Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

IntelがMcAfeeを買収したのは組み込みの為だろう

2010-08-20 23:59:59 | Thinkings

 IntelがMcAfeeを買収するために最終段階に入りました。すでに協議は済んでおり、後は手続きのみと言う状態に来ています。

Intel、セキュリティ大手McAfeeを76億8000万ドルで買収 ITmedia

 米Intelは8月19日(現地時間)、セキュリティ大手の米McAfeeを買収することで合意に達したと発表した。買収は1株当たり48ドルの現金で行われ、総額は76億8000万ドルに上る。Intelにとって過去最大規模の買収となる。取引は両社取締役会の承認を受けており、株主の同意や規制当局の承認などの条件が整い次第完了する。

 この買収劇がもたらす影響について、ネットニュースには様々な分析・推測記事が載りましたが、概ね共通しているのは組み込み分野の強化に関する内容です。例えば、Intelが最近買収したケーブルモデム事業にセキュリティを組み込むとか、組み込み向けのプラットフォームにチップセットレベルでセキュリティー対策を施すとか・・・様々な考察がされていますが、私はMcAfee買収でハードウェアレベルでのセキュリティを期待できるというのは全くナンセンスだと思うのです。セキュリティ分野は常に流動的であり、ソフトウェアアップデートでの迅速な対応が不可欠でしょう。

 となると、考えられるのが「インテルの組み込みCPUのみに対応する組み込み向けセキュリティスイート」が一番ありそうな展開では無いでしょうか?

 Intelの様な企業が、本業に関連する企業買収を行う場合、真っ先に考えなければいけないのがシナジー効果による本業の売り上げ増を見込めるかということ。これについてはIntel自身でも、

IntelのMcAfee買収に一部アナリストは疑念も ITmedia

 「われわれがマイクロプロセッサを販売するあらゆる分野で、一緒にセキュリティソフトを売るチャンスがある」とオッテリーニ氏。「一緒に売る機会だけではなく、当社製品のアーキテクチャにセキュリティソフトを深く統合する機会でもある」

という声明を出していますが、本業であるプロセッサアーキテクチャ及びセキュリティスイート両面での囲い込みについて、統合は悪い選択肢ではありません。

 モバイル、個人向けサーバーを含めた組み込み分野において、これまでは「標的になりにくい」という理由のみで、PCに比べて圧倒的にセキュリティが軽視されてきている現実があります。例えばAppleの各種製品およびAndroidの現状を見れば火を見るよりも明らかでしょう。

 すでにAndroidでは兆候が出ていますが、そのような状況はいずれ破綻すると考えられます。となると、セキュリティをセールスポイントにした組み込み用アーキテクチャが出て来ることは容易に想像できます。

 ここで一つ思い出していただきたいのは、マイクロソフトがARMのライセンスを取得したと言うニュースです。マイクロソフトは組み込み向けのOSも数多く手がけていますし、何よりWindows Phone 7という大物が控えています。そして、忘れてはいけないのが、マイクロソフトが「Microsoft Security Essentials」を初めとするセキュリティ製品を数多く有する企業だということ。自社性のARMプロセッサで最大限の効果を発揮するセキュリティソフトなんていう構想も十分可能な力を有しているわけです。・・・Windows Phone 7などのOSそのものに組み込んでしまうと思いますけど。

 それと同じように、Intelはネットブック用アーキテクチャとしてMeeGoを開発していますが、それと自社製セキュリティスイートを組み合わせることでセキュアなインターネットコンパニオンを作るとか、自社でAndroidをカスタマイズしてスマートフォンやモデム・スイッチに載せるという展開が考えられます。

 いずれにしても、Intelの動きいかんによって、組み込み向けのセキュリティスイートについての大きな転換が起きるかも知れませんね。


Google TVでリアルな視聴者数が分かる?

