黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『月食の日』木村紅美(文藝春秋)

2009-10-13 | 読了本(小説、エッセイ等)
マッサージ師として働きながら、アパートで一人暮らしをしている全盲の青年・有山隆。
6月の第2金曜の夜。友人・里奈の誕生会からの帰り、隆が乗っていた、都営地下鉄新宿線の同じ車両に、偶然乗り合わせた会社員・津田幸正は、隆がたまたま着ていたTシャツが彼が好きな有名ヘヴィメタ・バンドのものであることから目をとめる。そして幸正が仙台での高校時代、恋人の橋本睦美に誘われ入ったJRCで、交流のあった盲学校の生徒であることを思い出す。17年ぶりの再会だった。
そして月食の日。幸正から夕食に招待され、彼の家にやってきた隆。妻・詩織は、彼に軽い嫌悪感を抱きつつも、ポルトガル料理でもてなすが、その矢先、幸正が出かけてしまい……『月食の日』、
老朽化し、住む人もまばらなアパートでひとり暮らしをする老女・堀内くらら。
たびたび過去の出来事を思い出しながら、ふと自殺について考えてしまう日々。
一方、来月31歳になるというのに、一度もまともな仕事についたことがない、元演劇青年・山田顕。
かつての恋人・蓉子と付き合っていた当時、たびたび訪れたことのある彼は、蓉子の血のつながらない祖母であるくららの元を訪れ、金を無心しようと彼女の元にやってきた。
そんな彼をべーやんと呼び、たまたま建築の勉強の為アパートを見学にきていた大学生・ゆう子をよう子と呼び、食事を振舞うくららは……『たそがれ刻はにぎやかに』の2編収録。

表題作は、芥川賞候補。
視点が唐突にくるくる変わるので、最初はちょっと戸惑いますが、慣れればわりと平気かも。
詩織が隆に月食について説明するシーンは面白いですが、それ以前の彼女の言動にちょっとムカっときたり。

<09/10/13>