CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】鏡の背面

2018-12-12 21:23:15 | 読書感想文とか読み物レビウー
鏡の背面  作:篠田 節子

面白い長編小説でありました
ゆったりと始まった感じだったけど、追うごとに面白くなって
ミステリと呼べばいいのか、謎に踏み込んでいくごとに
話がどんどんと面白くなってたまらなかった
何よりも、文章が相変わらず美しすぎると
こんなに長いのに、読み終わって疲れないのだから
本当に凄いと、感心しきりに読み終えたのであります

テーマというでもないが、実に深く考えさせられる内容で、
人間とは何か、それはどう形作られるか、
魂のあり方だの、霊媒だのと、オカルトめいたこともほのめかせながら
それが、こういう解釈ならばとも思えるような着地点に到達して
なんというか、凄いうなってしまったのである
実際そんなことがあるのだか、ないのだかはまるでわからないけども、
何かにのっとられるといえばいいか、
どこか、変わるということについて思い至るところはあって、
この物語に共感を覚えたのでありました

ストーリーは、聖人のような人が死んだと思ったら、
まったくの別人が成りすましていた姿だったらしいと
その謎を解いて行くという物語で、
その間に、聖人というでもないが、弱者、とりわけ、
社会的に大変な目にあっている女性たちを保護するという役割についてや、
その弱者たちの生態についてやらが、
詳細に、また事件に関係あるものとして調べられる過程で
するすると説明されていて、凄い面白いのでありました

途中で、昭和の男性だからこそという
ある種イデオロギーめいた内容での横槍ではないが、
考え方が放り込まれて、それに対する逡巡なんかが
また、小説を読んで、登場人物たちが迷っているという感じなのに、
読んでいる自分こそが迷っているかのように読まされてしまって
本当にもう、凄い面白かったのであります

扱う素材としての、女性感というのは非常に強いメッセージというか
考えることをやめてはいけない大きな問題だけど
そこはこの物語の本質ではないようでもあり、
実際に人間はどうなのかという部分に肉薄しようとしてて、
本当にもう、読み応えたっぷりで
面白すぎる小説でありました
もっと話題になってもよさそうなのに、長いから読まれないのかなぁと
嘆息しながらメモるのである


最新の画像もっと見る

コメントを投稿