Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

Google Wave開発中止に最も割を食った男

2010-08-05 21:11:31 | Thinkings

 正直な話、あれ?と少しの間ポカンとしてしまいました。というのは、Google Waveが開発中止になってしまったからです。

 メールやIMに変わる、次世代のコラボレーション・コミュニケーションツールとして、文字入力1文字レベルでのリアルタイム中継機能や、柔軟なグループワーク機能、ドキュメントの履歴保存・自由な書き換え、写真や動画などのインライン表示、APIを自由に追加しての機能拡張・・・例として翻訳APIを挟んでの同時通訳など魅力的な機能が満載のサービスで、Google内部はもとより、外部でも熱狂的なファンが多数誕生していました。

 昨年5月の発表時は話題のみが先行して正直よく分かりませんでしたが、徐々に報道が進むにつれ、その機能性が浸透し初め、今年の5月に招待制から一般開放に移行された矢先・・・です。開発中止の理由としては、ユーザーが思ったほど集まらなかったから。確かに、これまでのメールやIMとは違うインターフェイスやユーザーエクスペリエンスは、新規参入を妨げるのに十分な敷居の高さを持っていましたし、基本的に数人で使うというコラボレーションツールとしての側面がユーザーを遠ざけてしまったのかも知れません。なんにせよ残念です。
 とは言え、Waveで培われた技術のほとんどは、オープンソース資産として公開されているようですから、ムダではなかったといえるでしょう・・・。

 今回の開発中止を受けて、最も悔しいのはGoogle Waveの中の人たちでしょうが、それに負けず劣らず割を食ってしまった人がいます。・・・Google Waveの「解説本」の中の人です。しかも、発売日まで半月残してこれだから、たまらないですよねえ。

「なんという切なさ……」 「Google Wave」開発中止、入門書著者にTwitterで慰めの声 ITmedia

 「涙で前が見えない……」「なんという切なさ……」――「Google Wave」の開発中止を受け、8月22日発売予定の解説書「Google Wave 入門」(日経BP刊)著者のあんどうやすしさん(@technohippy)に、Twitterで哀れみと慰めの声が寄せられている。
ー中略ー
 あんどうさんの心境は複雑のようで、「今日は壁に塗ったペンキが乾くのを一日中眺めていたい気分」「Google Waveが男坂に見える!」などとTwitterへ投稿している。それを見たほかのユーザーから「泣いた」「切なすぐる」などとコメントが寄せられている。

 準備や執筆などの長い時間をかけて書いた本が、発売前にして使い物にならなくなっているというのはなんとも涙を誘います。なんでも、このような憂き目にあったのはあんどうさんだけでなく、Alexander Benker氏、Martin Klinke氏、Kerstin Simmer氏共著のドイツ語の本もあったようで、ここに至るまで、いかにGoogle Waveが期待されていたかを物語るエピソードになりそうです。

 私の個人的な思いからすれば、Google Waveについてはコラボレーションツールであるという点で、「そんなに共同作業とかしないし」という理由から今まで直接触れずにここまで来ました。将来的にもパーソナルユースではまず使わないだろうと思っていましたが、グループウェアに統合されたりしたら面白いかもしれないと思っていただけに、ここでの開発中止は単純に残念です。
 それにしても、Googleの見切りは本当に早いなあ・・・一般開放からわずか2ヶ月なんて。せめて1年くらい様子を見ることは出来なかったのでしょうか?それとも、その余裕すらないくらい、閑散としていたんですかねえ・・・?