黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『隻眼の少女』麻耶雄嵩(文藝春秋)

2010-10-18 | 読了本(小説、エッセイ等)
1985年、冬。母を殺害したのは父だったと知り、思わず突き飛ばして父を殺害してしまった大学生・種田静馬。
ひとり自殺する場所を求めてやってきたのは、以前訪れたことのある寒村・栖苅村。その村では、スガルという女神を祀る風習があり、琴折家の女性が代々そのスガルの役目を負っていた。
そんな中、次代のスガルとなるはずの現スガルの三つ子の長女・春菜が惨殺され、その容疑が静馬へと向けられた。そんな状況から彼を救ってくれたのは、父・山科と共に村を訪れていた隻眼の少女探偵・御陵みかげ……名を馳せた亡き母の名と、水干装束、そして義眼を受け継いだ…だった。
捜査に乗り出すみかげの助手(見習い)として手伝うことになった静馬だったが、彼らをあざ笑うかのように、春菜の妹たち…夏菜、秋菜が次々と殺害されていく。
やがてみかげは自分の推理を語り、事件は解決したかに思われたのだが、18年後の2003年…再び村を訪れた静馬の目の前で連続殺人が発生し……

数年来予告され続けた(笑)待望の新刊。隻眼というので、てっきり某嬢のお話だと思ったら、全然違いましたね;
これでもかというくらい古典的ミステリな設定の中で起こる事件を、水干姿の少女探偵みかげと、巻き込まれて助手をすることになった静馬が追う、というミステリ(というかアンチ探偵小説的な…/笑)。
ええ…実に麻耶さんらしいオチでした…(笑)。

<10/10/16~18>

フルーツプリンシュー@菜菓亭

2010-10-17 | スイーツ
 シュー生地の中に、カスタードクリームとプリンが入っていて、上にぶどう、メロン、オレンジ、いちじくが載っています。
 クリームが何だか一度凍らせたっぽい感じがするのは気のせい…?
……あと個人的に、シュークリームに載せるのに、ほとんど皮つきのフルーツなのはどうかと。

 菜菓亭:新潟(各地)

『魔女と金魚』中島桃果子(幻冬舎)

2010-10-13 | 読了本(小説、エッセイ等)
アニタコム・エッティラ=アルカナアルカモ島で暮らす、25歳の術使い・繭子。しかしその能力に物語の魔女のような万能さはなく、恋人・要との仲もままならない。
そんなある日、繭子は有名デザイナーのイッペ・オオサコとその妻・マドカに出会い、次のコレクションに出ないかとスカウトされる。
それをきっかけとして彼らと知り合った繭子は、マドカからイッペの浮気相手について相談されるが、彼女が見た占いで、仲の良い花屋の女性・ユメノの姿を見てしまい、動揺する……

占いをして暮らしている魔女の繭子の恋と成長の物語?
設定的には魔女だし、ちょっとファンタジックな設定でもあるのだけれど、子供向きというよりは大人の為のファンタジーみたいな感じかも。

<10/10/13>

『謎解きはディナーのあとに』東川篤哉(小学館)

2010-10-12 | 読了本(小説、エッセイ等)
派遣社員の吉本瞳が殺害され、自室で発見された。部屋の中なのに、彼女は何故かブーツは履いたままで足跡はない。
国立署の刑事・宝生麗子と上司の風祭警部は、捜査を開始。容疑が濃厚なのは恋人の田代裕也だが、アリバイは完璧で行き詰まる。
風祭は、国内で有名な自動車メーカー『風祭モータース』の御曹司だが、麗子は…職場では隠しているものの…世界にその名を知られる宝生グループの総帥・宝生清太郎のひとり娘で、彼の上をいくお嬢様。
自分が関わっている事件について、何気に若き執事・影山に話すと……“第一話 殺人現場では靴をお脱ぎください”、
動物病院の院長・若林辰夫が死体で発見された。その直前に、若い家政婦・藤代雅美との再婚を家族会議で反対されていたことから、それを苦に自殺したのではないかと証言する、弟・輝夫や息子たち。
しかし雅美は、彼が送ってきたメールを示し、何者かが自分の名を騙って毒入りワインを差し入れたらしいと言う。
さらに亡くなった当日は停電していたが、孫の雄太は、辰夫の部屋に明かりが見えたという……“第二話 殺しのワインはいかがでしょう”、
老舗ホテルの創業家・藤倉家の邸宅の薔薇園で、居候の高原恭子の死体が発見された。そんな中、さらに彼女の飼い猫のタンゴが怪我をして見つかった。何故犯人は、庭のさまざまな花の中で薔薇を選んだのか……“第三話 綺麗な薔薇には殺意がございます”、
大学の後輩で、資産家の娘・沢村有里の結婚式に招待された麗子。彼女の相手は、親戚関係にある元々の邸宅の持ち主・西園寺家の顧問弁護士だった細山照也。
ところがそのパーティの最中、有里は何者かに刺され、麗子たちが直後に居合わせる。しかし部屋から出たものはなく、バルコニーや周辺に足跡は見つからず……“第四話 花嫁は密室の中でございます”、
国分寺市のマンション・ハイツ武蔵野の5階の自室で、青年・野崎伸一が死体で発見されたが、彼は何故か全裸。
そんな彼には四人の女友達がいた。
野崎は、隣人・宮下弘明によって直前に女性と一緒にいるところを目撃されていた。宮下曰く、その女性は小柄だったというが、別の人物に目撃されたのは背の高い女性で……“第五話 二股にはお気をつけください”、
消費者金融コダマ・ファイナンスのワンマン社長・児玉絹江が、自宅の書斎で死体となって発見された。
彼女は、血でダイイングメッセージを残そうとしていたが、それは判読不能状態。トロフィーで殴り殺されたようだが、それは何故か二階の窓に向けて投げられていて…… “第六話 死者からの伝言をどうぞ”を収録。

大金持ちの令嬢が刑事で、彼女が関わった事件の謎を、彼女に仕える毒舌執事が解く安楽椅子探偵型ミステリ。
金持ならば筒井さんの『富豪刑事』あるいは麻耶さんの『貴族探偵』、執事ならば(毒舌っぷりも)ジーヴスものが突出してるので、描き方が中途半端な感じは否めないかも…。
形式的にはマンネリを貫いていて(お約束な感じ?)、軽い感じで楽しめるのが良いです。

<10/10/12>