黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『天才たちの値段』門井慶喜(文藝春秋)

2007-06-28 | 読了本(小説、エッセイ等)
ボッティチェッリの“秋”が見つかったという話を聞き、出かけていった、大学で美術史を教える佐々木昭友は、そこで、舌で美術品の真贋を見極めることができるという青年・神永美有に出会う……『天才たちの値段』、
佐々木の教え子であるイヴォンヌこと高野さくらの姉・かえでが、家の蔵にあったという古い地図を持って、やってきた。そこにはかえでの複雑な思いがあるらしく……『紙の上の島』、
佐々木の知り合いの古美術商・宇津木がカタログに載せた涅槃図。真言宗の大刹・石峯寺から出たというそれを、寛福寺という寺の住職の娘・安納能里子が買いたいという。しかも、それは元々彼女の寺にあったものらしく……『早朝ねはん』、
政治家・長原耕三郎が息子・長原崇と、所有の絵画とフェルメールの価値の上下を後援会メンバーの前で論議することになった。それぞれの陣営に力を貸すことになった佐々木と神永は……『論点はフェルメール』、
入院中の母に代わり、先頃亡くなった祖母の遺言状の開示に立ち会った佐々木。しかしその遺言は、3つのガラス工芸品の中から正しい色のものを指し示す、というもので……『遺言の色』の5編収録の連作短編集。

あらすじを読んだとき、神永が舌で鑑定するというので、べろーんと舐める図を想像してしまいましたが(笑)、実際に舐める訳ではなく、本物を見ると舌に甘さを感じるという設定でした(笑)。
神永やイヴォンヌなど設定はおもしろいのに、いまひとつ活かしきれていないような印象…(ページ数が少ない所為?)。
続編でのフォローを期待したいです。

<07/6/28>