私が使っているセキュリティソフトは、トレンドマイクロのウイルスバスター。はっきり言ってド定番の選択肢です。以前はノートンを使っていた時期もありましたが、数年前に乗り換えてから今のところ落ち着いています。後は、フレッツ光プレミアムに付いてきたウイルスバスターのOEMなど、我が家としては全体的に無難な構成となっています。
ところで、2006年にある意味衝撃的なデビューを果たしたセキュリティソフトを覚えているでしょうか?未だにコンビニや量販店の店頭でよく見かける、ソースネクストの「ウイルスセキュリティZERO」がそれです。他社が1年ごとに更新料、もしくはソフトウェアのバージョンアップを迫るビジネスモデルをとっている中、一度購入すればずっと、正確にはWindows公式サポート中は更新料無料という破格の条件を提示したことにあります。
あれから4年。当初は3980円で提供されていた同ソリューションを、今度は1980円で発売するという発表がなされました。
ソースネクスト、更新料なしのセキュリティソフトを1980円で発売 ITmedia
ソースネクストは8月4日、更新料無料のセキュリティソフト「ウイルスセキュリティZERO 1,980円」を発表、同日より販売を開始した。同社はこれまで最も安いラインアップとして1ライセンスのCD-ROM版を3990円で販売してきたが、さらに価格を下げるとともに、USBメモリでソフトウェアを提供する「Uメモ」形態を採用した。
確かに安いのは魅力的ですが、当時とはいささか状況が違ってきています。と言いますのは、マイクロソフトの提供するSecurity Essentials等の無料ソフトという究極の選択肢が出てきてしまっていることです。いくら安くても無料には勝てませんし、マイクロソフトはWindowsそのものの提供元ということもあり、知名度的にも劣る物ではありません。マイクロソフトが本格的な広報戦略に打って出た場合(その可能性は少ないけれど)、安さを売りにしているこのようなセキュリティソフトは一気に苦境に立たされるでしょう。
対して、同じ有料でも、ウイルスバスターやノートン、マカフィーやカスペルスキーは立場が違います。
更新有効期間が長くなることで確かに以前よりはずっと安くはなりましたが、初期投資額は5千円~1万円とそんなに変わっていません。つまり、マーケティング的にはある程度の金額を提示することで、ブランドイメージの低下を防いでいると言えます。要するに、消費者はそれらのセキュリティソフトにある程度の金額という「付加価値」を求めていると見ているわけです。
ある程度高い方が良いというのは変な話かも知れませんが、「安かろう悪かろう」と言う言葉が示すように、あまりにも安い物に対してユーザーの信頼度が落ちるというのはマーケティングの常識です。今回ソースネクストがとった大幅な値下げというやり方は、市場の相場に対しては大幅に安いし、かといって無料でもないという、中途半端な印象を与えかねない「諸刃の剣」的な方策ではないかと思えて仕方がありません。
少なくとも、自分は選択肢に入らないですね・・・。今後ウイルスバスターのライセンスが切れたら、これまで通りブランドという信頼性に金を払うか、マイクロソフトの傘下に下るかの選択を迫られそうです。