様々な分野において、そのサービスなり商品なりが統合・淘汰され、市場が成熟していく過程において、少なからず起きている現象に「囲い込み」があります。
自社の製品やサービスを使っている顧客に対して、他社にはない魅力的な特典や使い続ける事によるアドバンテージ、逆に他車に乗り換えることを防ぐ様な罰則を設けることで流出を防ぐ、「ユーザーの囲い込み」が一般的です。アップルならば、iTunesを核とするエコシステムを作り上げることで、顧客が他社製品への移行に障壁をもうけていますし、携帯電話キャリア各社は料金設定が格安になるなるプランに二年間加入を義務づけることで、乗り換えを防いでいます。
これらを行う上において、重要なのが魅力的な何か・・・俗に「キラー某」と呼ばれるものですが、それを自社ブランドで提供できればそれで良いのですが、第三者の製品がそうなる可能性も多々あります。その場合、最も手っ取り早いのが生産者の囲い込みです。一番良い例が「鳥山明先生の作品が読めるのはジャンプだけ!」で有名な独占契約。有力な、顧客を引っ張ってこれる生産者を「囲い込んで」他社に渡さなければアドバンテージが取れる・・・と言うわけです。
この生産者の囲い込みが、ケータイSNSの世界でも始まったようです。
[jp]モバゲータウンのオープンゲームの囲い込みが始まった! TechCrunch
さて、いよいよ始まった。何がだって。ソーシャルゲームの世界でのベンダーの囲い込みだ。
モバゲータウンを運営するディー・エヌ・エーは、7月下旬から8月上旬にかけてソーシャルゲームのプロバイダー(一般にはソーシャルアプリケーションプロバイダーでSAPと呼ぶ。以下SAP)などに対して、競合するGREEにソーシャルゲームを今後提供した場合には、モバゲータウンで提供するゲームにトラフィックを流さないと複数社に通達した。ただ、GREE以外のmixiなどにはゲームを提供してもいいのだという。
モバゲーとGREEが仁義なき戦いを繰り広げているのはみんな知っていますけれど、それがもっと直接的な形で表面化して生きている現れですね。
最近の流行として、これらSNSプラットフォームで動くアプリの仕様をオープン化し、ゲームを初めとするアプリを第三者が提供できるようなってきています。
生産者としては、出来るだけ顧客にリーチ出来る方が良いに決まっていますので、WiiとPS3とXBOX360、オマケにPCでも発売して売り上げを稼ぐという、コンシューマーゲームにおけるマルチプラットフォーム戦略よろしく、様々なSNSプラットフォームで自社製品展開という形を当然とりたいわけです。しかしながら、モバゲー側が「GREEでソフト公開したら、検索でヒットさせないようにする」という制限を持ち出してきたというわけですね。まさに生産者の囲い込みです。
元々サービス自体が似通っていますし、ユーザーにとってはアカウントを二つとるだけですから大した話ではないのですが・・・これが横行することによって、開発会社の青田買いに近い状況が生まれるような気がする一方、提供するアプリがはっきりと差別化されることで、ある意味市場の活性化につながらないかとも期待しています。よって、あんまりネガティブな印象は持っていませんが、これが広く公になったら、モバゲーのイメージダウンはある程度覚悟しなければいけないでしょうね。
と、私はiPhoneがメインですので、二つとも全く使っていないのですがね。