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CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】穴

2018-06-12 20:57:20 | 読書感想文とか読み物レビウー
穴  作:小山田 浩子

知らずに読んでしまったんだが、芥川賞受賞作でした
読んでいて、ああ、そうかもなと思っていたら
やっぱりというくらい、いかにも、芥川賞という内容で
なんとも形容しがたい、どんよりとしたというか、
なんという話だったんだろう
不思議というか、不気味な話でありました
いや、やっぱり不思議な話だったでいいのかな

そういうわけで、ある若奥さんが仕事をやめて
夫の実家にやってきたというお話、
そこで不思議な体験をするというか、
これは、うまくいっていると思っている、あるいは
思い込んでいるのかもしれない奥さんが見た
不安定な夢めいたものだったのかしら、
漠然とした、違和感が正体をあやかしたという感じで
あれこれ考えながら読むのでありました

何がネタバレなのかもわからないような内容なのだけども、
色々なことが変転したときに、大丈夫だと思っていても
ふと、それが違うのではないかと
そんな気分になるというか、なんかやっぱり、馴れるまでの
何か不思議な状態というのが存在するのだろうと
それが不安という形なのか、期待なのか、
見えない重圧なのかというのを思わせる内容だったのでありました

短編がその他二つ、そっちは連作で載っていまして、
これもまた、不思議なというか、なんとも形容しがたい
不安のようなものを覚える内容なのでありました
そう、読んでいて、不安を覚える
そういう小説なのである、何がということもないのにだ
そこがやっぱり、凄いということなんだろう
そう読んだのである

【読書】モップの精は旅に出る

2018-06-11 21:12:49 | 読書感想文とか読み物レビウー
モップの精は旅に出る  作:近藤 史恵

様々な場所で、清掃員のキリコさんが事件を解決する
そういう短編集でありました
あとがきを読んでしったのだけども、
シリーズ最終巻だったんだそうで、
でも、シリーズだとか関係なく、推理小説として
楽しく読めたのでありました

人間関係のもつれから事件が発生して、
それについて注意深く察することができるキリコさんが、
あれこれと解決の糸口を見つけてくれる
まるで名探偵、というか、名探偵なんだけども
割と悲しい事件といえばいいか、なんともやるせない人間の悪意が満ちた事件なんだけど
それを解決して、ただ、キリコさんだけは明るく生きているというのが
救われるような物語で楽しいのであります

ただ、最終話はそのキリコさんの話で
唐突に死んでしまったお姉さんとの謎を解き明かすといった内容、
ここで、キリコさんの旦那さんとの愛が確かめられるといったら
陳腐になっちゃうんだけども、
よくそこらにある悪意に触れながら、生きていくために
弱っているキリコさんをどうにか救おうではないが、
一緒に歩んでいこうと、気持ちを新たにするみたいな物語で
まぁ、ステキなラストという感じでありました
いい物語だった、シリーズを色々読んでみたいと思わされたのであります

キリコさんの本業が清掃員ということもあって、
仕事場でのいざこざだとか、人間関係に起因する事件が主で、
いかにもありそうというか、見たことある気がすると
そういう気分になるものばかりで、
特に、男女でどう考えているかの差異からの不幸というのが
まぁ、よくわかるなぁと、これをさらっと
でも軽くなく描いているのが作者の白眉よなと
つくづく思わされるのでありました
男なら、確かにそう思って、さほどに感じないということが
女性にとって、とんでもないことだったりというのは
よくよくあるんだろうなと
うかつさというか、知らない、思いも寄らないといった内容に
納得するのでありました

ともあれ、優しい物語で、楽しく読み終えて
満足なのであります

西郷どん  偉大な兄 地ごろな弟

2018-06-10 20:44:29 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「西郷どん」
視聴完了であります
一気に幕末が帰ってきたというか、戻ってきたとたん
ダイジェストに過ぎるんじゃないかという
急展開で、面白いんだけども、もうちょっと長く見たかったかもと
思ったり感じたりした次第であります
でも、このスピードで次回が寺田屋騒動だとすれば
そういうものかもなと思ったりもするし
なんだかんだ、非常に楽しくなってきたのでありました

