CLASS3103 三十三組

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【読書】三階-あの日テルアビブのアパートで起きたこと

2023-09-13 20:49:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
三階-あの日テルアビブのアパートで起きたこと  作:エシュコル・ネヴォ  

読んだけど、一回読んだだけでは全然わかんない
そんな感想になってしまった
あるアパートの1階から3階の住人にまつわる、秘密の話とでもいようか、
誰にも言えない話を、第三者に語っている姿
それが3編あるんだが、同じアパートの住人なんだが、
それぞれが繋がっているかというと、別段そんなこともなく、
各々抱えているものといえばいいのか、秘密は完結していて、
告解のように、それを聞かされるといった感じであるのが不思議だった
てっきり、第三者が共通の人で、なんかあるのかと思ってしまいそうなギミックだけど
まったくそういうわけではない

と、まぁ読み終わってから、それぞれが別に関係ない、ないこともない
という感じだと分かったわけで、そう知りながら読んだ方が
もっとひとつひとつの物語に没入できたのではないかと思ったわけだが、
それはそれとして、一階の住人の罪と、三階の住人の人生については
強烈な印象というか、強い衝撃を受けたのでありました

一階の方は、まさに罪のそれこれで
結局語り手の男の罪は何か、それは本当に罪なのかと思わされるような感じだが、
よくよく考えるまでもなく、語り手の一方的な話なので、
事実は結構丁寧に描写されているが、仕方なかったかどうかといった部分は、
そういう言い方をしているだけなのかもと思わされたりしたのである
最終的に破滅となったのかどうか、
このあたりが、二階、三階の住人の話の時に少し出てきたようにも
思わなくもなかったが、些細なことで、
被害妄想ともいうべきものと、現実の分別があるときつかなくなるという
魔が差したとでもいうような状況の丁寧な描写と理屈が
凄くつながって、感心したのであった
こういうことがありそうだという、納得があった

もう一遍、三階の方が、まったくそれまでと話が異なって、
住人が片割れをなくしていて、その人の声が対応してくれる留守電に向けて、
独白と日記めいたものを残すといった感じで、
これが思いもよらない展開になって、すごく面白かった
イスラエルという国のそれが、見えてくるような話、そして政治に関わることというのが
これまた丁寧に、なるほどなと思える内容で描かれているかと思うと
最終的には、もっと些細なといっていいのか、国家ではなく自身の家族の話に収れんするというのが
これも見事で、希望のある物語でよかったと思って本を閉じたのでありました
結構重めの内容だけど、読み終わってみると面白かったと思えた一冊であった


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