2010-08-19 21:43:19 | Thinkings

 テレビは一方通行のメディアです。地デジになって、少しは状況は変わってきましたけれど、概ねは昔のまま。テレビ局はただ電波を流すだけですので、その電波が実際に受信されてるのかは確かめるすべはありません。
 そこで、一部の家庭に「現在見ている番組」を調べる機械を取り付けて集計することで、視聴率を統計的に出しています。また、投書やウェブでの話題を分析することでも、視聴の傾向を知ることが出来ます。

 しかしながら、もっと直接的な方法で「視聴者数」をはじくことは出来ないでしょうか?

 もしかしたら、その願いをGoogle TVがかなえるかも知れません。

 いま徐々にその全貌が明かされようとしているGoogle TVとは、”テレビ一機能として”提供されるGoogleのサービスで、具体的にはテレビ番組をウェブ上の情報と同じように検索できるようになると言う機能です。・・・日本みたいにチャンネル数が少ない場合はテレビ欄で足りますが、アメリカみたいにCSが一般化していると、見たい番組を探すのも一苦労。その労力を解消しつつ、同時にウェブの情報も調べようというコンセプトの製品です。
 乱暴にいえば、「テレビ番組をウェブコンテンツと同列に持ってくる」製品だと言えます。

 となると、「Google TVは常にウェブにつながっている」のに加えて「検索その他のサービスを提供するため、情報を常に収集している」訳ですから、Google TV搭載のテレビで見ている番組、検索トラフィックで見る気になった情報がリアルタイムで収集できるようになります。つまり、視聴率なんてモヤモヤした情報ではなく、「この番組を見ているのは全国で200万人」とかいうリアルな数字が出てくるわけです。・・・あくまでGoogle TVが十分な数だけ普及すればの話ですけれど。

 ただ、そのようなリアルな数字をテレビ局は恐れているという指摘もあります。

Google TVという列車に乗りたがらない放送会社たち–説得に苦慮するGoogle TechCrunch

誰が何を見ているか、誰も知らないから、魔術が通用する。ニールセン(Nielsen)が提供するのはあくまでも統計的データだから、その予測や推計は、リアルなデータの威力の前で氷のように砕け散る。絶対的に言えるのは、放送会社は、America’s Fattest Bachelor Dance Offを本当は何人の人を見ているか知りたくないということ。Googleは、Fix My House Please Because I Am A Real Life Housewife of Scrantonを毎週1万人の人しか見てないことを、世間に公表する。するとそのコマーシャル枠を、どこが買うだろうか?

 つまり、リアルな視聴者数が分かると、「その時間帯のコマーシャル枠がどれくらい人数にリーチするのか」が。また、Google TVのユーザー情報から「果たして、そのコマーシャル枠は自社の製品と相性が良いのか」がすぐに分かってしまう訳です。そうなると、自ずと「コマーシャル枠の本当の市場価値」が見えてくる訳で。深夜番組とか早朝番組とか、録画状況まで分かると、下手するとゴールデンでもとんでもない混乱が起きるかも知れませんね・・・

 これによって、コマーシャル枠の価格の暴落が起きると元記事では類推しているようですけれど、それが本当に良いことなのかはわかんないなあ・・・。低予算の番組しか作れなくなって、テレビがますます衰退してしまって・・・そんな未来は正直来て欲しくない様な気がする。


米ソニー、安価で高音質なウォークマンを発表

2010-08-18 20:22:39 | Digital Devices

 ソニーの海外展開モデルが魅力的に見えるのはどうしてでしょうね?