いきなりの挨拶で、讒言というか、諌めるという
部下として鑑の姿を見せる西郷さんに
ちょっと感動というか、やっぱりああするべきだよなと
自分を省みてしまうのである
なんだかんだ、上の人に違うとはっきりいって
たてつくというのは、勇気だけではなく、もうひとつ何か必要なんだろうと
大久保や、弟を見ていてそう思わされたのでありました
それを器と呼ぶといえば、簡単なんだが
でも、つまりそういうことなんだろうな
しかし、当然のようにこうなってしまうわけでというのが
なんとも悲しいことだけど、
そうなると、人生というか、何が正しいというべきか
それは自身が決めるものだなと改めて思い知るのである
ドラマの感想というよりも、西郷さんの生き様に関しての感想であるな

まぁ、実際にあんな直接的だったかは
よくわからんところなので、物語、ドラマとして楽しめばよいのであるけども
戻って、まったくブランクを見せずにかっこよすぎる西郷さんが
ステキでたまらんという感じでありました
それでいて、人間臭くなんとかしようという大久保も
これは新しい見せ方じゃないかしらとも思って
感激しているのであります
凄い嫌われ者だし、実際はこういう感じでもなかったんだろうけど
そういう気持ちはあったのかもと
思わされるだけでも楽しいのでありました

風雲急を告げる幕末のなか、
またも失脚する西郷さんを見守るわけだけども、
こうやって丁寧におっていくと
案外西郷さんは、幕末で危険なところに近寄っていなかったから
長生きできたのかもなと思ったりもしたのであります
いや、実際はその前にだいぶ危険なことしたうえでのあれだけどもさ
ともあれ、次が楽しみだ

【読書】あなたの資産を大きく育てるNISA完全活用術

2018-06-09 21:14:49 | 読書感想文とか読み物レビウー
あなたの資産を大きく育てるNISA完全活用術  著:鈴木 雅光

資産運用なんてものをするべきではないか、
独り身で、もう40を越えてしまったので
あれこれ人生について考えはじめたのでありまして、
そういや、そんなのあったなと
今更ながら、NISAが始まる前に出た本を読んだのであります
これをまぁ、興味本位と呼ぶのであろう

さて、内容はNISAとはどういう制度かということの
きわめてわかりやすい説明と、
実際にここで運用するには、どういうものが向いているか、
そもそも、NISAで儲かるパターンというか
利用してよかったと思えるパターンはどうなのかというのが
大変わかりやすく書かれていたのでありました

正直、未だにちゃんと経済や資産といったことを
よくわかっていない状態なので、
今更ながら、そうか、自分の持分のいくつかを
運用するということで、より増やしていこうと
そのために、様々に口座を開いたり、
色々な投資先というものを選んでいくとかなんとかと
ああ、そうか、そういうことを大人はするのだな
などと、たわけたことを思い至ったのでありました

会社の仕事もままなっていないのに、
休日にじっくりとポートフォーリオを眺めて
あーでもないこうでもないと、考えるのは楽しいのかもしれないと
思ったりもしたのでありました
そういう気持ちでやると、破綻するんじゃないかとも思うんだが
色々と考えさせられるのでありました
貯金しているぐらいだったら、運用にまわしておけば
時間が何かを作ってくれるかもねと、そういうお話で、
さらにNISAなら非課税になるから、より楽しいよというお話なんだそうで

この本から、NISAの目的を考えたりして
面白く楽しく過ごせたのでありました
枠がちゃっちいと言われているけども、そういう小さいところから
自分で資産運用をするという素地を作るのが大切なのかもなと
まぁ、これにあおられた素人がとりあえずお金をどっかに預けさせるのがポイントかとも
思ったり考えたりしながら、でもせっかくだから
ちょっとだけでもやったほうがいいかもねと
もう、開始から4年も過ぎたのかと思いつつ読み終えたのでありました
頑張って生きていきましょう

