北海道・旭川。
25歳の誕生日を迎え、数日たったある朝、“辻斬りのように男遊びがしたい”との思いにかられた小学校教諭・川村優奈は、次々に7人の男達と交わり、父親のわからぬ一人の子供を産んだ……母には似ず、美しいかんばせを持つに至るその少女は“七竃”。
現在17歳である彼女の親友である美しい少年・桂雪風のいう“母がいんらんだと娘は美しく生まれるものだ”という仮説も当たらずとも遠からず。田舎という狭い社会においては異形でしかないその外見を持て余していた。
そんな彼女は鉄道マニアで、雪風と共に静かで完成された世界を形成していたが、周囲の人々は、彼女を放っておいてはくれず……。
桜庭さんの作品に象徴される“少女”の物語。七竃と雪風の2人の世界が、七竃の特徴的な口調も相俟って美しいです。
けして実ることのない恋を、自らの容姿で感じていかなければならない七竃が切ないですね。
<06/8/1>