黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『一膳飯屋「夕月」 しだれ柳』荒崎一海(徳間書店)

2009-10-29 | 読了本(小説、エッセイ等)
片桐晋悟は、将軍の食事を調理する、御膳所御台所人という役目を仰せつかっている御家人の三男坊に生まれながら、ゆえあって山谷堀で、一膳飯屋「夕月」を営み、恋女房のおちよ、息子の新太郎と娘のおつると共に、市井でひっそりと暮らしている。
ある時、夕月にも出入りしている隠居・竿望斎こと元・書院番頭の曽我伊賀守助猷が、襲われているところに遭遇した晋悟。彼は無海流という、小流派の免許皆伝を許された剣の腕前を持っており、竿望斎を助ける。それが縁で、たびたび事件に関わることに……“無海流小太刀”、
松江藩の藩主・不昧公にも贔屓にされた、名伎・堀の小万は、二代目のお披露目を済ませると、巡礼の旅に出たという。そして二代目の名を継いだ小万は、夕月の客である。
売れっ子の彼女が来るのは、これまで月に一度や二度くらいだったものが、このところとみに回数が増えている様子。気になった晋吾は、御用聞きの金蔵に調べさせると、小万には夫婦になって欲しいと口説く男がいるという。日本橋住吉町の柏屋の跡取・徳次郎という男だというのだが、彼女の前に現れた男と、実物は別人らしい……“しだれ柳”、
初秋七月三日。
南町奉行所定町廻り同心・筧勇三郎が、晋吾の元を訪れた。
夕月で働く少女・おはつの母・小藤が殺害されていたのだという。隠していた金も盗まれていたことや、その遺体の様子から、犯人は顔見知りの、しかも深い関係にあった男だと思われた。
得物は畳針だったことから、彼女が芸者時代であった頃から付き合っていた、畳職の親方で富蔵という男が浮かび上がるが……“秋陰”、
仲秋八月十五日。
竿望斎の別墅に料理を持って訪れた晋吾は、その帰り四人組の何者かに襲われた。名乗ると人違いであったと立ち去った彼らは、晋吾と間違えそうな、竿望斎に関わりのある誰かを狙ったらしい。
そんな中、小万から彼女の元にいる見習・小春のことで相談を受ける。十六である彼女には、浅草御蔵前森田町の札差・巴屋忠右衛門から身請けしたいという話が持ち上がっていたが、それを突然断られたのだという……“残菊”、
仲冬十一月二十二日。
隅田川の寄洲に武家らしい男女の遺体が上がった。その月の三日にも同じ場所で心中があったばかり。
先の件では、女は身重、男は船宿元川の次男・吉次郎で、婿入りの話があったという。しかし女の身元はわからないままだった。
そして今回の件では、武家は自刃ではなく、不義密通をとがめられての自刃にみせかける為、足首を結んでいなかったのだと思われた。
その話を聞き及んだ竿望斎は……“隅田川雪景”の5編収録の連作短編集。

御家人の家に生まれながら、町人である妻と添う為、一膳飯屋の主人になっている晋吾が、ひょんなことから事件に関わることになる時代小説。
設定的には好みかなぁ(男女問わず、お料理上手な人が好きv)と思ったのですが、ちょっとうまく表現されてない感があるのが残念な感じ(料理の説明が説明的過ぎるのと、食べてる人のボキャブラリがいまひとつな気が…)。

<09/10/29>