【演劇】メリー・ポピンズ

2018-06-08 21:40:07 | ドラマ映画テレビ感想
ミュージカルを縁があって見ました
大阪梅田劇場で上演されていた表題作であります
ディズニーで映画化されていて、かつ、賞をとったりしている
定番ミュージカルのひとつに数えられる演目のようでありますが
原作をさっぱり知らないまま鑑賞したんだけども、
いやー、やっぱり、そういう薀蓄というか、
もう関係ありませんな、ミュージカルはただ見て、ただ楽しむ
それだけで十分というか、とてもステキな時間が過ごせると
しみじみ感動したのでありました

映画のグレートストショーマンを見たときも思ったけど、
最近はこの歌いながら踊りながら、それでいて物語という
ミュージカルそのものが好きになってきたと感じる具合で
群集劇の見事さと、歌声の素晴らしさに惚れ惚れして
もう、なんか、小難しい感想とかとくに必要ないわと
ただただ、堪能してきたのでありました

とはいえ、メモがてらにあれこれ思ったところは残しておきたいので
つれづれ書いておくのでありますけども、
まずよかったのが、子役の上手さでありまして
この物語においては、子役がいかに重要かとしみじみ思わされたのであります
ある銀行の従業員の一家が主人公となるわけなんだが、
そのこましゃくれたガキ共というのが重要肝要で、
この子たちが、軽やかに、そして朗らかに歌いながら踊るというのが
凄いなと歓心しつつ、それでいて、物語の中核を担うよう
だんだんと成長して見せるという演技まであって面白いことこの上ないのでありました

舞台も縦横無尽に使ってというところが素晴らしくて、
空を飛ぶし、ステージを漫画か映画のように使って、
舞台袖から天井を歩く(吊るされていくわけだ)なんていうのも見せられて
このギミックも含めて拍手喝采で見られたのであります
あちこちで、魔法が使われるんだけども
それが手品のように見せられているのも素敵すぎるわけでありまして
まぁ、なかなかどうして、飽きないで見入ってしまったのであります

物語は、勧善懲悪とまではいわないけども
ファミリー向けだなぁというお子様にも見せてあげたい内容なんだが、
それでいて、家族の問題というか、絆を確かめるイベントが多くて、
大人が見ていても物凄く引き込まれる
或る意味、大人向けと子供向けの二つの物語が同時進行しているようで
これが結構驚きの体験でありました
いや、よくできたドラマというのはこういうことをいうんでありましょう
誰が見ても面白い、そして見ているということは
同じものでありながら、違う面を見るものなんだと
そんな風に感じて感動したのでありました

徹頭徹尾見事に楽しめて、悪役が出てくるわけでもなく、
いや、実際は悪い子守というのが出てきて面白いんだが、
暴力的なものがあるはずもなく
子供が自立する、大人だって落ち込む
そういうのを家族で乗り越えていくという
とても素晴らしいテーマを見事に見せてくれて
そんな環境に現在、自分はいないわけだけども
いい物語だなと、しみじみ感動して見終えたと
そんなお話でありました

劇団主催ではない感じだったのですが
群集劇の素晴らしさなんか、思わず手拍子を送りたくなるようで
大変楽しい時間を過ごせた、いい芝居を見たと思うのであります

年末台南高雄旅行 21 察哈爾一街の朝市

2018-06-07 21:36:25 | 年末台南高雄旅行(2017)
玉市をあとにして、とりあえず站まで戻ってきたのでありますが
時間が中途半端というか、そろそろ帰りを意識するようになってきたところ
しかし、出来る限り遊んでいきたいと考えて、
ふと、站の反対側を見ますと、なんか朝市っぽい雰囲気が
今調べてみますと、察哈爾一街(チャハリイージエ)という通りなのだそうで


遠めからこんな感じで

近寄ってみたら、やっぱり朝市でありました

別に目的があるわけでもないので、ちょっとぶらっと
地元生活を見たいという感じで、朝市を流すことにします
朝といいつつ11時くらいだったので、昼市なのかもしれない
そういうものが存在するならばだが


