【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

高任和夫『転職-会社を辞めて気づくこと-』講談社、2004年

2012-09-25 00:25:45 | エッセイ/手記/日記/手紙/対談

            

  著者はかつて総合商社に勤務していた。在職中から小説を書き二足のわらじの時期がしばらくあり、50歳になった時点で依願退職。その自身の経験の話からスタート。続いて、山一証券が自主廃業(1997年11月22日)したことを契機に、転職に直面した山一マンの本音がまとめられている。


  終身雇用制は過去のことであり、著者はいまを「職業多段階時代」と特徴づけ、その時代を生きる人々の姿を山一マンに見ている。会社勤めのサラリーマンの悲哀を描いた本は、少なからずある。しかし、会社を辞めた後のことについて書かれたものは、それほど多くはない。

  「第三章:会社を辞めるための準備運動」「第四章:家族との平和条約」「第五章:会社を辞めることを怖れるな」では、この退職後の過ごし方を真摯に具体的に考察している。会社を辞めてから何をすればよいのか、どう過ごしたらよいのか、「地域社会」への溶け込み方、転職後の友人の確保の仕方、妻との車間距離の取り方、「半隠居」の勧め、など参考になる提言がいくつかあるので、一読に値する。

  余生が長くなった今日、ありあまる時間をいかに使うかは、社会全体にとっても、個々人にとっても深刻な問題になりつつある。