黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『武士の娘』杉本鉞子(筑摩書房)

2011-05-07 | 読了本(小説、エッセイ等)
一八七三(明治六)年、新潟県長岡市に生まれた鉞子。生家の稲垣家は、旧長岡藩の家老職を勤めた家柄で、父も国家老の一人であった。時代は明治となったものの、江戸よりの習慣の多くはそのまま引き継がれており、武家としての躾を身につけつつ成長する。
そんな中、父が死去。それと共に家を出ていた兄が帰郷し、鉞子が十二になった頃、彼がアメリカで親しくしていた友人である青年実業家・杉本松雄を婚約者として定められる。
アメリカに暮らす松雄に嫁ぐ準備として、英語を学ぶ為、十四で東京のミッションスクールに通うことになった鉞子。
故郷との言葉の違い、立ち居振る舞いの粗雑さなどに戸惑いつつも、次第に学友や教師たちにも慣れ、学ぶこと四年。
渡米し、結婚。彼女が「母上」と慕う未亡人・ウィルソン夫人の導きを受けつつ、アメリカの生活に親しんでゆく……

明治初期、元家老の家の娘として育ちながらも、移りゆく時代の中で渡米し結婚した、杉本鉞子さんの自伝…というか、当時のアメリカで知られていない日本人というものの姿を示す一冊。
名前だけは知っていて、いつか読もうと思っていた作品でしたが、ようやく読みました(笑)。
目先の新しさだけに流されず、武士の娘としての矜持を持ちつつも、しなやかさも備えた考え方の持ち主であるところが素敵な女性だと思いました。

<11/4/18,5/7>