黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『短歌の作り方、教えてください』俵万智×一青窈(角川書店)

2013-09-24 | 読了本(小説、エッセイ等)
短歌に初めて挑戦するシンガーソングライター・一青窈が短歌を詠み、それを歌人・俵万智が添削する中でよりよい短歌として作品を作り上げていく往復書簡(というかメール)集。
歌人・穂村弘を迎えた吟行会(お出かけした先で歌の題材を探す、出張歌詠み)、歌人・斉藤斎藤を迎えた題詠(テーマを決めて詠む)も収録。

短歌初心者の一青さんを俵さんがマンツーマンで添削し短歌を教える一冊。
一青さんが繰り出す独特な視点の歌や言語感覚も楽しく、そしてだんだんうまくなっていく様がおもしろいです。
短歌の入門書としてもかなりわかりやすく(直すポイントや過程が示されているので)、読みやすく、勉強になる本だと思います。

<13/9/24>

『山田富士郎歌集』山田富士郎(砂子屋書房)

2013-09-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
うつくしき夢の廃墟はわれになし珍獣のためにまた人が死ぬ
あまりにもながき手脚をもてあます少年と見るプラネタリウム
秋空に黒き傘開いてゐるやうなやましさただに猫を愛する
外の面には天より降れる幾千の白猫うづくまり鳴きもせぬ
日常は夢さりながら黒猫が紅茶茶碗に足踏み入れる
今日午後のぼくの心の状態をそつと言はふか両性具有
死体なんか入つてゐないのが残念だあけたつていいようちの冷蔵庫
薔薇色に日焼けせる額かたむけてペーパーバックの百を読む
クリームパンのやうな手をして洗熊のやうなしつぽの猫が来た来た
黒猫のねむる体よりたちのぼるふかき匂ふをふかきがままに

二冊の歌集「アビーロードを夢みて」と「羚羊譚」と評論などをまとめたもの。
山田さんは新潟在住の歌人の方。ちらりと名前を耳にして気になっていたところで歌集を見かけたので、読んでみました。
猫とか金木犀とか個人的に好きなモチーフが結構出てくるので、好みです♪

<13/9/22,23>

『政と源』三浦しをん(集英社)

2013-09-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
東京都墨田区Y町。七十三歳の有田国政とつまみ簪職人の堀源二郎は、性格は正反対ながら幼なじみ。源二郎には二十歳の青年・吉岡徹平が弟子入りしていてにぎやかだが、国政は銀行を退職した途端に、妻が娘の家に行ってしまい、以来ひとり暮らし。
ある日、徹平が怪我をして帰ってきたと恋人のマミから知らせが。むかしヤンキーだった彼の仲間が、堅気になった彼に制裁にきたという……“一、政と源”、
ひとり暮らしの国政。仲の良い源二郎師弟の姿に嫉妬し、彼の家から足が遠のく。
孫娘の七五三の祝いにも呼ばれず、電話をしても冷たくあしらわれた国政は、宅配便で商品券を送ることにした。
そんな中、台風上陸。雨漏りに気づいた国政が身をかがめたとたん、ぎっくり腰になり動けなくなってしまい、助けも呼べない状態に……“二、幼なじみ無線”、
徹平が、美容師をしている恋人のマミと結婚しようと思っていると打ち明ける。ところが、二十七歳のマミよりずいぶん年下な彼は、マミの父にこわっぱ扱いされたらしい。一方の徹平の父も、職人をしている彼の仕事を認めていないらしい。何とかうまくいくようにとあれこれ力になろうと考える国政だったが……“三、象を見た日”、
正月。娘一家からは年賀状が届いたきりでつめたい対応。
そんな中、源二郎の早くに亡くなってしまった妻・花枝のことを思い浮かべる国政……“四、花も嵐も”、
正月二日。横浜に住んでいる娘・蕗代夫婦の家を訪ねることにした国政。
しかし妻・清子や孫・聖良の態度は冷たい。おまけに清子はいきなり怒り、これまでの恨みつらみを語りだす……“五、平成無責任男”、
徹平から仲人をしてくれと頼まれた国政。しかし清子に拒否され、説得のため、毎日手紙を書き送ることに。
結果、何とか説得に成功。結婚式が執り行われ……“六、Y町の永遠”を収録。

東京下町に暮らす幼馴染のおじいさん二人とその周辺のお話。
『まほろ駅前~』の老人版的テイストかも。
この作品がコバルトに掲載されていた、というのがちょっと楽しい(しをんさんらしい外し方…/笑)。

<13/9/23>

『怪談短歌入門 怖いお話うたいましょう』東直子、佐藤弓生、石川美南(メディアファクトリー)

2013-09-21 | 読了本(小説、エッセイ等)
女性向け怪談誌「Mei 冥」の1号、2号発刊記念で、これまでツイッターおよびサイト上で2回開催された「怪談短歌」コンテスト。その応募作を鑑賞しつつ、短歌で表現される怪談とは、その詠み方、表現方法などについて審査員である三人の歌人…東直子、佐藤弓生、石川美南…の方たちが語りつくした一冊。

怪談短歌の魅力について語られた入門書。東さんが描かれたという表紙の小鳥たちが可愛い本です。何故鳥?と思ったのですが、媒体がツイッター(=さえずり)だからか!と、あとで気づく(笑)。
怪談短歌は、ただ怖い話を題材とするだけでなく短歌としての余韻・余白も大事…オチまですべてを描いてしまうのではなく、読み手にそれを想像させる、という工夫が必要のようです。
……ちなみにわたしが詠んだ短歌もこっそり収録されてます(爆)。

<13/9/20,21>

『烏は主を選ばない』阿部智里(文藝春秋)

2013-09-19 | 読了本(小説、エッセイ等)
八咫烏が支配する世界。北の垂氷に暮らす地方豪族の次男で、優秀な兄弟に挟まれ、ひとりだけ母が違いぼんくらと評判の少年・雪哉は、ひょんなことから世継ぎである若宮の元で側仕えをすることになってしまった。ところがその若宮はこれまでやってきた貴族の子弟たちに次々無理難題を押し付け、雪哉が来た時には皆は出て行ってしまった後。結局若宮のめがねに適った雪哉だけがそのまま彼の元に留まることに。
しかし花街に通ったり、掟破りなことばかりをしでかし、振り回される雪哉は大迷惑。
そんな中、宮廷では若宮の優秀な兄宮・長束を代わりに金烏代の地位に、と願う者たちによってさまざまな思惑が渦巻いていて……

『烏に単は似合わない』の続編、というか表裏的なお話。前作は若宮のお后候補たちの攻防でしたが、今回はその若宮に仕えることになった少年の視点で描かれています。
前作同様、第一印象が覆されていく様がおもしろいですね(ある程度は予想できるのですが…)。

<13/9/18,19>