黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『謎解きはディナーのあとに』東川篤哉(小学館)

2010-10-12 | 読了本(小説、エッセイ等)
派遣社員の吉本瞳が殺害され、自室で発見された。部屋の中なのに、彼女は何故かブーツは履いたままで足跡はない。
国立署の刑事・宝生麗子と上司の風祭警部は、捜査を開始。容疑が濃厚なのは恋人の田代裕也だが、アリバイは完璧で行き詰まる。
風祭は、国内で有名な自動車メーカー『風祭モータース』の御曹司だが、麗子は…職場では隠しているものの…世界にその名を知られる宝生グループの総帥・宝生清太郎のひとり娘で、彼の上をいくお嬢様。
自分が関わっている事件について、何気に若き執事・影山に話すと……“第一話 殺人現場では靴をお脱ぎください”、
動物病院の院長・若林辰夫が死体で発見された。その直前に、若い家政婦・藤代雅美との再婚を家族会議で反対されていたことから、それを苦に自殺したのではないかと証言する、弟・輝夫や息子たち。
しかし雅美は、彼が送ってきたメールを示し、何者かが自分の名を騙って毒入りワインを差し入れたらしいと言う。
さらに亡くなった当日は停電していたが、孫の雄太は、辰夫の部屋に明かりが見えたという……“第二話 殺しのワインはいかがでしょう”、
老舗ホテルの創業家・藤倉家の邸宅の薔薇園で、居候の高原恭子の死体が発見された。そんな中、さらに彼女の飼い猫のタンゴが怪我をして見つかった。何故犯人は、庭のさまざまな花の中で薔薇を選んだのか……“第三話 綺麗な薔薇には殺意がございます”、
大学の後輩で、資産家の娘・沢村有里の結婚式に招待された麗子。彼女の相手は、親戚関係にある元々の邸宅の持ち主・西園寺家の顧問弁護士だった細山照也。
ところがそのパーティの最中、有里は何者かに刺され、麗子たちが直後に居合わせる。しかし部屋から出たものはなく、バルコニーや周辺に足跡は見つからず……“第四話 花嫁は密室の中でございます”、
国分寺市のマンション・ハイツ武蔵野の5階の自室で、青年・野崎伸一が死体で発見されたが、彼は何故か全裸。
そんな彼には四人の女友達がいた。
野崎は、隣人・宮下弘明によって直前に女性と一緒にいるところを目撃されていた。宮下曰く、その女性は小柄だったというが、別の人物に目撃されたのは背の高い女性で……“第五話 二股にはお気をつけください”、
消費者金融コダマ・ファイナンスのワンマン社長・児玉絹江が、自宅の書斎で死体となって発見された。
彼女は、血でダイイングメッセージを残そうとしていたが、それは判読不能状態。トロフィーで殴り殺されたようだが、それは何故か二階の窓に向けて投げられていて…… “第六話 死者からの伝言をどうぞ”を収録。

大金持ちの令嬢が刑事で、彼女が関わった事件の謎を、彼女に仕える毒舌執事が解く安楽椅子探偵型ミステリ。
金持ならば筒井さんの『富豪刑事』あるいは麻耶さんの『貴族探偵』、執事ならば(毒舌っぷりも)ジーヴスものが突出してるので、描き方が中途半端な感じは否めないかも…。
形式的にはマンネリを貫いていて(お約束な感じ?)、軽い感じで楽しめるのが良いです。

<10/10/12>