果物や野菜の販売がそこかしこでされていまして、
非常に興味深い


いつものように生肉がそこらで捌かれているのもステキでありますが
これを丸のまま買って調理するってことだよな
台湾の台所事情がよくわからなくなるのである
夜は外で食べる風習らしいが、昼に買って家で調理するんだろうか
あるいは、外で屋台出している人たちがみんな買いにくるんだろうか

買い歩きがなんかできるかというと
そんな腹事情でもないので、流してみるばかりでありましたけども
せっかくだからと父親がジュースを買おうと
生絞りをやっている店でみかんジュースを購入


こんな感じで、まさに絞りたてを量り売りで販売しています
写真撮るの忘れましたが、ペットボトルに入れてくれて
そいつをすいすいと飲んだのですが、非常にさっぱりしてて
美味しいものでありました、いくらだったのか知らないのだが
たぶん、30元もしないんじゃなかろうか


当たり前のように乾物屋もあります
このサイズの干ししいたけを買うことはないのだが
魅力的であるな


3つで50元が、果たして安いのかどうか
というか、コールラビ(蕪甘藍)にしては大きすぎないか?
これってスが入ってて食えないレベルじゃないか?
疑問があるんだけども、高雄ならこういうサイズが当たり前かもしれない
どんな料理に使ってるか興味深いけども、知ることはない

ぶらぶら朝歩きして、食べることもないとかいいつつ
ぱっと、サバヒーの文字が目に入って
これは父親に食べさせるべきだと思い立って無理やり父親を店に入れる


裏からでありますが、サバヒーこと虱目魚(シームーユー)の文字
物凄い汚いというか、いや台湾では普通の店だと思うんだが
屋台の後ろに申し訳程度の机があるというところで
虱目魚粥を頼む、この時間にあってもらえたのがありがたいと思うべきなのか
誰も人がいなかったけども、待つこと5分ほど


虱目魚粥(シームーユーチョウ) 90元
丸の身が入っているから、結構高目でありますが、これがやっぱり
大変美味しいのでありました
父親が、げんなりした顔で口をつけていましたが、
サバヒーをほぐして口に入れた瞬間に、これは旨いと
あれよあれよと食べあげてしまう始末
サバヒーは日本人にとって、凄まじく口当たりのよい食材でなかろうかと
思ったり感じたりしたのであります
いいものを食べさせた

あっさりとした白身なんだけども、出汁というか
深みのある味が実に素晴らしい、相変わらず好きないっぱいだと思いつつ
二人で1杯食べて、そろそろ高雄站へと戻り
帰り路を意識しだすのでありました

【読書】美貌格差: 生まれつき不平等の経済学

2018-06-06 21:09:05 | 読書感想文とか読み物レビウー
美貌格差: 生まれつき不平等の経済学  著:ダニエル・S. ハマーメッシュ

見た目の美しさが、どれくらい経済的に効果を持つものか
実験とエビデンスからあれこれ検証したという本でした
面白いといえば面白いのだけども、
なんか冗長というか、どうも長いのに同じような話ばかりで
発展性がないというか、
まぁ、うすうす気付いていた、美しいほうが得だという結果が、
なるほど、様々な指標で得られるのだなと
そういうお話でありました、具体的に凄い数値とも言いがたいというか
なんか、美の定義だとか、実験方法の有効性の説明が多すぎて
わけわからんちんであったのが
ちょっと残念であります

驚きというか、ひとつ感じたところでは、
男性のほうが、美しさによる効果の影響が大きいという結果で、
これも、考えてみれば、そもそも男性のほうが
格差の大きい様々な仕事があるからじゃないかしらとも
思ったりするのだけども、男性のほうが一層、
美しさに対して、なんらかの判断材料としているくさいと
そういうお話でありました
美女を優遇するというだけではなく、身なりのしっかりした男性そのものも
なぜか評価してしまうようなのである
そうなのかしら、そうかもなぁ

