CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】罪の轍

2020-09-15 21:25:45 | 読書感想文とか読み物レビウー
罪の轍  作:奥田英朗

休みに読む本ではなかったなと反省したくなるほど
なかなか重たい、暗い事件を描いた小説でありました
東京オリンピックの前年、北海道の離島から、
空き巣を生業にする男が東京へやってくる
といった具合のお話なんだが、
この空き巣も可哀想な男だったりするんだが、
そこをやたらクローズアップするわけでもなく、
ただ、一見正直そうな行き方をしている男を様々な悪意なんかが
からめとっていくようでもあり、
どこで、何が間違ったのかとわからなくなるような
陰惨な世界へと移ろっていくのが、嫌な物語だった

ある誘拐事件が起きたときに、失敗、失態を重ねる警察の右往左往っぷりがまた、
物凄いストレスがたまる感じで、やきもきというか、
またこういう時に、今でもありそうな、野次馬というか、
様々な無責任な行動、ある種の悪意といったものが感じられて
まぁ、なんとも読むのが辛い按配でありました

そんな中でなんとか真面目に、まっとうにと新世代の刑事が、
古い慣習に囚われないように活躍したり、この時代特有と思われる
変革みたいなのも見られて面白いのであります

時代感というか、左翼活動家がすこぶる元気だったり、
暴力団や、人種問題とか、その頃のごたごたが
たっぷり煮詰まった感じも面白くて、
読むのは凄い楽しいのに、全体の事件が悲しいので、なんというか
読後感がいいとは決して言いがたい小説でありました

面白かったけども、語りづらい小説でありました
二回読みたいと思わないやつだった


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