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【読書】ノーベル文学賞が消えた日: スウェーデンの#MeToo運動、女性たちの闘い

2022-03-02 20:53:51 | 読書感想文とか読み物レビウー
ノーベル文学賞が消えた日: スウェーデンの#MeToo運動、女性たちの闘い  著:マティルダ・ヴォス・グスタヴソン

ノンフィクションであります
一連のMeToo運動と、スウェーデン・アカデミーのスキャンダルを追った内容で、
正直、この問題が世界的に大騒ぎだったという外縁しか知らない身分で読んだので
こういう話だったのかと驚いて読み終えたのでありました
いくつもの問題といいたいところだけども、
根っこはごく単純な、セクハラという程度では済まないおぞましいことがあった、
それを許容してきた世界というものがあった
この運動のあとで、それが明るみにでて、人類史で初めて正されたと
歴史的な事件ともいえる、人類における性的搾取への追及を行った内容でありました

大きなテーマとしては、性的搾取というものの在り方を問う、
それを許容しつづけてきた、これまでの人類をどうみるかと
そんな大きな話にもなりかねない内容だったわけだけども、
イベントというか、事件としては、
スウェーデンアカデミーという、ノーベル文学賞を選定するほどの権威ある会合にて、
その首魁がセクハラというか、レイプ事件を起こしまくっていたと
そういうお話であります
セクハラという単語だとずいぶん軽くなってしまうが、
事件の内容は完全に強姦罪のそれで、どうしようもないのに
それを見て見ぬふりしてきたのか、どうしてだか、
長らく訴えられることがなかったという問題でありました

結局は、その権威をかさにきて、様々な便宜、あるいは脅迫を含めて、
性的搾取を迫っていた男が、アカデミーの首魁であったというのも問題なんだが、
それはその人の本質によるものなのか、
権威というものがそうさせていたのか、両方なのかと
読んでいて、そこまで好色になれるものか、
いや、当たり前に許容されている世界というのがあったんだろうかと
考えさせられてしまった

スウェーデンアカデミーという権威でもあるが、文化的な象徴、
ある種のサロンといった様相の中だからこそ、
そのグロテスクな事件が、さも当然のように許容されていたとすら思えてしまう
扱いの難しい事件であったように感じる
女性たちも、何かを期待したからなのか、逆らえなかったのか、
そのあたりがトレードオフになったりという論争にされてしまい、
それ以前に、性的搾取というそれそのものの善悪にたどり着けないで苦しんでいたというのが
ごく世間にありふれた内容でもあるんだろうとすら思わされる

きわめてデリケートな問題だなとも思ってしまうんだが、
強姦というものを定義するのは、きわめて難しいと改めて思い知ったというか
明らかに搾取された側が被害者なのに、その被害が情緒や、被害者側への瑕疵を探す行為につながってしまうというのが
この問題の難しいところなんだと、改めて思い知ったのでありました

この事件によって、そういった論争が前進したのか、
思想に対してものすごくインパクトのあるものだったのではないかと
思うのでありました


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