後半は不細工と定義づけられてしまった人たちが
どれほど損をするかという話をこんこんと続けてから、
不細工を保護するということが必要だとなり、
障害という枠組みに不細工が入るか入らないかというのを
経済的損失から割り出してみるだとか
なかなか凝ったことをしているんだが
これもまぁ、なるほどなと思えるし、高度な笑いのネタなのかと
思ってしまうような話だけども、
なんだろうかな、読むのに疲れた
結局不細工は酷い目にあうから、なんとかしないとねと
そういう話だけだったんだが、やたら疲れたのでありました

正直なところ、わかりにくいという印象を持ってしまったのだけども
昔から言われているとおり、美しいと得をするのも確かだけど
むしろ、不細工だと損をするというのが重要なのかもと
思ったり思わなかったりしながら、
自分はどの位置だろうかと、ふと気になったりもしたのでありました
みんなと比べたうえで、どの位置にいるかというのが
かなり重要なようなので、不細工ばっかりいる集団に属したら
解決するのではないかと思わなくもないのである

【読書】鑑定の入り口 やきもの百科

2018-06-05 21:15:42 | 読書感想文とか読み物レビウー
鑑定の入り口 やきもの百科  著:中島 誠之助

コンパクトにまとまった
やきものの基本に関して教えてくれる本でありました
日本の津々浦々にある焼き物について
その鑑賞方法と、独特の名匠、産地、名品など
様々なものを端的に、簡潔に紹介していて
さらっと読んでも、かなりためになる本でありました

個人的には写真つきで紹介されている
名品の数々が一番見所であったと思うのですが、
国宝茶碗の不二山が載っているのが素晴らしくて
こいつは本当に、一度見てみたいものだと
感嘆を見舞ったりしたのであります

その他の名品についても、いわれやいわくなんかが
本当に丁寧にまとめられていて、松平不昧公所蔵シリーズなんかが
なかなかステキに語られているのとか
読み応えもあって楽しい限りでありました

有名産地から、ややマイナーと個人的に感じるようなところも
相当数が紹介されていまして
日本全国、よーさん陶磁器の種類があるんだなと
改めて驚くのでありました
当然のように、伊万里についての語りがかなり分厚くて
伊万里の様々な種類についても細かく紹介されているので
勉強になる一冊であります
そこから派生していると考えていいのか
九州方面の焼き物に関して、相当量の紹介があるので
こっちもまた、ためになるのでありました

あとは、意匠についての説明なんかもあって
個人的に好きな馬の目なんかの話や、三島のよさなんかが
さらっとした語り口で記されていて、
くどくない、素晴らしい読み応えだと感心したのでありました
ややもすると情緒的すぎるというか、
言葉を尽くしているだけで、あまり説明になっていないともとれるんだが
美とはそういうものでないかねなんて、
かっこいいことを言いたくなったりするのであります

とはいえ、明治以降に培われてきた民藝に関する器や歴史についても
かなりの量が解説されているので、大変興味深い
日本における骨董、その価値の見出し方、美のありかたというのが
全体を薄くだけども教えてくれるようで
よい本でありました

【読書】よろずのことに気をつけよ

2018-06-04 21:51:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
よろずのことに気をつけよ  作:川瀬 七緒

著者の代表作としてあげられる一冊であります
ようやく読むことができました
これを読んでから、いつぞやの女学生話を読むべきだったなと
ちょっと反省するくらいでありますけども、
因習を扱った、ややオカルトめいた殺人事件話でありました
かなり荒っぽいけど非常に面白い小説だった