 国内メーカーで最もコンスタントにポータブルミュージックプレイヤーを出し続けているソニーから、アメリカ向けに安価かつ高音質なウォークマンを発表しました。

ソニー、音質と性能を両立させた非常に安価なウォークマン「NWZ-E350」シリーズを発表 Gigazine

ソニーのアメリカ法人のプレスリリースによると、9月にエントリーモデルのウォークマンの最新モデルとして「NWZ-E350」シリーズを発売するそうです。価格は4GBモデルの「NWZ-E353」が約70ドル(約6000円)で、8GBモデルの「NWZ-E354」は約80ドル(約6800円)。

 エントリーながら、比較的大きな液晶ディスプレイを装備しており、ムービーにも対応する模様。サイズ的にも機能的にも、ライバルはアップルのiPod nanoでしょうか。しかしながら価格的にはshuffleと同価格帯ですから、出来ることを考えるとだいぶんお買い得に見えます。

 ノーブランドの製品を選ぶならば、すでに価格は十分こなれていますので、実の所この価格だけならばインパクトは全くない・・・とはいいませんけど、薄いです。しかし、高音質やデザイン性といった「ソニーのブランド力」を持った製品がこの価格ならば、確かに魅力的に見えます。最初の一台を買うならば、実に良い選択肢になり得るのではないでしょうか。

 そう、最初の一台ならば。元々ウォークマンなら問題ないですけれど、iPodだとiTunesがいますからね。一度「母艦の音楽管理ソフトウェア」を固定してしまうと、それが足かせになってしまいます。もちろん、データを全部移行してしまえば良いわけですけれど、独自形式のファイルが混ざっていたりすると、それも難しいですし・・・かつてのカセットテープやCD、MDの頃に比べて、出来ることは増えたけど、面倒も色々背負い込んでしまいましたね。

 さて、日本に住んでいる身としては、このモデルが日本でも発売されるのかが最大の問題になります。そして、実際の販売価格も。アメリカと同程度となるか、果たして・・・


インターネットの中立性はワイヤレスにも適用されるべき?

2010-08-17 21:04:46 | Thinkings

 前回もやはりTechCrunchの記事を元に、ほとんど同じテーマで記事を書きました。ただ前回と違うのは、今回の元記事がワイヤレスネットワーク、要するに3G回線その他移動体通信での内容に絞っていることです。

 具体的な内容としては、Googleというサービス提供側と、Verizon及びAT&Tという移動体通信会社が、相次いで「ワイヤレスネットワークはウェブの中立性から除外しないか」という提言を行ったこと。そして、当然のごとくTechCrunchの記事では真っ向から反対の立場をとっています。

インターネットのオープン性や中立性をワイヤレスに対し免除する理由はない–誰もが守れるルールだ TechCrunch

erizonやAT&Tのような通信企業は、ワイヤレスのインターネットを有線のインターネットに対して特別扱いしたがる。しかし、両者に違いはない。インターネットは一つだ。アクセスするネットワークやデバイスが、いろいろ異なるだけだ。どうやってアクセスしたかは問題じゃない。インターネットそのものを支配するルールは、一つであるべきだ。

 当然、その一つのルールとは「中立であること」。要するに、通信事業者はサービスによって通信を制限したり、逆に優遇したりしないことというルールを、ワイヤレスでも守れと言っている訳です。

 通信事業者にとっては、金を払ったものに対して多くの帯域を提供する=「サービスのタダ乗り」問題を解決できる為、これを新たなビジネスに出来るならば、企業にとってはこれほど有益な事はありません。サービス提供側にとっても、高トラフィックのサービスを安定してユーザーに提供できることは、他サービスに対する大きなアドバンテージになります。早めに回線を押さえてしまえばモバイル分野における寡占も可能・・・例えば、GoogleのYouTubeとか。

 実の所、結構ゆゆしき事態だったりします。

 ところで、こんなにも大きなニュースであるのに、なんで日本では大きな問題になっていないのでしょうか?

