【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

山田和夫『映画で世界を読む』新日本出版社、2002年

2012-09-28 01:23:43 | 映画

              

           

 映画の歴史的,社会的背景を論じて,著者の右に出る人はいない。その山田さんが、先日、亡くなった。心からお悔やみ申し上げたい。中津川映画祭という映画の祭典があり、いまも続いているが、一度だけお会いしたことがあった(2002年10月)。一緒に写真に入っていただき、この本にサインをいただいた。

 本書では「海の上のピアニスト」「タイタニック」でアメリカ移民の問題を,「ウエールズの山」でイングランド,アイルランド,スコットランド問題を,「ミツバチのささやき」でスペイン人民戦線の問題を,「旅芸人の記録」で現代ギリシャの悲劇を,「エビータ」でナチ戦犯と南米のペロニスモとの関連を,「苺とチョコレート」「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」でキューバ社会主義を,「芙蓉鎮」「青い凧」で中国文化革命の負の遺産を,「風の丘をこえて」と絡めて朝鮮問題を,「友だちのうちはどこ」でイラン革命の意義を,「季節のなかで」との関係でベトナム戦争を,「シンドラーのリスト」でホロコーストを,それぞれ論じている。

 以上は、この本のなかでわたしが観たことのある映画。観ていないものでは「スペシャリスト」「無人の野」「猿の惑星」「ユリシーズの瞳」「グランド・ゼロ」「遠い空の向こうに」は必見のようだ。

 ハリウッド映画のひとつの特徴として,「自衛団」思想=世界の憲兵,「核肯定の核固執論」があることの指摘は重要である。