祖父を殺されたという少女が、
呪いなんかを調べる文化学者のもとを訪れるところから始まり、
その殺された状況を調べていくに従い
謎の呪術師集団みたいなのが見え隠れしてきて
それが、過去から連綿と受け継がれてきた
日本の因習にまつわる闇めいた感じでと、なかなか楽しい話題なのであります
殺され方だとか、様々なグロテスクな部分が
秀逸きわまりないのは、この作品でも際立っているのでありますけども
それを置いて、おどろおどろしさといえばいいか
表舞台には決して出てこない因習というものが
各地の村々にはあり、それが今なお続いているという
地続きの恐ろしさが、呪いというキーワードで繋がるのが
まぁ、なんとも、後味悪いといったらいいか
ともかく、事件の真相は、まぁそういうところだろうなと思いつつも
この因習に少しずつ近づいていくというのが
ドキュメンタリではないけども
物語として非常に面白い小説でありました
謎解きがどうしたというよりも、このスリル、解いて行くにつれて
よくないことに近づいていくという感じ
誘蛾灯に引き寄せられるとはこういうことかみたいなのが
大変楽しいのでありました

人間の怨念というものが、どれほど重いものか
そこかしこに、そういったものを背負って生きている人がいる
そして、それがどのように人間を縛っているか
最終シーンなんかがとても印象的で、
ネタバレに当たらないだろうけども、
複数の老人にまとわりつかれるという物理的シーンが
本当にもう、目の前に広がったかと錯覚するくらい
別に描写がどうとかではなく、それまで積み上げてきた呪いというイメージが
その根幹の部分と交わって、脳内に広がっていくようで
いや、不気味な体験だけども
生きるというか、そういうものだよなぁと
感覚的に理解したようで面白かったのでありました

相変わらず、痛々しいし、二度とごめんだという状況が起きるんだが
それを含めて、非常に読み応えのある
面白い小説でありました、後半になるに従い
スピードアップしていくみたいに、物語に引きずり込まれていく読書ができて
大変満足でありました

西郷どん  別れの唄

2018-06-03 21:00:18 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「西郷どん」
視聴完了であります
とうとう奄美編が終わってしまった
考えてみると、結構な尺を使って、しっかりと愛を描いたなと
二人の別れも印象的でいいシーンだと思いながら見終えたのでありますが、
こっから、まるで話が変わったように
がっつりと幕末になっていくんだろうなと
予告の迫力に圧倒されたのでありますけども
副題の通り、寂しげな唄の回でありました

物語は、本当にもう、吉之助がどうやって帰るかと
ただそれだけだったので、進んでいないといえば進んでいないのだけども、
丁寧に別れの気持ちを固めていってて、
こういうところがこのドラマはすべてにおいて
よくできてるよなと感じたりした次第、
知らない間に、正助どんも、一蔵になったし
それでいて、子供がぽこぽこ生まれたりとかしてるしと
時間について考えさせられるところでありました
考えてみれば、西郷どんが流されてから
相当の月日が経ってたのは間違いなくて
でも、その間に人間が腐らなかったというのも凄いなと
史実としても感心しきりでありました
実際はどう過ごしていたんだろうか
勉強とかしてたんだろうかね

しかし、子供二人もこさえて政局へと戻っていったというのが
時代といえば時代だから仕方ないけども
残されていた家族は、それなりに手当てがあったんだろうか
色々と気になったというか、
そもそも、その子孫とか残ってるのかしらと思ったりしながら
二人の別れと、男の生き様が、王道で描かれた一回だったと
思うのでありました
来週からが、また楽しみでしかたない

【読書】幸福トラベラー

2018-06-02 21:09:39 | 読書感想文とか読み物レビウー
幸福トラベラー  作:山本 幸久

中学生を主人公にしたジュブナイルな、
もう読んでいるだけで恥ずかしいほどの恋愛ぽい小説でした
恥ずかしいと思いながら、気付いたら読み終えていて
よかったねぇ、なんて、おばちゃんみたいな声を出してしまった
そういう小説であります
読んだということを誰かに伝えるのも恥ずかしい
それほどのうぶい恋愛小説でありました

新聞部の少年がひょんなことから女の子と出会い、
上野公園周辺をデートみたいな感じで、
いや、もう完全にデートなんだけどもという感じで
不思議な一日を過ごすというそれだけの話なんだが、
この甘酸っぱさというか、筆舌に尽くしがたい
こっ恥ずかしい感じが、たまらんといえばたまらぬ
そういう感想を抱くに至ったのでありました