 それは、大きなプレイヤーが少ない(Googleのような)のに加え、もともとモバイル通信を制限する仕組みが出来ていたためだと考えられます。例えば、元記事で提言しているこんなルールそのままに。

特定のアプリケーションに対する差別は禁ずるが、アプリケーションを特定しない差別は認める。

つまりキャリアは、SkypeやAppleのFacetimeをブロックすることはできないが、一定の規定値を超えて帯域を大食らいするようなアプリケーションは差別してよい(さらに、デバイスを特定する差別も禁じるべきだろう)。Schewickのようなルールなら、キャリアはワイヤレスネットワークの能力の制約を管理でき、しかもネットの中立性という原則は遵守できる。

 ある一定以上の帯域を使っているユーザーを制限するというのは、すでに様々なプロバイダやキャリアが行っていますし、また、帯域に不安のあるキャリア・・・具体的にはソフトバンクは、すでにフェムトセルやWiFiを利用して負荷分散に躍起になっています。こういう点は、光ファイバーなどのブロードバンドのバックボーンがしっかりしており、もともと携帯電話でのパケット通信が非常に盛んだった日本の方が進んでいると言えなくもないです。

 ただ、この問題がこのまま進み、GoogleとVerizonの動きを止められないままビジネスとして成立してしまった場合、流れはそのまま日本のキャリアにも持ち込まれる可能性があります。そうなったとき、ドコモは、auは、ソフトバンクはいったいどういう行動に出るでしょうか?
 少しでも設備の維持費が欲しいのはどこも一緒でしょうから、この動きが小さいうちに世論に押しつぶされると良いのですが・・・


初代iPod nano、忘れた頃のリコール騒ぎ

2010-08-16 12:52:51 | Digital Devices

 近頃iPodについて、バッテリーの加熱や変形、ひどいときには発煙や異臭といった問題がニュースの紙面に上るようになってきました。例えば、8月13日にはこんな記事が載っています。

電車内でiPod焦げ臭く=田園都市線、けが人なし-東急 jiji.com

 13日午前8時20分すぎ、東急田園都市線桜新町駅(東京都世田谷区)に停車中の中央林間発清澄白河行き普通電車の乗客から、「車内で焦げ臭いにおいがする」との通報が駅員にあった。女性乗客の持っていた米アップル製携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」が壊れており、においの原因とみられる。

 この原因となっているモデルはiPod nano。私が初めて買ったiPodと同じモデルです。
 当時としてはフラッシュメモリ容量比で劇的に安く、かつ液晶画面も付いていたため、初代Shuffleをあきらめた身としてはさっさと飛びついた覚えがあります。それからかれこれ5年がたち、今使用しているiPhoneにつながるわけですが・・・そう、発売が2005年9月6日ですから、現行は第5世代の製品が売られている状況です。アップルとしてはまるで時限爆弾のような話ですよね。・・・かつても、初代nanoのバッテリーについては問題になった様な気がしますので、昔の恋人がひょっこり現れたという方が適切でしょうか?

 音楽プレイヤーのようなシンプルな製品だと、確かに故障さえなければ、何年も使い続けるというのは分かる話です。これまで携帯電話やノートパソコンのバッテリーに関しては、比較的早い時期で問題が起こっていましたが、今回のケースのように5年のような長いスパンの経年劣化で、今回のように大事になると言うのはあまり聞いたことが無いです。バッテリーが交換できない仕様なのも影響しているのかも知れませんが・・・

 私はすでに手放してしまっていますが、初代nanoをまだ使っている、使っていないが眠っているという方は、トラブルになる前にアップルに相談する事をおすすめします。相変わらずトップページにはみじんもそういう情報を載せようとしないんですよねえ。


キャラクター無しという個性 無印ボーカロイドがヤマハから

2010-08-15 23:59:59 | Thinkings

 ボーカロイドというムーブメントは、一時のものから一つのジャンルとして定着した感があります。これまで「歌」という表現を著しく制限されてきた作り手が、ソフトウェアの力でボーカリストを用意できるというのは、考えてみれば革命的な事だったんでしょうね。

 このような定着の一助・・・というか、非常に大きなファクターとして、ボーカロイドごとに設定されているキャラクターがあります。ブームの火付け役である初音ミクにしても、そのキャラクターへの興味が広範囲から作り手や聞き手を集めるという広告塔の役目を果たしていたことは間違いありません。

