黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『チーズと塩と豆と』角田光代、井上荒野、森絵都、江國香織(集英社)

2010-10-29 | 読了本(小説、エッセイ等)
スペイン・バスク地方。町でレストランを経営している父は、母が胃がんで余命三カ月だというのを皆に知らせる馬鹿げた食事会を開き、祝いの席のように集まる親戚たち。そんな彼らにむかついていた“わたし”。
その後、古くからの因習に縛られている町を出たいと、バルセロナの大学に進学、都会で生活を始めた。
卒業後、ひょんなことから、難民キャンプの炊き出しをする仕事を始め、世界中を旅する生活を続けることに。
しかし、そんなわたしを理解してくれていると思っていた、恋人のホセとすれ違いが生じ……角田光代『神さまの庭』、
イタリア・ピエモンテ州。三十歳の年の差のあるカルロと結婚した“私”だったが、彼が脳溢血で倒れ、入院。意識が戻らぬ彼の為に、ミネストローネを持って行き、香りを嗅がせる。そんな病室に彼の娘・エルヴィラがやってきたことから、思わず飛び出して……井上荒野『理由』、
スペイン・バスク地方。ある出来事が原因で絶交したまま、六年が過ぎていた母・アネットが危篤だという知らせを聞いた“僕”。
パリの二つ星レストランでパルフェを担当しているが、クレープといえば<しょっぱいクレープ>のことである彼女は、<甘いクレープ>を認めない。
そんな彼女は、病の床にかけつけた僕に、自分が死んだ後認めるときがきたら、花に姿を変えて知らせるという言葉を遺して、亡くなった。
それから五年、ブルトン人らしいねばり強さで、パリで知られる名店のチーフシェフに昇りつめた。そんな中で同じブルトン人のサラと出会い……森絵都『ブレノワール』、
同性の恋人・マヌエルと、フランスのアレンテージョに旅行に出かけた“僕”。
滞在することになったコテッジには、家出常習犯の小さな娘・エレナがいて……江國香織『アレンテージョ』の4編収録。

ヨーロッパの各地方と食、そこに暮らす人々にまつわるお話のアンソロジー。NHKBSハイビジョンの番組(←うちは対応してないので観れませんが;)とのコラボ的な作品のようです。
その地方の特色を色濃く映し出すのは、やはり食なのだなぁと、しみじみ感じました。

<10/10/29>