別に何がということもない、
本当に、うら若い男女が出会って、一日デートしている
それを書いているだけで、なんら難しいことも事件も起きないのに
なんとも楽しいといっていいのか、いくつか示唆する場面というか、
思春期特有の恋愛的なゆらぎみたいなのも
見え隠れするんだけど、それは一切触れないまま
ふわっと過ぎて、ふわっと終わって
でも、終わりはとても劇的で楽しいと
幸せな物語であったように思うのでありました

あれこれと論評するものではなく
読んで、感じたままに
よかったねぇと、そんな感じの
甘酸っぱい小説でありました
たまにはこういうのも読んでおかないと
感性が疲弊していくのかもと、自分を正当化しつつ
存外、こういうが嫌いではないのかもと
自分を省みたりするのであります
あー、ともかく恥ずかしかった、面白かった、よかった

年末台南高雄旅行 20 十全玉市

2018-06-01 21:47:28 | 年末台南高雄旅行(2017)

移動してまいりました
あまり馴染みない站で、何回読んでも「ごさわ」だと思ってしまうんだが、
「後驛」、多分ホウイィーという感じで読むのだと思われる
日本語読みだとしても、「さわ」ではなく「こうえき」になるのでなかろうか

ここから、15分ほど歩いたところに十全玉市という、
高雄随一の玉市が立つとのこと
そこに向かっていくのでありました
まったく土地勘もなければ、方向もあってるか怪しいんだが
父親が訝しがるのも聞かずに、もくもくと歩く
15分歩くとなると、意外と不安になるもので
帰り道にはこんなに駅から近かったかと思うものの
行きの不透明な中での行脚は、なかなか心が鍛えられたのでありました
どうでもよい


無事到着、十全玉市
いかにもというか、台湾で市といえば、だいたいこういう姿をしているんだなと
しみじみ感激したのであります
台北で二箇所ほど行きましたが、この雑多な感じがたまらんなと
わくわくして突入


そうだそうだ、この感じ
まだ朝早かったせいか、お店が揃っていないのも
いかにも台湾らしいのでありますけども、
準備しているお店の人を尻目に、ぶりぶりあれこれ見て廻ります


別に何をと目的があったわけでもないのだが、
母親が何かしら喜ぶものでもないかと
あれこれと物色して廻る
この雑然としながらも、交渉が行われそうな
素人マーケット感がたまんなく面白いというか楽しいと思うのだが、
言葉が通じないせいか、父親はさほど楽しそうでもなかったのが残念なところ
人によるよな、確かに、買うというか、体験しているのが楽しいだけだから
なんか違うかもなと思ったりもする


こんなのとか

こんなのとかが売られているのである

玉にはひところ興味がわいて、陶器から気が移りそうになってましたが、
結局玉は難しいということで、断念している私なのであるけども
なかなかに楽しいのでありました
値札がついていたり、ついていなかったり、
もはやそれが正しいかどうかもわからないという
この状況で、あれやこれやと楽しく見て廻ったのでありました


ホールから出ても、中庭みたいなところまでも
ぎっしりとお店が並んでいるのであります

かなりの広さで、結構楽しく過ごせたのでありました
くたびれた爺さんとかが、あくびしながら世間話をしていたり、
日本のお土産を持ってきてバルクセールしてるみたいな店もあったりして
台湾まできて、志野だの、織部だのの陶器も見られて
ちょっと面白かったのでありました

結局ここで、母親が探してこいと行っていた
プーアル茶を見つけて、買い叩いて無事終了したのでありました
プーアル茶は中国茶なので、台湾では手に入らないというか
入りにくいものなんだが、さすがは市場、なんだって手に入るなと
感激したものでありました
結構安かったけども、なかなか美味しいお茶だったらしく
満足なのでありました


路上で寝ている犬

犬に服を着せるのは、どこでも一緒なのねと思いつつ
この見事な寝っぷりに感動したのでありました
平和だ、実に素晴らしい