 今では様々なキャラクターが設定されたボーカロイドが販売されていますが、ここに来てボーカロイドの開発元であるヤマハから、あえて「キャラクターを設定しない」ボーカロイドが発売されるようです。

キャラクターなしのVOCALOID「VY1」 初のヤマハ製、9月発売 ITmedia

 初音ミクのようなキャラクターは付けていない。キャラクターを付けず、声を提供した人物も明かさずに出すVOCALOIDソフトは初だ。キャラクターや声の主のイメージに限定されることなく曲のイメージをふくらませてもらえるほか、プロミュージシャンの仮歌作り、学校や企業のPR音源作りなど、 “色の付いていない”声が欲しい場面で使いやすいのではとみている。

 キャラクターが付いていることで、少なからずそのキャラクターを意識してしまうということは間違いないとは思います。あえてキャラクターを設定せず、余計な色を付けない曲作りや「楽器として」声を使うことに抵抗感無く使ってもらうという用途には適している、と確かに思います。

 とはいえ、VOCALOIDのファンの“絵師”などがキャラクターを付けてくれることも期待している。「VOCALOIDはキャラがあって成長してきた。VY1のキャラクターも、絵師の方々に描いていただければ」(同社研究開発センター音声グループマネージャーの剣持秀紀さん)。

 と言う事が当然起きると思いますが、大元で作られた単一のイメージではなく、コミュニティごとにキャラクターが生まれたり、性格付けにばらつきが出てきたり・・・と様々な展開が考えられますから・・・想像するだけで楽しみですね。

 もっとも、このようなマーケティングが出来るようになったのも、これまでのキャラ付けされたボーカロイドが作ってきた市場ありきの話。願わくば、これからもDTM業界を引っ張っていけるようなソフトウェアとして継続していって欲しいなあと思った次第です。・・・私は曲を作ったりはしないですけどね。

 あっという間に8月も半分を過ぎ去りました。私は私事でずいぶんと慌ただしいお盆でしたが、いかがお過ごしになられましたか?・・・というわけで、思いっきり寝オチをやらかしまして、朝・・・と言うより足かけ昼の更新でございます。


Appleのバッテリーの中身はエネループらしい

2010-08-14 21:49:38 | Digital Devices

 様々な機器で、非常に広範囲に使われている単三乾電池。内臓の専用バッテリーパックへの置き換えが進んでいるものの、低価格製品や逆に交換の頻度が多い・もしくは素早い交換が必要なもの、消費電力が少ない機器ではまだまだ現役で使用されています。

 この単三電池の規格で充電ができるものの代名詞といえば、今ではeneloop・・・というよりも、近年の規格モノ充電池の市場はeneloopが再構築したと言っても過言ではありません。性能的にもブランド的にも他社に一歩先んずるものを形成してきました。
 もちろん他社もただ黙っているわけではなく、パナソニックやソニーといった充電池の老舗も、従来のブランドを強化して引き続き参戦してきております。

 この市場になんで今更?というタイミングで参入を発表した企業がありまして、当時はそのキャラクターの違いから話題になったものの、あまりに製品的に地味で話題にも登らなかったのですが・・・それがAppleのBattery Chargerです。

 そのバッテリーに使われている電池がどこのOEMか、それともまさかの自社開発か色々とささやかれていたものの、どうやらサンヨーのeneloopの型落ち品が使われている模様。

アップルの充電池、中身は旧世代eneloop? engadget

 突然の発表となったアップルの充電池 & 充電器セット「Apple Battery Charger」ですが、この製品のために同社の秘密部隊がfor the rest of us 充電池の研究を続けてきていたのだ......と考えるよりは、どこからか調達してきたと推測するのが妥当です。では、中身はどこ製なのか。チェコのSuperAppleは、アップル充電池の特性がサンヨーeneloopのHR-3UTGとそっくりであると分析しています。バージョンアップを繰り返してきたeneloopにおいて、HR-3UTGはひとつ前の世代にあたる製品。

