【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

お宝版の写真集『棋神-中野英伴写真集』

2008-01-24 00:38:48 | スポーツ/登山/将棋
中野英伴/大崎善生『棋神-中野英伴写真集』東京新聞出版局、2007年
                 棋神―中野英伴写真集
 昭和50年の第34期名人戦から各タイトル戦、優勝棋戦を撮影し続けてきた中野英伴氏の重厚な写真集です。

 棋士の清々しい姿勢にうたれます。「風姿」というものがそこにあります。

 難局を読む表情、競り合いの緊張、勝負がついたところでの一瞬の弛緩、対局後の談笑、封じ手を記入する一こま、どの写真も選りすぐりの場面ばかりです。

 羽生善治、谷川浩司、佐藤康光、森内俊之、郷田真隆、森下卓、屋敷伸之、島朗などの若手(いやもう中堅か?)、故升田幸三、故大山康晴などの今は亡き将棋の神様とでも言える人たち、他に中原誠、加藤一二三、米長邦雄、等々。(敬称略)

 文章は大崎善生氏によります。勝者を讃えつつ、「敗者の美。それこそが長い年月をかけて将棋会が積み上げてきた誇りといえるのではないだろうか」と書いています[p.42]。そして、英伴さんの写真との関わりで、この写真家がかつて舞台の役者の撮影がなかなかうまくいかなった時に、師匠の木村伊兵衛に写真は「耳で撮れ」、すなわち「耳を澄まして台詞を聞き、次の動きを察知し予測せよ」と指南されたというエピソードに共感し[p.43]、またこの写真家の「まわっている光」に対する感性に注目しています[p.54]。
 大崎氏は小説家を目指しながら叶わず、次に将棋の世界に没頭したが中途半端に終わったと自身を振り返って書いていますが、「将棋世界」の編集長として大成した人らしい眼のつけどころです。

 まさに、お宝版の写真集です。

 おしまい。

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