう一人のヒト」(新宿:紀伊国屋ホール)

2019-09-17 14:24:35 | 演劇/バレエ/ミュージカル


昨日、青年劇場の舞台を観ました。青年劇場第122回公演(飯沢匡没後25周年記念)「もう一人のヒト」(新宿:紀伊国屋ホール)、です。

時は太平洋戦争末期。日本軍国主義が引き起こした無謀な戦争は、国民の命と生活を破壊した。虚偽の宣伝で国民は欺かれていたが、軍部は敗戦後を見越して、延命策に汲々としていた。
舞台は皇室の香椎宮為永王が生活する自邸・地下防空壕と下町の元靴職人夫婦・杉本家の二次元で繰り広げられます。
為永殿下のもとに小澤中将が押しかけてきて、自らの調査で北朝の系譜にある今の皇室は偽朝であること、南朝系譜の本当の天皇が東京にいること、を唱えます。

他方、杉本家では主人の淳一郎がいまは靴をつくることもできず、駆り出された造船所の仕事もさぼりがちで、ふてくされた毎日を過ごしています。ついに息子・勝に召集令状がきます。

実は小澤中将が唱えるもう一人の天皇はこの純一郎でした。演目にある「もう一人のヒト」とは今上天皇とは別のもうひとりの天皇、すなわち純一郎のことを指しています。小澤家にのこされていた古文書、資料がそれを裏付けていると言うのです。

とんだことになりました。為永殿下も驚嘆しますが、一番、慌てたのは純一郎そのひと。しかし、息子が戦地から戻れる手配ができるならば、天皇の地位でもなんでも利用できるものは、利用すればいい。息子には意中の人がいて、すでに懐妊していました。

しかし、今上天皇は軍部に軟弱にしか対応できず、むしろ利用され、いたずらに戦争を継続します。アメリカの空爆は日ごとに苛烈となり、ついに杉本家が住む地域一帯は焼け野原になります。

飯沢匡脚本のこの舞台は、架空の話ではなく、調査と資料に裏付けられたものです。皇族の地下防空壕も実際にあったもので、ここでかなり贅沢な生活をしていました。長野県松代には皇族が疎開するための大規模な地下防空壕があり、それは今も残っています。わたしはそこに入ってみたこともあります。

・葛西和雄(香椎宮為永王)
・茂徳王(安田遼平)
・小澤幾之進(吉村直)
・副官(中谷源)
・杉本純一郎(島本真治)
・杉本サク(藤木久美子)


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