 と言うわけで、確定ではないものの、特性的にはeneloopのOEMであろうという話ですが・・・元記事では充電池を分解した写真が使われていますけど、危ないのでよい子の皆さんはやっちゃダメですよ。

 性能的には1世代前と言う事ですが、Amazonを見る限りでは、お値段的には特にプレミアムというわけでもありませんので、Appleのロゴが付いた充電池が欲しいという場合はゲットしてみるのも面白いかもしれません。ファンアイテムとしてはお値段もお手頃で、結構おすすめです。


AppleからiTV登場

2010-08-12 20:25:51 | Digital Devices

 Googleの便利さをテレビと融合し、新しい価値を創造するという触れ込みで、しかもソニーというビッグなパートナーを引き連れる形で登場したGoogle TVが発表されてから、そのライバルの一つであるAppleの動きは常に注目されてきました。「Googleはリビングへの侵攻を開始したけど、Appleはどうする?」という具合です。

 と言いますのも、AppleもTVに全く関心が無かった訳では無かったからです。その証拠に「Apple TV」なる、いわゆるセットトップボックスを発売しているのですが・・・これが、ほとんど話題にも上らない製品でして。有り体に言えば、売れてなかったんです。基本は母艦のiTunesとシンクするのみと、出来ることが非常に限られていた上に、価格も当初で36800円と高かったことが要因でしょう。

 しかし、Apple TVは死んだわけではありませんでした。なんとiPhone 4で搭載されたA4プロセッサとiOS、HDDではなく小容量のSSDを搭載して復活するみたいなんです。

新 Apple TV は『 iTV 』へ、A4採用でアプリ追加 & 720p再生まで対応? engadget

以前お伝えした「次世代 Apple TV」に続報がありました。5月時点で Engadget が複数のソースから得ていた情報は、「新 Apple TV 」はMac ベースではなくiPhone OS (現 iOS) とA4プロセッサを採用し「画面のない iPhone 4」 に近い、少量のフラッシュメモリのみを備えた「クラウドストレージ」製品になる、 iOS アプリの追加にも対応する、予価は99ドルが検討されているといった内容でした。
今回新たに得た情報のひとつは、新 Apple TV は 1080p動画再生に対応せず、720pまでに制限されるというもの。

 複数のブログメディアからの情報によると、お値段は99ドルで720pまでに対応。iOSアプリにも対応と言う事らしいです。今時720pで本当にいいの?とかタッチパネルがないのにiOSアプリが動くってどういうこと?という疑問は多々あるものの、その価格と、劇的に小さくなっているであろう設置スペース及び消費電力には期待大です。

 元々、GoogleTVと違ってチューナーも搭載しないiTVに出来る事なんてたかがしれていますから、単純に「リビングで母艦のiTunesライブラリを楽しめる」という部分のみに絞るのが、最もスタンダードな使い方なのではないでしょうか。そう割り切って考えられるなら、iTunesでメディア管理をしている人にはものすごく便利なデバイスに化けると思いますよ。安いし。

 もちろん、iOSアプリをつかった、何か画期的な使い方を提案してこないとは言い切れませんが・・・その価格から考えると、あくまでiTunesの周辺機器の一端として、いかにiTunesをリビングに持ってくるかというデバイスなのではないでしょうか?ですから、これと一緒に発表されるかも知れないといわれているiTunesの新サービスこそが、本当の本命なのかも知れませんね。


ネットブックに終わりの兆し・・・PC市場は本来の形に戻る

2010-08-11 21:22:31 | Digital Devices

 まず最初にはっきりとさせておきますが、私はPCが好きです。なぜなら、自由だから。スタンドアロンでも使い物になるし、何より「手段」がたくさん用意されており、様々な方法で情報を管理できるのはすばらしい事だと考えているからです。

