黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『山田富士郎歌集』山田富士郎(砂子屋書房)

2013-09-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
うつくしき夢の廃墟はわれになし珍獣のためにまた人が死ぬ
あまりにもながき手脚をもてあます少年と見るプラネタリウム
秋空に黒き傘開いてゐるやうなやましさただに猫を愛する
外の面には天より降れる幾千の白猫うづくまり鳴きもせぬ
日常は夢さりながら黒猫が紅茶茶碗に足踏み入れる
今日午後のぼくの心の状態をそつと言はふか両性具有
死体なんか入つてゐないのが残念だあけたつていいようちの冷蔵庫
薔薇色に日焼けせる額かたむけてペーパーバックの百を読む
クリームパンのやうな手をして洗熊のやうなしつぽの猫が来た来た
黒猫のねむる体よりたちのぼるふかき匂ふをふかきがままに

二冊の歌集「アビーロードを夢みて」と「羚羊譚」と評論などをまとめたもの。
山田さんは新潟在住の歌人の方。ちらりと名前を耳にして気になっていたところで歌集を見かけたので、読んでみました。
猫とか金木犀とか個人的に好きなモチーフが結構出てくるので、好みです♪

<13/9/22,23>

『政と源』三浦しをん(集英社)

2013-09-23 | 読了本(小説、エッセイ等)
東京都墨田区Y町。七十三歳の有田国政とつまみ簪職人の堀源二郎は、性格は正反対ながら幼なじみ。源二郎には二十歳の青年・吉岡徹平が弟子入りしていてにぎやかだが、国政は銀行を退職した途端に、妻が娘の家に行ってしまい、以来ひとり暮らし。
ある日、徹平が怪我をして帰ってきたと恋人のマミから知らせが。むかしヤンキーだった彼の仲間が、堅気になった彼に制裁にきたという……“一、政と源”、
ひとり暮らしの国政。仲の良い源二郎師弟の姿に嫉妬し、彼の家から足が遠のく。
孫娘の七五三の祝いにも呼ばれず、電話をしても冷たくあしらわれた国政は、宅配便で商品券を送ることにした。
そんな中、台風上陸。雨漏りに気づいた国政が身をかがめたとたん、ぎっくり腰になり動けなくなってしまい、助けも呼べない状態に……“二、幼なじみ無線”、
徹平が、美容師をしている恋人のマミと結婚しようと思っていると打ち明ける。ところが、二十七歳のマミよりずいぶん年下な彼は、マミの父にこわっぱ扱いされたらしい。一方の徹平の父も、職人をしている彼の仕事を認めていないらしい。何とかうまくいくようにとあれこれ力になろうと考える国政だったが……“三、象を見た日”、
正月。娘一家からは年賀状が届いたきりでつめたい対応。
そんな中、源二郎の早くに亡くなってしまった妻・花枝のことを思い浮かべる国政……“四、花も嵐も”、
正月二日。横浜に住んでいる娘・蕗代夫婦の家を訪ねることにした国政。
しかし妻・清子や孫・聖良の態度は冷たい。おまけに清子はいきなり怒り、これまでの恨みつらみを語りだす……“五、平成無責任男”、
徹平から仲人をしてくれと頼まれた国政。しかし清子に拒否され、説得のため、毎日手紙を書き送ることに。
結果、何とか説得に成功。結婚式が執り行われ……“六、Y町の永遠”を収録。

東京下町に暮らす幼馴染のおじいさん二人とその周辺のお話。
『まほろ駅前~』の老人版的テイストかも。
この作品がコバルトに掲載されていた、というのがちょっと楽しい(しをんさんらしい外し方…/笑)。

<13/9/23>