CLASS3103 三十三組

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【読書】ツミデミック

2024-01-04 21:05:42 | 読書感想文とか読み物レビウー
ツミデミック  作:一穂ミチ

短編集だが、イヤミスっぽい感じの
嫌な感触が残るものもあるが、
なんとなし、最終的に少しだけ救われそうなというのも配置されていて
おおむね満足して読み終えたのでありました
とはいえ、人間の闇的なものの最新版を見せられたと
そんな感想にもなってしまいそうな、非常に後味悪いものもあって
SFというよりはホラーに寄った内容もあいまって
怖いと思ったのでありました

悪意というのとも異なるのだが、
かつて踏切自殺したはずの女子高生が、
入れ替わって生きていた
みたいなお話が、なかなかよくできた怖い話で
実際にありそうだし、でも、目的がわからんしというのがまた
非常に面白くて、ぐいぐい引き込まれて、凄い後味悪かった
ありそう、といってしまえるラインと、ありえないというラインが、
感情方面とトリック的なところとでぎりぎり成立しそうな感じが絶妙で
まぁ、嫌な感じではあるが、あって欲しいような気もしてしまうという
不可解さが凄くよかった
ただ、よくよく考えてみると、狂言回しである主人公というか、
語り部的である少年が可哀そうで仕方ないな
嫌すぎる役回りだ

他にも、昨今ありそうなというか、
なんかどっかで聞いた事件というのの手近な感じが、
まぁ、いつの時代にも実はあった話ともいえそうなところ、
でも現代版にアレンジされていて、自殺者が集まったり、
身寄りのない年寄りにすり寄ってみたりとか、
新しそうに見えるけど、そうではないところが非常によろしく
また、このあたりは救いがあるようにも読めたのがとてもよかった
実際救われたお話なんかは、とても気持ちが落ち着いたというか
そういうのを読みたかったと思わされたりしたのである

身勝手さというか、何かに対しての感想や機微、
そう思ってしまったということの罪の意識みたいなのが書かれていたと思うのだが
なかなかどうして、どこか当てはまりそうなラインを責められて
読んでいて、嫌な汗をかける小説だったと思うのであった


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