黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『頭のうちどころが悪かった熊の話』安東みきえ(理論社)

2007-08-02 | 読了本(小説、エッセイ等)
どこかで頭をぶつけたらしい熊。すべてを忘れてしまったけれど、自分にとっての大事な相手である“レディベア”…けれどどんな姿かたちかは、わからない…を探して、亀、クマハチ、毛虫、ゆり椅子に尋ねるが……『頭のうちどころが悪かった熊の話』、
トラが泣いていた。通りすがりの旅人が尋ねると、さきほど自分が食べたキツネが悲しがっているのではないかという。キツネに訊くと、自分が食べたニワトリが、ニワトリに訊くとトカゲが……みんな自分が相手を食べてしまったことを、後悔していて……『いただきます』、
食べると一生、過去のことしか考えられなくなるという“カコの実”。絶対食べてはいけないと子ヘビに教えていた父さんヘビは、うっかりその実を食べてしまい、その言葉通りに…。しかも母さんヘビは“ミライの芽”を食べてしまって、未来のことしか考えていない。今、卵の飲みこみ方を知りたい子ヘビは……『ヘビの恩返し』、
高い枝のあいだにシラサギの姿を見たカラス。しかしそれは、木の枝にぽっかりとあいた、ただのすきま。そこへ本物のシラサギが現れて……『ないものねだりのカラス』、
百匹もの兄弟たちを持つ、おたまじゃくしのハテ。家を飛び出し、ミズカマキリに襲われているところを助けてくれた、ヤゴと友達になるが……『池の中の王様』、
牡鹿のホーイチは、森のみんなの相談役。恋人の態度に悩むヤマアラシや、潔癖症に悩むアライグマ、飛べないことに対する不満をいうダチョウたち等、いろんな意味を問われ続けた彼は、不満爆発。意味のある行動を拒否することに……『りっぱな牡鹿』、
季節は冬。友だちも冬眠してしまい、さみしい不眠症の熊が歩いていると、三日月がついてきて、一緒に彼の棲みかであるほら穴に。ところが、熊がちょっと外に出たところで、ほら穴が塞がり、月は閉じ込められてしまう……『お客さまはお月さま』の7編収録。

動物たちを主人公にした短編集。ちょっと微笑ましく、ちょっとシニカルなお話たちが楽しいです♪
作品的には『頭の~』が好きですが、『いただきます』のラスト2行くらいがかなり大ウケ(笑)。

<07/8/2>