 だけど、その自由さがすべてにおいて有利に働くわけではないと言う事も、ここ数年の間に分かってきたのも事実です。

 その豊富な手段によって、様々な方法でデータを自分の思うとおりに作り替えられる・・・要するにオフィスワークをこなしたり、写真や動画を編集したり、それらを組み合わせてデザインしたり、さらにはプログラミングで新たな「手段」を創り出したり・・・そう、PCは創造やそれに伴う管理など、いわゆるクリエイティブワークに向いていると言えます。

 逆に言えば、そういう目的で使う必要にない物、携帯電話やサブで使う為のモバイルマシン、電子ブックリーダーにはそのような豊富な手段は必要ないと言えます。その事は携帯電話が徐々に実証をしていったわけですが、近頃急速に世の中に広まってきたiPhoneやiPad、各種Android端末がさらにそれを確固たる物にしつつあり・・・そして、それを如実に表す現象が、これです。

PCメーカーの注文が「崖から墜ちるように急減」 Market Hack

JPモルガンは「台湾からの注文が崖から落ちるかのように急減している」とコメントしています。「PCメーカーからのオーダーのプッシュアウト(先送り)がサプライチェインのいたるところで起こっている」のだそうです。

 この台湾からの注文が急減したのはご存じ「インテル」と「AMD」。対してDRAMの需要は積み上がっているという記述もありまして・・・要するに、「x86を使ったPCの需要が落ち込んでいるけど、それ以外のチップのデバイスは好調である」ということ。具体的にはiPhone系とAndroid勢でしょうね。

 これは、今までPCが担ってきた「クリエイティブ・ワーク」とか「管理」以外の部分について、その他のデバイスに急速に取って代わられているということ。要は「閲覧」を担う部分に各種特化されたデバイスが現れたことを意味します。電子ブックリーダーしかり、メディアプレイヤーしかり、ネット閲覧は全部とは言えないけれど・・・それらの用途に使われていたPCと言えばネットブックやそれに準ずるローエンドですから、これまで粗製濫造とも言える勢いで作られていたそれらの需要が一気に冷え込むことで、供給に歯止めがかかったというわけです。

 「ネットブック・バブル」というのがまさにぴったりな状況でしたから、それが落ち着いたことで、PC市場も本来の姿を取り戻すのではないでしょうか。今後、PCの価格は緩やかに上昇し、元の水準・・・とまでは行かないでしょうが、5万円以下で買えるのはほんの一握りになると思いますよ。

 また、モバイル特化とPCとの間にはこれまで以上に強い棲み分けが生まれることでしょう。PC以外のモバイル機器はより「閲覧」に特化し、PCはますます仕事や管理のための道具となっていくでしょうね。・・・少なくとも、仕事の現場から物理キーボードの無いPCが姿を消すというのは、ちょっと想像できないですから。


電子ブックの登場で紙の本は死ぬのか

2010-08-10 22:06:51 | Thinkings

 私が子供だったとき、ドラえもんや、その他のSFから夢見ていた21世紀は今よりもずっと「未来」でした。登場人物は原色や銀色のツナギ的な何かを着て、車は空中のチューブを走り、何か得体の知れない食べ物をモリモリと食べる・・・そんな世界。
 ところが現実は、相変わらずジーパンにTシャツで、車は今でもガソリンを使って道路を走り、食べ物はむしろ健康志向で素材の良さが見直されているという始末。SFの中の劇的な変化に比べればなんてことはない、1980年代の延長の世界がそこにあったわけです。

 しかしながら、1980年からすれば、今は30年も進んだ未来に他なりません。よくよく周りを見回してみると、当時のSFよりもずっと進んでいる部分・・・つまり、SF作家の想像すら超えた進歩を遂げた物が点在しています。
 まず、当時のSFには携帯通信機はあっても携帯電話が存在しません。インターネットだってそうですし、液晶テレビもそうでしょう。かつての著者に、これだけ小型で綺麗になったデジタルカメラを見せたら何かの冗談かと思うかも知れません。はたまたウォッシュレットや全自動洗濯機、エコキュートにも感動するかも・・・と考えると、意外に未来かも知れないと現実味が湧きますが、そのおかげで歴史から消え去ろうとしている物もたくさんあります。

