CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】モップの精は旅に出る

2018-06-11 21:12:49 | 読書感想文とか読み物レビウー
モップの精は旅に出る  作:近藤 史恵

様々な場所で、清掃員のキリコさんが事件を解決する
そういう短編集でありました
あとがきを読んでしったのだけども、
シリーズ最終巻だったんだそうで、
でも、シリーズだとか関係なく、推理小説として
楽しく読めたのでありました

人間関係のもつれから事件が発生して、
それについて注意深く察することができるキリコさんが、
あれこれと解決の糸口を見つけてくれる
まるで名探偵、というか、名探偵なんだけども
割と悲しい事件といえばいいか、なんともやるせない人間の悪意が満ちた事件なんだけど
それを解決して、ただ、キリコさんだけは明るく生きているというのが
救われるような物語で楽しいのであります

ただ、最終話はそのキリコさんの話で
唐突に死んでしまったお姉さんとの謎を解き明かすといった内容、
ここで、キリコさんの旦那さんとの愛が確かめられるといったら
陳腐になっちゃうんだけども、
よくそこらにある悪意に触れながら、生きていくために
弱っているキリコさんをどうにか救おうではないが、
一緒に歩んでいこうと、気持ちを新たにするみたいな物語で
まぁ、ステキなラストという感じでありました
いい物語だった、シリーズを色々読んでみたいと思わされたのであります

キリコさんの本業が清掃員ということもあって、
仕事場でのいざこざだとか、人間関係に起因する事件が主で、
いかにもありそうというか、見たことある気がすると
そういう気分になるものばかりで、
特に、男女でどう考えているかの差異からの不幸というのが
まぁ、よくわかるなぁと、これをさらっと
でも軽くなく描いているのが作者の白眉よなと
つくづく思わされるのでありました
男なら、確かにそう思って、さほどに感じないということが
女性にとって、とんでもないことだったりというのは
よくよくあるんだろうなと
うかつさというか、知らない、思いも寄らないといった内容に
納得するのでありました

ともあれ、優しい物語で、楽しく読み終えて
満足なのであります