日本の携帯電話の各メーカーが採用している独自OSの世界とは別に、グローバルな市場での覇権を狙うため、マイクロソフト、Apple、Synbian、そしてGoogleがしのぎを削っています。この中で、Appleは自社のハードウェア、つまりiPhoneのみでOSをリリースしているのに対して、残りの三社は自社ではハードウェアを作らず、他社のハードウェアに採用してもらうことで勢力を広げようとしています。
その中でも、MS以外の二社は、自社の携帯電話用OSをオープンソースソフトウェアとしてライセンス料無しで展開していることから、採用する方もコスト的に有利であろうと思われたのですが・・・どうもそういうわけではないようです。
Android、OSは無償でも初期開発コストは想像以上に高い――HTC、HT-03A説明会を開催 YOMIURI ONLINE
Androidは、オープンソースの携帯電話プラットフォームだ。ライセンス料がかからないというメリットがある一方で、「OSは無償でも、ハードウェアやサービス、アプリの開発にはコストがかかる。初期の開発コストは想像以上に高いもの。従来のOSのライセンス料が占める割合は少ないため、大きな差はない。したがって無償のOSだからハードウェアが廉価ということではない」と語る。
例えば、MSのWindows Mobileは、これまでの資産があったり、MSが提供するクラウドサービス「Windows Live!」と親和性が高いこと、そして、開発環境がそろっていると言った利点があります。ほぼ新規スタートとなるAndoroidは、専用のインターフェイスや対応のサービスなど、投入に当たってハードウェアメーカー側で整備しなくてはならないことがあり、結果的に大きな差は無くなってしまうと言うことでしょうか。
将来的な事まで考えると・・・と一瞬考えたのですが、携帯電話が常に革新を求められる今、ライセンス料よりも、むしろ提供される付帯サービスや、ハードウェアメーカー側で整備しなくてはならない事の質と多さ、そして実際に使うユーザーに対して、どのようなものが提供できるかという事が問題になってくるように思います。投入初期のPS3のように、「性能は高いが、サービス提供側に大きな開発負荷がかかる」という状況は、世代交代のスパンが短い携帯電話にとって、むしろPS3よりも深刻でしょう。
要するに、オープンソースだからライセンス料が0と言っても、それが大きなメリットになるとは言いづらい。最終的にはハードウェアメーカーの地力にかかっているという事でしょうか・・・。Andoroid携帯と言っても、全部が全部同じデスクトップで操作性、というのは今後も考えられませんからね。魅力的な携帯電話というのは、OSだけではなく、ハードウェアも含めた一製品として議論していかないといけないという事でしょう。
いささか、AndoroidやiPhone OS、そしてWindows Mobileそのものの優劣に終始しがちですが、ハードウェアの個体差が大きい携帯電話の場合、斜め上の議論だったのかもしれません。