Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

情報の託し方に待った クラウドコンピューティング・EUの場合

2010-08-01 22:34:18 | Thinkings

 「ビジネスはクラウド」という風潮がかなり大きな波になり始めて1年くらいが経ちました。コスト縮減であるとか、ソフトウェアアップデートの即時性、データ共有の簡便さ、仕事の「場所」の問題やデータセンターの管理の一括委託といったメリットをひっさげて、新たな市場を開こうと躍起になっている所ですが、今のところ、世界的に大きなプレイヤーとしてはAmazon、Google、マイクロソフト、Salesforceといったアメリカの企業がひしめいています。

 日本においては、それらのアメリカ企業に加え、国内企業である日立、NEC、富士通、NTTといった従来からのビッグプレイヤーが顧客獲得に動いている所ですが、欧州においては状況はずいぶんと異なるようです。

クラウドコンピューティングで規則簡素化を-米ハイテク大手がEUに要求 ウォール・ストリート・ジャーナル

マイクロソフト、グーグルなど米国のハイテク大手は、従来以上に遠隔からのコンピューティング、データ蓄積サービスを提供できるよう、欧州諸国のプライバシー関係規則を簡素化させようと圧力を掛けている。

 EUは元々フランスやイタリアなどのヨーロッパ諸国が加盟する「国家連合」ですから、細かな法律の差違はあって当然です。ですが、それがクラウドビジネスをEU全土に渡って提供する場合、各国ごとのルールに合わせたサービス提供を行わなければならないなど、大きな障害になっていると言うのです。

 この問題については、

しかし欧州の一部諸国の政府は、民間企業、とりわけ米国の企業がそれほど膨大なEU域内市民情報を牛耳ることを嫌っており、ルールを統一する動きに抵抗している。ドイツはこの抵抗勢力の先鋒で、国としての厳しい基準を課す権利維持を主張している。

という考え方が背景にあるようです。現在の経済活動において、情報というのは何にも勝る武器となります。そのマーケティング上の重要なデータを他国の企業に牛耳られるというのは、国内企業にとって、そして国自体にとっても大きな損失であると考えられなくもありません。
 その点では日本は危機感が足らないように思えてしまいますね。・・・クラウド化が今後進むとして、国内企業の重要データをどこまで海外企業に託すことが出来るのか、データセンターが国内にあるのと海外にあるのとでどれくらいリスク管理の形が変わってくるのか、1企業にどれだけの情報を蓄積させても良いのか等の点について、政府も含めた立ち入った議論が必要になるかもしれませんね。