黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『フリーター、家を買う。』有川浩(幻冬舎)

2009-10-01 | 読了本(小説、エッセイ等)
二流大学を卒業し就職したものの、入った会社は研修で嫌気が差してしまい、そのまま馴染めず3ヵ月で退社。アルバイトも長続きせず、実家で脛をかじりつつ、ぶらぶらとフリーター生活を送っている25歳の青年・武誠治。
そんなある日、名古屋で病院を経営する家に嫁いだ姉・亜矢子が突然帰省。母が重度のうつ病になっていると知らされる。
商社勤務で会社では経理の鬼といわれているらしい父・誠一だが、酒癖が悪く、酔ったはずみで、近所の人に自分たちが他の人より好条件で住んでいることを話してしまい、それが理由となって…誠治や父は気づかなかったが…、20年近くも町内から悪質なイジメにあっていたのだという。それを唯一理解していた姉が嫁いだ後、ひとりで抱えていた母だったが、さらに、誠治が父から小言をくらうのを恐れて、家族で食卓を囲むこともなくなった為、家庭環境は悪化。ささやかな楽しみすらも失った彼女の心は、追い詰められていたのだった。  
諸悪の根源である今の環境にいる限り、彼女の快復は難しい。引っ越すのが一番だが、自分勝手な父は、母の病の深刻さをわかろうとせず、その意見を受け入れようとはしない。
姉に罵倒され、一念発起した誠治は、お金を貯める為に夜間に工事現場のバイト、昼に母の面倒を見ながら、就職活動をするも結果はイマイチ。
通院と投薬の甲斐もあり少しずつ安定してきた母だったが、彼らの油断と怠慢がさらなる悲劇を生むことに……

ダメダメだったフリーターの青年が母の病気をきっかけに奮起し、成長していく物語。
とてもリアルに描かれているだけに、いろんな部分が重くて痛いですが、学ぶべきところの多い作品でした。
後半で、就職した彼の職場での奮闘ぶりとか心遣いとか読むにつけ、ほんとに人として成長したなぁとしみじみしたり(笑)。
千葉さんとの今後も気になるのですが……続編は出ないかな?

<09/10/1>

† 新刊情報(09/09) †

2009-10-01 | 新刊情報
<9月>
9/1
五條瑛『ROMES06』徳間書店(文庫)

9/4
五條瑛『エデン』文藝春秋(文庫)

三田完『俳風三麗花』文藝春秋(文庫)

北村薫『玻璃の天』文藝春秋(文庫)

9/7
山口芳宏『妖精島の殺人 上』講談社(ノベルス)

9/8
石持浅海『心臓と左手 座間味くんの推理』光文社(文庫)

9/10
津原泰水『バレエ・メカニック』早川書房 

辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』講談社

9/14
穂村弘ほか『穂村弘対談集 どうして書くの?』筑摩書房 

9/16
吉田篤弘『圏外へ』小学館

9/18
東野圭吾『新参者』講談社

9/23
吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』中央公論新社(文庫) 

9/24
大村友貴美『霧の塔の殺人』角川書店

9/25
桜庭一樹『GOSICK ゴシック』角川書店(文庫) 

初野晴『漆黒の王子』角川書店(文庫)

川上弘美『これでよろしくて?』中央公論新社

西澤保彦『身代わり』幻冬舎

9/29
米澤穂信『ボトルネック』新潮社(文庫)



日付不明
津原泰水『赤い竪琴』東京創元社(文庫)