 例えばブラウン管方式のテレビはすでに売り場から無くなりましたし、MDやカセットテープ・ビデオテープも市場からほぼ消え去りました。フィルム式のカメラはデジタルカメラに主役の場を譲り渡しましたし、二槽式の洗濯機はほぼ全自動洗濯機に取って代わられました。あの白熱灯の生産がちかくストップするかも知れないと言うのはショックなニュースでしたし、スペースシャトルが引退するなんて考えもしませんでした。

 そして、識者・・・というかIT関連の技術屋やマニアが考える次なるテクノロジーの犠牲者は、「本」らしいです。

本の消滅が予言される今、未来派に対抗するのは消費者だ TechCrunch

紙の本(およびその延長である雑誌等も)の消滅は、進行中の ― 既知の ― プロセスであるにすぎない。問題はその時期である。Negroponteは、10年ではなく5年であると言う。彼が消費者の柔軟性に関して私以上の信条を持っているのか、さもなければ何か全く別の話をしているのだろう。

 Negroponte氏はあの100ドルPCの提唱者。彼は5年以内に紙の本は終わる、といいます。元記事は「彼はそういう見方だが、私はそうは思わない」という記事でした。私がどちらの側に立つかと言えば・・・もちろん後者です。本は5年やそこらでは無くなりません。

 まず、町にある本屋が5年以内に廃業を余儀なくされるってこと?そして、一家に一台以上・・・それこそDSも真っ青な勢いで電子ブックリーダーが普及するって?あり得ないでしょう。紙の本を無くそうと思ったら「普段は本を読まない人けれど、たまには雑誌くらい読みたい」なんて人にも普及させないといけないけれど、そういう人たちが電子ブックリーダーを買うとはとうてい思えません。それこそ、電子ブックリーダーが無料で配られでもしない限りは・・・。
 ・・・携帯電話普及期の、インセンティブに物を言わせたゼロ円戦略を思い出しました。同じような取り組みを行えば、普及率は格段に上がるかも知れませんね。

 電子ブックの紙の本に対する勝利条件が「紙の本の売り上げを超えること」ならば、確かに可能性は高いです。5年とはいわないまでも10年後には達成できている公算が高いですが・・・雑誌まで全部含めると、どうでしょう?読み捨てる為の本しか必要としない層には、電子ブックリーダーは必要ないような気がします。「紙の本は器であって、その中の情報こそが重要」ならば、電子ブックリーダーという器の初期投資に価値を見出せない層というのは確実に存在すると思いますよ。

 電子ブックリーダーが今よりも普及して、本を読みたい人に結構な割合で行き渡った未来は、ハードカバーの文芸書や小説みたいな高くて読みにくい本は無くなってしまって、残るのは雑誌や文庫ばかりになる・・・というシナリオも面白いかもしれません。何しろ、その技術の消えにくさは歴史の長さに比例すると思いますから、そう簡単に紙の本が無くなることは無いって事です。

 ところで、ふと、唐突に気がついたんですけど、料理本とか写真集とか、そういう写真や図解がメインのものって、果たして電子ブックリーダーで読みたいんでしょうか?そもそも、調理しながら電子ブックリーダーのスクリーンセーバーと戦うところが想像できないんですが・・・なんというか、そういう「向き不向き」のある本の事は脇に置いておいて、とりあえず「教科書とか文芸書、ビジネス書」みたいな、いわゆる「本」だけの話が先行しているから、なんとなく変な感じになっている様な気がしてならないんですけど・・・雑誌天国の日本の状況を考えると、そもそも、電子ブックリーダーの普及すら怪しいとも思えてくるわけですが。